陳令洋「芸術に政治は持ち込まないで」
芸術に政治は持ち込まないで
だから空は描かないで
煙突から立ち昇る煙で空が黒く染まると
人々は政治を思い出してしまうから
芸術に政治は持ち込まないで
だから山と海は描かないで
海辺にホテルが建ち、山辺に映画館が建つと
人々は政治を思い出してしまうから
芸術に政治は持ち込まないで
だから家は描かないで
家が政府に取り壊されると
人々は政治を思い出してしまうから
芸術に政治は持ち込まないで
だから動物は描かないで
子猫が虐待され、子犬が街を彷徨うと
人々は政治を思い出してしまうから
芸術に政治は持ち込まないで
だから人間は描かないで
子供が先生に殴られ、人が年を取り、
誰かが飯にありつけず、誰かが人を殺すと、
その全てが人々に政治を思い出させてしまうから
芸術に政治は持ち込まないで
だから抽象画は描かないで
入り乱れる線と色の塊が私達の愛憎や見聞、考え方や願い事を表現すると
その全てが人々に政治を思い出させてしまうから
芸術に政治は持ち込まないで
だからカンバスを黒く塗り潰したり、余白を残したりしないで
何も描かれていないここやあそこを見ると
人々はやはり政治を思い出してしまうのだから
(翻訳:李琴峰)
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