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アポロンの顔をして【短編小説】

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2017年に書いた小説で、恋という信仰の破滅を描いたモノローグ的作品です。恋のフェーズによりすっかり変わってしまう世界を大袈裟に歌ってみました。よろしければご覧ください。全15話… もっと読む
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アポロンの顔をして 1【連載小説】

アポロンの顔をして 1【連載小説】

2017年に投稿した連載小説『アポロンの顔をして』全15話を再掲・再連載します。恋という“信仰”の破滅を描いたモノローグ的作品です。
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  5つの路線が乗り入れる駅。都会に立ち入る際に、最低でも通過を必要とする駅。或る中心の駅。その駅近に住む人に恋慕の情を抱いたのは最大の失敗であった。車両に乗れば自然と連れて行かれ、ある

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アポロンの顔をして 2【連載小説】

アポロンの顔をして 2【連載小説】

2017年に投稿した連載小説『アポロンの顔をして』全15話を再掲・再連載しています。恋という“信仰”の破滅を描いたモノローグ的作品です。

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 あの人からメールが届いた。〈今度ライブに行くんだ〉と。あの晩に出てきたスリーピースバンドの話題だった。実はわたしには “いわく” の付いたバンドだった。昔とりわけ仲が良かったわけではない知人に勧められたバンド。棚の中でたった一

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アポロンの顔をして 3【連載小説】

アポロンの顔をして 3【連載小説】

2017年に投稿した連載小説『アポロンの顔をして』全15話を再掲・再連載しています。恋という“信仰”の破滅を描いたモノローグ的作品です。

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 2017年の現代において、こんな年のわたしが貞淑さを示したところで、誰の得にもならない。それを分かりきっていながらも、わたしは強調しなくてはならない。あの人とは一度きりであった。たった一度きりだったのだ……

 高架がずっと続

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アポロンの顔をして 4【連載小説】

アポロンの顔をして 4【連載小説】

2017年に投稿した連載小説『アポロンの顔をして』全15話を再掲・再連載しています。恋という“信仰”の破滅を描いたモノローグ的作品です。

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 鼻だけでする呼吸は浅い。医学的に実際はそうでもないのかもしれないが、少なくとも効率が悪いのは確かだった。この高鳴る心臓の鼓動に見合う呼吸など、キスをしながらできるはずがない。唇が離れた瞬間、わたしは肺に積もり溜まった不要な空気

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アポロンの顔をして 5 【連載小説】

アポロンの顔をして 5 【連載小説】

2017年に投稿した連載小説『アポロンの顔をして』全15話を再掲・再連載しています。恋という“信仰”の破滅を描いたモノローグ的作品です。

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 繰り返すが、信愛の前では羞恥心など無意味だ。ここでは恥じらいはむしろ、飛躍するために勢いづける踏み切り板にさえなる。もしも、ずっとずっと現実的な相手だったならば、恥じらいは恥じらいのまま、貞淑を守るための抑制の機能を失わなかっ

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アポロンの顔をして 6 【連載小説】

アポロンの顔をして 6 【連載小説】

2017年に投稿した連載小説『アポロンの顔をして』全15話を再掲・再連載しています。恋という“信仰”の破滅を描いたモノローグ的作品です。

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 からだのありとあらゆるところに口づけの慈雨が注がれた。ときに小鳥のついばみのごとく軽快なリズムで、またあるときはスロージャズのサックスのごとく濃厚なトーンで。あの人は、わたしが次に刺激を求める〝場所〟を先回りしながら、決してわ

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アポロンの顔をして 7 【連載小説】

アポロンの顔をして 7 【連載小説】

2017年に投稿した連載小説『アポロンの顔をして』全15話を再掲・再連載しています。恋という“信仰”の破滅を描いたモノローグ的作品です。

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 しばしベッドに横たわっていたのは、陶酔と疲労、あとから襲ってきた眠気のせいもあったが、本当は森林の香りが染み付いた枕を手放したくなかったからだ。あの人の成分は刻一刻と霧散していくように思われた。またわたしたちがこの部屋を立ち去

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アポロンの顔をして 8 【連載小説】

アポロンの顔をして 8 【連載小説】

2017年に投稿した連載小説『アポロンの顔をして』全15話を再掲・再連載しています。恋という“信仰”の破滅を描いたモノローグ的作品です。

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 沖縄で有名な銘柄のブラックエールを片手に、あの人は上機嫌だった。国内の大手メーカーやドイツの黒ビールと比べて香りやコクは引けを取らないのに、圧倒的に飲みやすいという。大学時代によく沖縄を旅行したそうだ。それが高じたのか、エキゾ

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アポロンの顔をして 9【連載小説】

アポロンの顔をして 9【連載小説】

2017年に投稿した連載小説『アポロンの顔をして』全15話を再掲・再連載しています。恋という“信仰”の破滅を描いたモノローグ的作品です。

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 私が乗り換えで使う駅、あの人の自宅の最寄り駅。その南口改札を出てエスカレーターでふたつの階を降りると、さらにその先に地下鉄へと降りていく階段が2カ所ある。そのうちのひとつが、初めてあの人と待ち合わせた場所だった。あの時の想いを

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アポロンの顔をして 10【連載小説】

アポロンの顔をして 10【連載小説】

2017年に投稿した連載小説『アポロンの顔をして』全15話を再掲・再連載しています。恋という“信仰”の破滅を描いたモノローグ的作品です。

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 幸福によって体重を減らす経験をした人間はどれほどいるだろうか。通勤路や音楽や妄想や、新しい習慣に身を委ねるわたしは次第に食欲をなくしていった。なくなったというより、食べなくても満足していたと言った方が正しい。人が渇望する総量

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アポロンの顔をして 11【連載小説】

アポロンの顔をして 11【連載小説】

2017年に投稿した連載小説『アポロンの顔をして』全15話を再掲・再連載しています。恋という“信仰”の破滅を描いたモノローグ的作品です。

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 午後6時。鏡の中の自分と対峙して慄然とした。苦しみの聖母だなんてとんでもない。そこにある顔の濃い陰影は、死期を間近に控えた人間のそれとさして相違なかった。想いを寄せる相手には、とうてい見せられる顔じゃなかったのだ。わたしは狼

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アポロンの顔をして 12【連載小説】

アポロンの顔をして 12【連載小説】

2017年に投稿した連載小説『アポロンの顔をして』全15話を再掲・再連載しています。恋という“信仰”の破滅を描いたモノローグ的作品です。

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『ここから逃げないと!』
 迫り来るスーツの集団にアポロンの幻影を見て恐れ慄いたわたしは、背を向け一目散に走り出した。逃げなくては、アポロンの目の届かぬ場所へ。
 救いはすぐそこにあるはずだった。北口まで行けば百貨店がある。ま

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アポロンの顔をして 13【連載小説】

アポロンの顔をして 13【連載小説】

2017年に投稿した連載小説『アポロンの顔をして』全15話を再掲・再連載しています。恋という“信仰”の破滅を描いたモノローグ的作品です。

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 ペデストリアンデッキの上で倒れゆく身体。まず柵の手すりが反射的にわたしの右腕を支えた。続いてすぐさま何かに左腕を掴まれ、引っ張り上げられたおかげで、地面への激突は回避された。軽く膝を打ったのちに横座りの姿勢で崩れ落ち、両手で

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アポロンの顔をして 14【連載小説】

アポロンの顔をして 14【連載小説】

2017年に投稿した連載小説『アポロンの顔をして』全15話を再掲・再連載しています。恋という“信仰”の破滅を描いたモノローグ的作品です。

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 玄関のフローリングってこんなに冷たかったのか。目覚めたわたしはしばらく頬を床につけたまま動かずにいた。自分の体温も低いから、いくらつけていてもどちらも温まらない。全身の筋肉痛がひどくて、そこから動く気にもならなかった。
 い

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