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青春物語

57
携帯のない時代の青春物語です。 初めて本気で人を好きになった片想いのお話です。 1話〜57話ですが毎日少しずつUPしてたので案外短いです。
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#エッセイ

〜最終章・永遠〜青春物語【完】

私は窓口に送金を依頼し、彼の元へ戻った。 彼は煙草を消して静かに言った。 「俺も結婚する…

きなこ
3年前
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〜最終章・別離〜青春物語56

どれぐらい時間が経ったのだろう。 私は姿を現さない永尾さんに失望して、銀行内のソファに座…

きなこ
3年前
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〜最終章・想い〜青春物語55

永尾さんが退社するのは明日だった。 会社に在籍をしていればどこに転勤になっても消息は掴め…

きなこ
3年前
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〜最終章・再会〜青春物語54

数ヶ月後、私は子会社のオープニングスタッフとしてお手伝いに行っていた。 結婚式までの契約…

きなこ
3年前
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彼との想い出が走馬灯のように…/青春物語53

とうとう退社の日がやって来た。 いつもとなんら変わりなく、今日で辞めるんだという気はしな…

きなこ
3年前
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好きになれば良かったのに…/青春物語52

その時だった。 芝木さんが私に近づいて言った。 「桜田さん、僕とも踊ってよ」 私たちはその…

きなこ
3年前
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ムード満点な時にそんなこと言わないで/青春物語51

私は驚いて永尾さんの顔を見た。 「えっ、いいけど。彼女に怒られない?」 「桜田さんと踊りたいんだ」 「じゃあ踊ろう、踊ろう」 酔った勢いに任せて彼の手を取った。 次の曲は聴いたことのある曲だった。 彼の挙げた左手を右手でキュッと握り、左手は遠慮がちに腰に回した。 「ねぇ覚えている?」 そう聞いた彼の顔が、紅潮しているのが薄暗いライトの下でもわかった。 「うん、覚えているよ」 「なんの事か、わかってんのか?」 「チークの事でしょ?」 「あれっ、よくわかったな」 「だって今、

ズルイよ、今さら言うなんて…/青春物語49

「俺もさ、桜田さんの事ずっと好きだったんだよ」 永尾さんはポツリと言った。 「えっ?」 「…

きなこ
3年前
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嘘つき!安心しろよって言ったじゃない!/青春物語48

私の心は退社を決めてから軽くなっていった。 この先、もう永尾さんの顔を見ることはないだろ…

きなこ
3年前

どんなに後悔しただろう/青春物語47

私はどんなに後悔しただろう。 永尾さんが同棲していた彼女と別れ、傷心状態でいたのを知らず…

きなこ
3年前

忘れていた感情が一気に溢れ出した/青春物語46

私は更衣室を出て、わざわざ受付側の正面の階段を降りて行った。 裏口では永尾さんへの差し入…

きなこ
3年前

それは最悪な展開だった/青春物語45

その時だった。 「桜田さん、もう帰るの?」 その声に振り向くと小林さんが立っていた。 「あ…

きなこ
3年前
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彼の言葉を信じよう/青春物語44

「田中さんと付き合ってるって本当?」 私はもう一度、永尾さんに恐る恐る聞いた。 「付き合…

きなこ
3年前
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じゃあ聞いてもいい?/青春物語43

その日、永尾さんは当直だった。 私は残業するまでもなかったが、噂が気になっていたので退社時間を過ぎてもパソコン入力していた。 やがて彼は給湯室に向かった。 その後ろ姿を目で追いながら私は立ち上がった。 コーヒーを注いでいた彼は私を見るなり「あっ」と言った。 「今日、当直なんだね」 「おう。桜田さんは残業?」 「うん。仕事溜まっちゃって」 「ご苦労さん。コーヒー飲む?」 彼は笑顔でカップを差し出した。 「うん。ありがとう」 「なんか桜田さんと話すの、久々だね」 「そうだね。