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『ロウズメアリの赤ちゃん』と美内すずえのまんが『13月の悲劇』『魔女メディア』

1947年(昭和22年)6月4日、有楽座で、44歳の北條秀司(ほうじょう・ひでじ、1902年11月7日~1996年5月19日)作の新国劇『王将』第一部が初演された。
1906年(明治39年)から1921年(大正10年)までの将棋棋士・坂田三𠮷(1870年7月1日~1946年7月23日)を描く。

坂田三吉を42歳の辰巳柳太郎(たつみ・りゅうたろう、1905年4月20日~1989年7月29日)、関根金次郎(1868年4月23日~1946年3月12日)を41歳の島田正吾(1905年12月13日~2004年11月26日)が演じた。

1958年(昭和33年)10月15日、「世界恐怖小説全集」1(第2回配本)、S・レ・ファニュ(Sheridan Le Fanu、1814年8月28日~1873年2月7日)著、56歳の平井呈一(1902年6月16日~ 1976年5月19日)訳『吸血鬼カーミラ』(東京創元社、230円)が刊行された。
箱絵は43歳の関野準一郎(1914年10月23日~1988年4月13日)だ。
表紙絵は50歳の品川工(しながわ・たくみ、1908年6月11日~2009年5月31日)だ。

白い手の怪」Narrative of the Ghost of a Hand (1863)
緑茶」Green Tea(1869)
仇魔」The Watcher, or the Familiar (1851)
判事ハーボットル氏」Mr. Justice Harbottle (1838)
吸血鬼カーミラ」Carmilla(1872)

1960年(昭和35年)4月、ミラーノで、32歳のロジェ・ヴァディム(Roger Vadim、1928年1月26日~2000年2月11日)序、32歳のオルネッラ・ヴォールタ(Ornella Volta、1927年1月1日~2020年8月16日)、30歳のヴァレーリオ・リーヴァ(Valerio Riva、1929年12月27日~ 2004年5月26日)編の37編の吸血鬼物語集『われらの間の吸血鬼』I Vampiri tra noi(Feltrinelli Editore)が刊行された。

アレクセイ・トルストイ(Алексей Толстой、1817年9月5日~1875年10月10日)の「吸血鬼(ヴルダラーク)の家族」La Famiglia del Vurdalak、ギ・ドゥ・モパサン(Guy de Maupassant、1850年8月5日~1893年7月6日)の「オルラ」L’Horlà(Le Horla)(1886, 1887)も収められた。

この本はイターリアの恐怖映画脚本家の種本となった。

1960年(昭和35年)9月14日、フランスで、レ・ファニュカーミラ』原作、ロジェ・ヴァディム監督のフランスとイターリアの合作の総天然色映画劇『それに喜びと共に死ぬのです(血とバラ)』Et mourir de plaisir (Il sangue e la rosa) (85分)が公開された。
設定は同時代に置き換えられた。

フランセ語題『それに喜びと共に死ぬのです』は、1640年に初演された、ピエール・コルネイユ(Pierre Corneille、1606年~1684年)の五幕韻文悲劇『オラース』Horaceの古代ローマのキャミーユ(Camille)(カミッラ(Camilla))の第5幕。第4場の台詞「私だけの問題、それに喜びと共に死ぬのです!(Moi seule en être cause, et mourir de plaisir!)」から採られた。

カルミラアネットゥ・ヴァディム(Annette Vadim、1936年12月7日~2005年12月12日)が演じた。

1961年(昭和36年)9月、日本コロムビアから、北條秀司原作、魚住秀脚色、32歳の村田英雄(公称1929年1月17日~2002年6月13日)、29歳の田代百合子(1931年11月3日~)(台詞)、花園かほる(三味線)、29歳の船村徹(1932年6月12日~2017年2月16日)(音楽主題歌作曲)、コロムビア・オーケストラ『浪曲 王将』のLP盤(DL-60、800円)が発売された。

主題歌の作詞はクレジットはないが、69歳の西條八十(さいじょう・やそ、1892年1月15日~1970年8月12日)だった。

吹けば飛ぶよな 将棋の駒に
賭けた命を 笑わば笑え
うまれ浪花の 八百八橋
月も知ってる おいらの意気地

1961年(昭和36年)11月、日本コロムビアから、村田英雄豊寿豊静(三味線)、コロムビア・オーケストラ王将」(3分13秒)、「小春月夜」(3分43秒)のシングル盤(SA-735)が発売された。

1961年(昭和36年)12月31日、NHK総合テレビの生放送の歌番組、第12回「紅白歌合戦」に男性陣の白組で32歳の村田英雄が初出場し、「王将」を歌った。
歌唱時間が2番の歌詞までしかなかったため、「何がなんでも勝たねばならぬ」とある3番の歌詞を2番に替え、女性陣の「紅組」との命を懸けた真剣勝負に意気込みを見せた。

1962年(昭和37年)3月7日、丸の内東宝で、総天然色映画劇『血とバラ』Blood and Rosesのイングリッシュ語吹替え版の日本語字幕スーパー版が公開された。

1962年(昭和37年)11月23日、北條秀司の戯曲『王将』の三度目の映画化、64歳の伊藤大輔(1898年10月13日~1981年7月19日)脚本・監督、39歳の三國連太郎(1923年1月20日~2013年4月14日)の映画劇『王将』(92分)が公開された。
主題歌に村田英雄の「王将」が使われた。

11歳の美内すずえ(1951年2月20日~)はこの映画劇に大きな影響を受けたという。

1964年(昭和39年)4月25日、35歳の澁澤龍彦(1928年5月8日~1987年8月5日)著『世界悪女物語』(桃源社、360円)が刊行された。
装幀・カットは31歳の真鍋博(1932年7月3日~2000年10月31日)だ。

ルクレチア・ボルジア 十五世紀イタリア
エルゼベエト・バートリ 十七世紀ハンガリア
ブランヴィリエ侯爵夫人 十七世紀フランス
エリザベス女王 十六世紀イングランド
メアリ・スチュアート 十六世紀スコットランド
カトリーヌ・ド・メディチ 十六世紀フランス
マリー・アントワネット 十八世紀フランス
アグリッピナ 一世紀ロオマ
クレオパトラ 前一世紀エジプト
フレデゴンドとブリュヌオー 六世紀フラヌ
則天武后 七世紀中国
マグダ・ゲッベルス 二十世紀ドイツ

1966年(昭和41年)3月15日、「ハヤカワ・ライブラリ」、37歳の澁澤龍彦著『秘密結社の手帖』(早川書房、270円)が刊行された。
カバー画は上泉秀俊だ。

秘密結社の輪郭
原始民族の結社とその名残り
古代における密儀宗教
グノーシス派の流れ
薔薇十字団
フリー・メーソン
さまざまな政治的秘密結社
クー・クラックス・クランその他
犯罪的結社その他
悪魔礼拝と魔術のサークル
アジアの秘密結社
イスラム教の秘密結社

1967年(昭和42年)3月12日、ニュー・ヨークで、38歳のアイラ・レヴィン(Ira Levin、1929年8月27日~2007年11月12日)の長篇小説『ロウズメアリの赤ちゃん』Rosemary's Baby(Random House)が刊行された。
ニュー・ヨークの富裕層の悪魔崇拝を描く。

1967年(昭和42年)9月発売の少女まんが誌『別冊マーガレット』(集英社)10月号(130円)に、第7回「少女まんがスクール」金賞、16歳の美内すずえの読み切りまんが「山の月と子だぬきと」が掲載された。

1967年(昭和42年)11月10日、「ハヤカワ・ノヴェルズ」、アイラ・レヴィン著、42歳の高橋泰邦(1925年5月31日~2015年2月12日)訳『ローズマリーの赤ちゃん』(早川書房、400円)が刊行された。

1968年(昭和43年)6月12日、ニュー・ヨークの規範劇場(Criterion Theatre)とローの塔東劇場(Loew's Tower East Theater)で、アイラ・レヴィン原作、37歳のロバートゥ・エヴェンス(Robert Evans、1930年6月29日~2019年10月26日)制作総指揮、53歳のウィリアム・キャスル(William Castle、1914年4月24日~1977年5月31日)制作、34歳のロマン・ポランスキ(Roman Polanski、1933年8月18日~) 脚本・監督の映画劇『ロウズメアリの赤ちゃん』Rosemary's Baby(136分)が公開された。

同作は1967年(昭和42年)8月21日から12月6日にかけてニュー・ヨークで撮影された。
ロウズメアリ・ウドゥハウス(Rosemary Woodhouse)を23歳のミア・ファロウ(Mia Farrow、1945年2月9日~)が演じた。

ロウズメアリの住むマンハトゥンのダコタ(The Dakota)という高層建物内にある高級住宅は、58歳の映画スター、ロバートゥ・ライアン(Robert Ryan、1909年11月11日~1973年7月11日)の所有する部屋だった。

ダコタに隣接する高級アパート「ラナム(The Langham)」には、撮影当時、ミア・ファロウの母の56歳の映画スター、モーリン・オサリヴァン(Maureen O'Sullivan、1911年5月17日~1998年6月23日)が住んでいた。

映画劇での使用楽曲の作曲・演奏は、36歳のクシシュトフ・コメダ(Krzysztof Komeda、1931年4月27日~1969年4月23日)がクリストファー・コメダ(Christopher Komeda)名義で手がけた。

1969年(昭和44年)1月11日、日比谷の「みゆき座」で、映画劇『ローズマリーの赤ちゃん』Rosemary's Babyの53歳の高瀬鎮夫(1915年8月13日~1982年10月14日)訳の日本語字幕スーパー版が公開された。

日本ビクターから、「映画サウンドトラック・シリーズ」第15集『ローズマリーの赤ちゃん』Rosemary's BabyのLP盤(SJET-8101、1,750円)が発売された。 

収録曲は、A面が、「ローズマリーの子守唄」Lullaby, Part 1、「集会」The Coven、「モーメント・ミュージカル」Moment Musical、「ドリーム」Dream、「クリスマス」Christmas、「期待」Expectancy、B面が、「ローズマリー・ベイビー」Main Title (Vocal)、「パニック」 Panic、「ローズマリーのパーティー」 Rosemary's Party、「部屋の向うで」Through The Closet、「その目にどうしたの」What Have You Done To Its Eyes、「ハッピー・ニュース」Happy Newsだった。

ローズマリーの子守唄」「ローズマリー・ベイビー」の唄はミア・ファロウがスキャットで歌っている。

1970年(昭和45年)4月10日、「創元推理文庫」、レ・ファニュ著、67歳の平井呈一訳『吸血鬼カーミラ』(東京創元社、200円)が刊行された。
カバーのADは日下弘(くさか・ひろし、1932年6月1日~1989年2月13日)、デザインは永井孝子原弘だ。

白い手の怪
墓堀りクルックの死」The Dead Sexton(1871)
シャルケン画伯」Schalken the Painter(1839)
大地主トビーの遺言」Squire Toby's Will (1868)
仇魔
判事ハーボットル氏
吸血鬼カーミラ

1971年(昭和46年)8月13日発売の『別冊マーガレット』9月号(150円)に、20歳の美内すずえのまんが『13月の悲劇』前編が掲載された。

妻子がいることを隠している映画スター、ラリー・ベンスンの10代半ばの娘のアメリカ人マリー・サザランドが9月のある日、イギリスの女子専門学校「聖バラ十字学校」に転入学する。
ママは病気で死に、ラリーの指示でマリーはイギリスの寄宿舎に入れられたのだった。

1971年(昭和46年)9月発売の『別冊マーガレット』10月号(150円)に、20歳の美内すずえのまんが『13月の悲劇』後編が掲載された。

1972年(昭和47年)1月31日、「ハヤカワ文庫NV」、アイラ・レヴィン著、高橋泰邦訳『ローズマリーの赤ちゃん』(早川書房、280円)が刊行された。

1973年(昭和48年)8月20日、「マーガレット・コミックス」、美内すずえ著『13月の悲劇』(集英社、250円)が刊行された。
13月の悲劇」のほか、「進め!バディ」(『別冊マーガレット』1969年10月号)、「ロッテの恋人」」(『別冊マーガレット』1968年5月号)、「山の月と子だぬきと」を収めた。

1973年(昭和48年)11月2日、フジテレビの映画番組『夜のロードショー』で、映画劇『血とバラ』Blood and Rosesの日本語吹替え版が放映された。
カミーラを29歳の上田みゆき(1944年6月2日~)が吹き替えた。

1974年(昭和49年)8月13日、ニュー東宝シネマ2で、映画劇『ローズマリーの赤ちゃん』Rosemary's Babyの高瀬鎮夫訳の日本語字幕スーパー版が公開された。

1975年(昭和50年)8月発売の『別冊マーガレット』9月号(220円)に、24歳の美内すずえのまんが『魔女メディア』前編が掲載された。

亡くなった父の弟の屋敷で暮らす17歳の孤児リリーは、養父のおじがホテルに改造するローゼンハイツ地方の古城を訪ねる。
300年前、「魔女」と呼ばれたメディア・バトリーは多くの人々を殺した罪でその古城の塔に監禁され生死不明だ。

1975年(昭和50年)9月発売の『別冊マーガレット』10月号(200円)に、24歳の美内すずえのまんが『魔女メディア』完結編が掲載された。

1975年(昭和50年)10月22日、東京12チャンネルの洋画番組『木曜洋画劇場』で、映画劇『ローズマリーの赤ちゃん』Rosemary's Babyの原田たけみ訳、中野寛次(1930年?~2000年8月14日)演出の日本語吹替え版が放映された。
ローズマリーの声を40歳の武藤礼子(1935年3月1日~2006年10月29日)が吹き替えた。
解説は南俊子(?~1993年)だった。

1977年(昭和52年)12月20日、「マーガレット・コミックス」、美内すずえ著『魔女メディア』(集英社、320円)が刊行された。

1979年(昭和54年)11月15日、43歳の鈴木光明(1936年2月8日~2004年11月14日)著『少女まんが入門初歩からプロになるまで』(発行:白泉社、発売:集英社、1,200円)が刊行された。

1992年(平成4年)10月30日、「愛蔵版ASUKA COMICS DX」、美内すずえ著『13月の悲劇美内すずえ怪奇傑作集』(角川書店、税込み1,600円)が刊行された。
13月の悲劇」、「黒百合の系図」(『月刊LaLa』(白泉社)1977年9月号~11月号)、「白い影法師」(『月刊ミミ』1975年10月号)、「すずりんのしめきりLIFE(ライフ)1」、「魔女メディア」、「すずりんのしめきりLIFE2」、「妖鬼妃伝」(『なかよし』(講談社)1981年9~11月号)、「すずりんのしめきりLIFE3」、「孔雀色のカナリア」(『月刊セブンティーン』(集英社)1973年12月号~1974年2月号)、「美内すずえの神秘体験」、「作品解説」を収めた。

2013年(平成25年)6月1日、渋谷シアター・イメージフォーラムで、映画劇『ローズマリーの赤ちゃん』Rosemary's Babyのニュープリント版の高瀬鎮夫訳の日本語字幕スーパー版が6週間限定公開された。

2018年(平成30年)1月12日、「このマンガがすごい!comic」、美内すずえ著『13月の悲劇美内すずえセレクション白の書』(宝島社、本体1,500円)が発売された。
13月の悲劇」、「白い影法師」(『月刊mimi』(講談社)1975年10月号)、「孔雀色のカナリア」(『月刊セブンティーン』(集英社)1973年12月号〜1974年2月号)を収めた。

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