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檸檬読書記録 『光のとこにいてね』 『テディが宝石を見つけるまで』

今日の本は
一穂ミチ『光のとこにいてね』

古びた団地で、普通なら決して出会うことはなかった2人の少女が出会う。
2人は環境も性格もまるで違っていて、けれど不思議と苦ではなく、自然と惹かれあう。
2人でいられれば幸せで…。
だけど2人の運命は残酷で、幾度も引き裂かれてしまう。
それでもやはりお互いにお互いが必要で…。
何故こんなにも惹かれあってしまうのか、戸惑いもがき、運命に翻弄される。

といった内容で、なんとも心を震わさせる本だった。
読み終わった後に、読んで良かったと思える作品だった。
ただ、良かったと思うのに、それを表すのがものすごく難しい作品でもある。
2人の愛が、友愛だったのか恋愛だったのか、はたまた家族に対するような愛情だったのか、それすらも曖昧で、表現し難い。お互いにお互いが必要で、まさに運命的な出会いであり、純愛であることは分かる。
分かるのだけど…。難しい。
このもどかしさを、是非とも読んで体験してほしい。(ただ、自分が語彙力も理解力も低く表現できないだけで、もどかしさを感じているのは、もしかしたら自分だけかもしれないけど…)


それにしても、この本はタイトルから魅力的だと思う。

『光のとこにいてね』

最初は、待ち合わせの意味で、光の当っている場所にいてね、と使う。
だけどこの言葉には他にもいくつか意味があって、それを知った時、心が震えた。
光に当てられたように、眩しくなった。

この本は、ただただお互いが必要でそばにいたい、それだけのことなのに、なかなかに叶わない。
それが本当にもどかしくて苦しくて、切ない。最後の最後までもどかしい。
だけど読み終わっても、まだ先が読みたかったと願うほどに、読み続けていたいと思った。
それほどまでに、読んで良かったと思える本だった。
運命の出会いのように、出会えて良かった思う作品だった。



もう1冊は、

パトリシア・マクラクラン『テディが宝石を見つけるまで』

児童書。

「犬は、言葉をしゃべります。
でも、詩人と子どもたちにしか聞こえません。」

この言葉から始まる。なんともいい始まりではないだろうか。最初から引き込んでくる。

内容は、

テディという主を亡くしな犬が、吹雪の中で迷子になっていた2人の子どもを見つける。
テディは2人を自分の家まで案内し、吹雪が収まるまで過ごすことに。
その間に子どもたちとたくさんの話をし、今はいない主・シルバンさんのことを思い出しながら物語は進んでいき…。
心温まる小さな奇跡の物語。

といった感じ。
シルバンさんの思い出が次々と出て、その1人と1匹が過ごした日々の思い出がかけがえのないものだと知っていく度に、少し切なくなった。
だけど、タイトルにある「宝石」の意味を知った時、心が震えた。
なんて優しい物語なのだろうかと、心が温かくなった。心が洗われる気がした。


ああなんだか、心が満たされた。
続けて良い本に出会えて歓喜しつつ、今回は閉じようと思います。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
ではでは。


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