【入門】法律の見方

今回は、法律の見方について解説していきます。

よくニュースや法律を扱う記事等において、「〇〇法第〇〇条〇〇項参照」などの言葉が出てくることがあります。

しかし、一体法律のどの部分を指しているのかよくわからないという方が多いのではないでしょうか。

以下の条文を例に考えていきましょう。

(債務不履行による損害賠償)
民法第415条 
①債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは,債権者は,これによって生じた損害の賠償を請求することができる。
ただし,その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは,この限りでない。
② 前項の規定により損害賠償の請求をすることができる場合において,債権者は,次に掲げるときは,債務の履行に代わる損害賠償の請求をすることができる。
一 債務の履行が不能であるとき。
二 債務者がその債務の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。
三 債務が契約によって生じたものである場合において,その契約が解除され,又は債務の不履行による契約の解除権が発生したとき。 

条はわかりやすいですね。
比較的ニュースなどでもよく出てきますね。
民法第415条と言った場合には上にあげた条文の全てを指しています。

次に「項」(「こう」と読みます。)を見ていきましょう。
上の条文中①の塊を1項、②の塊を2項といいます。
条よりも小さな区分のことですね。

書店で販売されている六法には基本的に「①」で示されていることが多いですね。法務省のHPなどの法律案などでは、「2」としか書かれていません。
また法務省のHPでは1項には数字がふられておらず、2項から、「2」と記載しています。

次に「号」(「ごう」と読みます。)を見ていきましょう。↓

② 前項の規定により損害賠償の請求をすることができる場合において,債権者は,次に掲げるときは,債務の履行に代わる損害賠償の請求をすることができる。
『一 債務の履行が不能であるとき。』
『二 債務者がその債務の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。』
『三 債務が契約によって生じたものである場合において,その契約が解除され,又は債務の不履行による契約の解除権が発生したとき。』

『』で区切られた部分ですね。
漢数字で示された一の塊を1号同様に、2号、3号と続きます。
号は項よりも小さな区切りのことをいいます。

したがって、
『一 債務の履行が不能であるとき。』の部分を示したいときは、
「民法415条2項1号」となります。

まとめますと・・・

条>項>号 となります。

では、号よりも小さな区切りはどうなるのでしょうか

それは、号の下から
「イ、ロ、ハ、ニ、ホ、ヘ、ト、チ、リ、ヌ、ル、ヲ…」と続いていきます。

また、415条1項 ↓

①債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは,債権者は,これによって生じた損害の賠償を請求することができる。
ただし,その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは,この限りでない。

の「ただし・・・この限りでない。」の部分については、
但書き(「ただしがき」と読みます)といいます。

またこれに対して、1項中の「債務者が・・・できる。」の部分を「本文(ほんぶん)」と言ったりもします。

まだ続きます・・・。

415条2項 ↓

『② 前項の規定により損害賠償の請求をすることができる場合において,債権者は,次に掲げるときは,債務の履行に代わる損害賠償の請求をすることができる。』
一 債務の履行が不能であるとき。
二 債務者がその債務の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。
三 債務が契約によって生じたものである場合において,その契約が解除され,又は債務の不履行による契約の解除権が発生したとき。

「②前項の・・・ができる」までの部分を柱書(「はしらがき」といいます。) 『』で囲った部分ですね。
柱書は条文中に1号、2号と号が列挙されているときに、号の列挙部分を除いた部分のことをいいます。 


条文のいろいろな部分を指す言葉がたくさんありますね。



今日はここまでとしましょう。


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