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【ため息】若者が地方に住むための「住宅」が「空き家」という発想になる謎

今日、人口減少対策としての「移住定住対策」「住宅施策」とは何か、という話題が少しだけでました。


結論から言うと、
今まで何度もしているこの話し合いでは、私はいつも白目をむき、天を仰ぎ、ため息が出ます。


移住する人とは

地方から都会へ、若い人が引っ越ししています。

既に家を買っている、不動産を所有している若くない人は、なかなか引っ越ししません。日本の不動産流通は流動的ではなく、一度購入した家は、ほぼ一生の買い物です。

主に引っ越そうとするのは、まだ不動産を所有していない若い人で、新生活を始めるにあたり、住む場所を選ぼうとする人です。

新生活のきっかけは、進学、就職、結婚、住宅購入。

あと、お金に余裕があり、住む場所をもう一度選び直そうとする人でしょうか。


住む場所としては、より便利で快適なところを選びます。

人口減少が進むと、より便利で快適な場所を選ぶことができるようになります。需要と供給、買い手と売り手、市場の理論、神の見えざる手です。


人口減少と住まい選び

私の親は、団塊の世代。今の年齢で言うと、70代前半から半ばくらいでしょうか。進学、就職、結婚、住宅、すべてのライフイベントでそれはそれはものすごい競争だったようです。
住む家がなかなか見つけられなくて、新婚時代は、ニュータウンといわれる、団地に住み、子どもが生まれると家を探し、何度めかの抽選で今の家が当たり、購入することができた、と言っていました。
この世代は、全国に同い年が270万人くらいいる世代です。

私は団塊ジュニア、第2次ベビーブーム。今の年齢では50才かその手前。
親世代ほどではないですが、やっぱり人口のボリュームはある世代で、全国に同い年が200万人くらいいる世代です。

今は、確実に人口減少しています。
例えば成人の日にニュースになるのは、今年の成人の人数です。毎年減っていて、今年の成人の全国の同い年は、120万人

ちなみに、2021年の出生数は81万人と言われています。
団塊の世代の3分の1以下。団塊ジュニアの2分の1以下。今年の成人よりまだ3割減っています。


もうすぐ総選挙ですが、若い世代には2票あげないといけないのでは?と思ってしまいそうです。

若い人は、団塊の世代よりも第2次ベビーブーム世代よりも、住む場所を選ぶことができるようになっていることが想像できます。
・・・今後はさらに、でしょうね。


どこに住みたいですか?

どこに住みたいですか?といえば、メジャーな答えは、「便利で快適な家」でしょう。

不動産屋さんのチラシを見れば、どんな点がセールスポイントなのか、よくわかります。

便利とは、駅に近い、駅もより便利な駅。買い物が便利。通勤が便利。駐車場完備。

快適とは、新しい、清潔な住宅。古さよりも新しさ、築浅。ダサいよりもおしゃれ。すきま風より断熱省エネ。

ピッカピカで最新のトイレ、キッチン、エアコン、お風呂、フローリング、お掃除らくらく、ルンバですいすい・・・

中にはそうではない、マニアックな人もいるでしょう。
雨漏りも怖くない!虫も平気!エアコン効きにくくても掃除が大変でもオッケー、大事なのはレトロ感とか。
でもね、それを「マニアック」と言う限りは、少数です。


転入が多い地域は、便利で快適な条件がそろっているエリアです。

兵庫県でいえば、2020年と2015年の国勢調査を比較して人口が増えたのは、明石市、尼崎市、伊丹市、宝塚市・・・鉄道が便利で駅周辺に新しい店、新しい住まいができているエリアです。


移住定住の住宅施策が、中古住宅や空き家になる謎

さて、地方の、私が勤めている市役所では、「転出を減らし、転入を増やすための住宅施策」というと、「中古住宅」「空き家」がキーワードになります。


なんでですかーーーーー?!


と言い続けて4年半。

まだ、言っています。

でも今日は、私も忙しかったので黙っていました。


引っ越しを考えている、住む場所を選ぼうとしている若い人がどこに住もうとしているか?

決して空き家でも中古住宅でもないはず、と思うのですが、通じません。

駅の近くにお店があって買い物ができる新しい住宅では?
道が広い住宅街で、新しい家を好きなように建てられるとかでは?


なぜ、中古住宅の流通の活性化策や、「空き家バンク」や、「老朽危険空き家の除去補助金」の議論になるのか、心の底から謎です。

どちらかというと、その対策は防犯とか防災の発想ではないかと思うのです。
相続相談とか家じまいと考えると福祉でしょうか。

若い世代が選ぶ基準を考えてと言っているのにもかかわらず。


若者の移住定住で「空き家活用」「中古住宅」と言われると、若い世代の皆さんは、がっかりして、黙って便利で快適な住宅へ行ってしまいませんか。

「リノベーション」という発想は、交渉能力と調べる・考える時間とセンスがある人には楽しいと思います。
人生経験のあまりない、一般的な若い人には、冒険です。

若くない私ですが、がっかりしています。

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