![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/124230884/rectangle_large_type_2_a3d9f586bbf4c4e6c6359f8821397305.jpeg?width=1200)
近松心中
花に
己が意思で摘まれることなど
あり得るわけなどなく
雨も
花弁を散らさぬよう
添い続けるのみ
石は
形を変えず
其を見守り
花と雨が枯れても
世界は異もなし
時が止まったと思うたとて
それは瞬きほどの静止
死せる自由など
在る筈もなく
呪法を解く言葉すらないのであれば
せめて
何時の日か
共に果てようぞと
責を全うすべく足掻きつつ
繋がりし
仕舞いを思い画くも
其れさえも
朧
此
近松心中
也や
錆色の月にて
総て
了
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?