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〜最終章・永遠〜青春物語【完】

私は窓口に送金を依頼し、彼の元へ戻った。
彼は煙草を消して静かに言った。

「俺も結婚することにしたよ」
「えっ?そうなの?」
「うん。そろそろ身を固める歳だし」
「身を固めるってまだ25じゃない」
「あはは。桜田さん、新婚旅行どこ行くの?」
「西海岸。ディズニーランド行きたいんだ」
「西海岸かぁ。いいなぁ。俺もそうしよっかな?」
「じゃあ向こうで・・ってことはありえないか」
「ない、ない。俺行くとしたら来年だもん」
「そうだよね。向こうで逢ってどうするって話だよね」
私は笑いながら自分の心を打ち消した。

「株式会社ジョイさま、株式会社ジョイさま」
やがて窓口の女性が私を呼んだ。

私たちは立ち上がり窓口に向かった。
そして銀行の出口近くまで来た時、彼は右手を差し出した。
「じゃあ元気でね」
「やだ、みんな見ているよ」
私は彼の手を掴めなかった。
永遠にさよならの握手はしたくなかった。

私たちは無言で駐車場の方へ歩いて行った。
「じゃあ、俺行くよ」
看板車のドアに手をかけ、振り向きざまに彼はそう言った。

「うん。元気でね」
「うん。幸せになれよ」
「ありがとう。永尾さんもね」

彼はエンジンを掛け、窓を開けた。
「幸せになれよ」
もう一度そう言うと、私の大好きな飛びっきりの笑顔を見せた。

「ありがとう。バイバイ!」
私は涙でクシャクシャの顔で笑った。

永遠のさよならだった。
この先もう二度と逢うことはないだろう。
数年後、子供が生まれたと風の噂で聞いた。

今、どこにいるのだろう。
何をしているのだろう。
雪が降るとあなたを想い出す・・・【完】