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家事労働(3)-アンバランスは何処からくるか

共に働き、家事も共担していたはずの関係がなぜ、そこに育児が加わることでそのバランスが崩れてしまうのか?


【パターン① 今は仕事をしていないから。】
これは女性が男性を家事労働の場から追いやってしまうことで始まっているかもしれない、ということを女性側がよく理解しておいた方が良いと思う。自分で自分を苦しめている場合が多いのだ。

女性が初めての育児休業に入りたての頃、妊娠の経過に特に問題がなければ、急に仕事が無くなり、時間が沢山できる。
身体はつらくとも、久しぶりに家でゆっくり過ごすことの出来る日々に、最初はとまどい、とりあえず今まで出来ていなかった念入りな掃除をしてみることから始めてみる。次第に子どもの洋服を作ってみたり、お菓子作りをしてみたり、凝った料理をしてみたり…。持て余した時間を家事に注ぐ人が多いのではないか?

そんな約1ヶ月の間に、男女双方の中に潜んでいた「家事は女の仕事」という考えが顔を出し「今は仕事をしていないからね」という最もらしい理由が与えられる。

子どもが生まれると、はじめの数ヶ月は里帰りをする事で家事から離れたり、そうでなくても出産・誕生の感動から身体を労ってもらえる期間が訪れる。
この期間は家事云々というより、初めての育児に精一杯で、他のことは殆ど記憶にないという人の方が多いだろう。

子どもの誕生から3ヶ月も経てば、母体もだいぶ回復し、乳児が寝ている間に家事をすることが、むしろ”楽しみ”となる。

なぜなら、家事をしている時間だけが、自分が自由にできる時間であり、唯一の達成感を得られる場でもあるからだ。
乳児が目覚めれば、母の時間はその乳児のものとなり、全ての行動に制限がかかる。母乳やミルクを与え、ゲップをさせ、オムツを取り替え、吐き戻しの処理をし、せっかく起きている可愛い我が子を堪能し…と思えばまたオムツを替え、室温を調節してやり、何を要求しているのかわからない泣き声に付き合い…。
育児には終わりが無いので、達成感を得づらい。こんなにヘトヘトなのに、私は何をしていたのだろう?と思う場面が沢山ある。
そんな生活の中で「洗濯をした」「掃除をした」「夕飯を作った」という達成感が楽しみになってゆく。

しかしこれが、子どもが6ヶ月にもなればうまく回らなくなる。
離乳食も始まり、慣れないその準備に追われ、早い子であれば後追いも始まり母の姿が見えなくなれば大変な騒ぎになる。(そして子どもの泣き声、子供を泣かせたままでいることは、母初心者にとって大きなストレスだ。)体力もついて、起きている時間も長くなる。

子どもが成長し手がかかるようになる分、徐々に今まで出来ていた家事に手が回らなくなってゆくのだ。

そんなに大変な思いをしているのにもかかわらず、夫にそれを打ち明けることが出来ない。
なぜなら「自分は今、仕事をしていないから。」ソトで働くことの大変さを知っているが故に、助けを求めることが出来ない。
(だからこそ"察してほしい"と怪訝な態度を取り始める。)

ここまで約7ヶ月。
男性側からすれば、「彼女は今、仕事をしていないから。」家事は任せて良いものだ、とすっかり思い込んでしまっている。
その上、この期間で家事が難しくなっているのだ。
「育児は大変だと思うが、ずっと家にいるのだし。自分には子どもためにも、大黒柱として稼いでくる責任があるし。(そのためにソトで苦労してきているのだから…)彼女も復職をすれば、その時には自分も家事をせねばと思うが…今は家事がすっかり彼女のルールになっていることもあって、手が出しづらいし…。」
などと考えている人が多いのではないだろうか。


【すれ違い】
こうして生まれたすれ違いには、子どものためにも早く手を打っておくべきだ。
時間が経てばたつほどその溝は深まり、修復が難しく、そして不能になってゆく事を、私は自分の両親から学んだ。

親の不和を見るというのは、子どもにとってなによりもつらく、深い傷になる。

育児はその日その日で忙しさが変わる。昨日は夜泣きで全く眠れなかったのに、今日はこんなに眠れた…昨日はこれでご機嫌だったのに、今日はもう全然通用しない!などなど、その日によって母に余裕がある日とそうでない日がある。

女性からは、そのような育児の事情を説明し「ソトで仕事をすることの大変さはわかっているので、出来る時は頑張る。けど、ダメな日にはお願い。」とか、「夕飯の後片付けと、週末の掃除はお願い。」など、どんどん依頼しよう。

2度目になるが、もとを辿れば自分が招いたことでもある、ということについても真摯に受け止めた方が良い。(「彼は何もしない!」「私ばっかり!」などという感情は言葉尻に現れてしまいます。が、男性からすれば"とばっちり"である部分もあります。)

エスパーじゃないので「わかってくれるだろう」「察して」では相手はわからない。我々女性は(自分たちがそうしているから)「察っすることが愛」であると考える人が多いと思うが、これは男性からしたら「意味不明。言われなきゃわからないよ。」なのだそう。
これには男女の育てられ方の差や、社会から与えられた役割の差("配慮"は女性の役割とされていますよね。)も関係していると思うが、文句を言っても仕方のないことなので、諦めた方が楽です。

男性は、是非想像力を働かせて、女性の話を聞きましょう。
”話を聞く“というのは男性にとって苦痛な時間かもしれないが、まずは相手の話を否定せず、「そうだね。」と丸ごと聞いてみてください。それだけで少し空気が変わるはず。その上で、今後の話をしましょう。
また昨今では育児や夫婦関係についての漫画やコラムなど、女性だけでなく男性が発信しているものも、ネットで検索すれば沢山出てきます。それらは“他所の話“でなく、どこの家庭にも共通していることなので、自分ごととして情報収集してください。


【そもそもアンバランス】
そしてそもそも、仕事(男性):家事・育児(女性)の1:2という状況である事を思い出しましょう。
育児は仕事と同じくらいか、自分に自由が一切ない(お昼ご飯を食べる時間さえもない日があるくらいに…)という意味ではそれ以上にハードかもしれません。

仕事と育児、どちらが大変か?は不毛な議論かもしれないが、いずれにせよ
女性は自信を持って家事を頼んで良いし(それでも負担が軽くならなければ、外注をしたら良いと思います。)男性が「仕事をしている」と威張ることは、おかしいはずです。


【家事のルール】
この期間に生じた家事ルールの相違については具体的に共有しましょう。
子どもの洋服や、哺乳瓶やマグなどの食器など、新たなアイテムにまつわる新ルールも出来ていると思います。
必ずお互い「何故こうするか」という理由があるはず。それを打ち明け合い、納得できる共通ルールを作りましょう。
とても面倒な作業だと思いますが、これも早くに解決させた方が楽です。


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まだまだ続きます。


【パターン②  俺がカネを稼いでいる。(から、エライ)】
妻が専業主婦である家庭に当てはまることが多いかと思いますが、なんと育児休業中の妻に対してこのような態度を取る男性もいらっしゃいます。
その話を聞いた時には、驚きで言葉を失ないました。

これはとても厄介なパターンですが、これにも対抗できる理屈があります。
が、とんでもなく難しいです。(マルクスの「生産労働と再生産労働」についてになりますが、マルクス自身の論説も破綻しているらしく、とっても複雑。)

「生産労働と再生産労働」という記事でまとめようかと思いましたが、私の力では厳しそうなので一旦諦めます。


ということで、次回またザックリと、書きます。


(続く)




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