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新居の家具をすべて自分で作ってみた-引っ越し編-

2年前の自分であればこんな考えは絶対に至らなかった。消費によって生活に必要なモノ、コトを補い、壊れれば買い直すし、価格が高いものこそ良品であるという価値の中で生きていたからだ。

筆者は2020年に建築学科を卒業し、現在はFAB機器を利用した加工や制作をVUILDという建築系のスタートアップ企業でしている。2年前までDIY経験すら一切無かった。

買うものは自分の理想に近いものであって本当に欲しいものではない

ウィンドウショッピングをして、自分のイメージに合うものを探すことしか選択肢は無いと思っていた。DIYもあるが結局武骨でそれなりものしか作れないし、買うことが一番良いという価値観は多くの人が持っているものではないだろうか。

どこかのHPで見かけた生活の理想像を追い求めて買い揃える。でもそれは企業の基準に自分の美意識を寄せようとしている行為であり、本当に僕自身が欲しいものなのか?という問いに至った。

個人のモノづくりを跳躍させてくれたCNC、3Dプリンター

2年前まで家具をつくることとは無縁だった。ものづくりに触れたことはあったが、かじったことがあるくらいでものづくりに対するハードルは依然としてあった。そんな中でCNCと3Dプリンターに出会い、自分の中にあった作れないという決めつけや、不器用というバイアスは一気に消えていった。

それまで大がかりだった製造機器がデスクトップ上で、しかもモデリングソフトで作ったもので簡単に出力できてしまうという感覚を味わってしまうと何でも作れる気がしてくる。さらに個人でShopbotを使うことは容易ではなかったが、EMARFというサービスを利用することで自宅でも設計、製作が可能になった。

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2Dから3Dまで多様な加工ができるShopbot(木工CNCルーター)で加工している様子。CADで描いた線をもとに切り出すことができる。

引っ越しで持っていく家具はベッドマットレスのみ。

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裸の男性が雪の中、トランクルームにダッシュでコートを取りに行くシーンから始まるこの映画。ご存じの方もいるのではないだろうか。すべての所有物をトランクルームに預け、1日1つだけ必要なモノを持ってきていい。それを365日続けるがその間は何も買ってはいけない。というルールを自らに課し、暮らす男性のドキュメンタリーだ。1年を通して、自分の人生に必要なモノとはなにか問い続ける。

究極の断捨離に魅了され、筆者もいつかやってみたい!と思いつつ、タイミングが見つからなかったが、就職し、引っ越しすることになったタイミングで実践するときが来た。とはいっても、彼のように全く何もない状態から始めることはさすがに仕事に支障が出るので、どうしても自分では作れない服や本、ベッドマットレスだけ持っていくことにした。

自分の所有物をリセットして必要な家具、機能とはなにか考えてみる

新居は一人暮らし向けのワンルームで、風呂もトイレもキッチンもあるが、やはり狭い。生活できる機能をすべて満たしつつ、狭さを感じる空間はどこか宇宙船の様な感覚と同時に自分の欲しいものとは何だろうとこれから出来ていくモノに想像を巡らせ、心が躍った。

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内覧中にiPadのLIDARで部屋全体を3Dスキャンし、入居前から必要な家具のイメージを練り始めた。広く感じた居室は家具を置けばどんどん狭くなり、複数の機能を併せた家具の必要性が出てくる。

だからこそ1作目は靴が置けたり、棚になったり、カウンターにもなる「Shoes rope shelf 」というものを作った。

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EMARFの入稿画面。2Dcad・3Dcadに対応していてゼロコストで見積まで可能。入稿後は指定の住所に届けてくれます。

靴棚でありながら、棚板を新しく差し込むことで、通常の棚としても利用できる拡張性を持たせた。

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さらに3Dプリンターと掛け合わせた接合部にすることで、一切工具無しで組み立てられるようにした。

靴棚

部分モックアップ。黒いパーツを3Dプリンターで作成した。

保証書のないモノだからこそできること。

製作の過程で多少の傷がつくことがある。しかしそんな時はパテを埋めたり、やすり掛けをしたりして補修すれば良いし、節は味だと捉えれば愛着すら出てくる。

買ったものであれば保証期間内だからと手を加えられなかったり、変な傷になったらどうしよう・・・同じ塗料が見つからなかったらどうしよう・・・という心配が先立ち、そのままで終わるのがオチだった。

自分が作ったものは、塗料が剥がれれば何を使えばよいか知っている、傷ができればどうすればよいかわかっている、壊れた部分は作り直せば良い。家具そのものの造形だけでなく、そこまでのストーリーがあるからこそ自分の本当に欲しいモノへと変わっていくのだった。

↓twitterで経過を呟いていきます。

EMARF -都市でも作ると暮らすを一つにできるツールー

これまで、材料や工具、広い空間が必要だ考えられてきた木のモノづくりだが、「EMARF」というオンライン工房を利用することで、在庫や工具を一切持たずに製作が可能になる。マンションだから、狭い部屋だからというバイアスは取り払われ、自分の描きたい曲線や、接合も設計可能に。ぜひ「EMARF」によってモノづくりの跳躍を体感してもらいたい。筆者もEMARFを利用して、部屋の家具を作っていく。

不便さを消費ではなく作ることで賄い、どのように生活が変わるか、記録を残していくので、ぜひご笑覧頂きたい。現在はベッドフレームを絶賛製作中です。




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1996年生まれ。建築学科出身の新卒2年目です。VUILDという建築系スタートアップに勤めています。