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RIPPLE〔詩〕

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2020年4月の記事一覧

四行詩 24.

四行詩 24.

 バルコニーは風の抱擁を待っていた

 漆黒の屋根が挑む晴天の青 何もかもを

 キラめかせた帆が三つ巴を申し込む

 我も我も あれよあれよと 戦場は愉快



【詩】 安息池

【詩】 安息池

  

  ダム見つけたよ
  こんな大きなダム
  どこに隠れていたのだろうか
  側壁に這う蔦に埋もれて
  蛇口がひとつ
  ひとつだけ
  え、こんなんじゃダメだよね?
  「洪水吐」を探さなくては

  観測を任せた鷹は
  帰ってこない
  ビキニの美女は
  端からいない
  永遠の疲労

  歩けども、歩けども
  ない、ない
  ダムというより
  壺みたいだな
  放水などでき

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エミューの宴 【寓話】

エミューの宴 【寓話】

 起伏のない常闇に
 すべての命は眠っていた
 割れ目にしつらえた寓居に
 太陽もまだ眠っていた
 月や宵の明星が寄り添っていた
 天の川の兄弟たちも

 名もなき無数のプランクトンは
 闇の底で待ちわびていた
 形と言える形を持たず
 色と言える色を持たず
 その時を、永遠の眠りから目覚める時を
 ひたすら待ちわびていた

 最初に目覚めたのは
 小さな傷のようなエーテルだった
 大地に起伏がな

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