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楽しく美しく生き延びよう

今出ているお題の #8月31日の夜に を見ていて、わたしはどうだったかなと考えると、「学校が始まる」こと自体は、そこまで嫌ではなかった気がした。
それでも、自殺を考えていたり、家から出たくなかったりする子以外の子、8月31日を何も言わずに過ごして9月1日の朝に靴をはける子でも、全てが楽しかったり良いことばかりかというとそんなことないんじゃないか、と思う。

死にたくなくても、いじめられていなくても、もやっとしたり、傷ついたりする。そういう部分こそを、わたしはいつまでも見つめていたいなと思う。
「死にたいと思っているあなたへ」と言われると、そこまででもない。そこまででもないから誰に言うことでもないように思えた痛みが、あの頃さみしかったから。


大人になって一番よかったなと思ったのは、お金を使えて、自分の行動は自分で決められることだ。おかげで、先の楽しみを作りやすくなった。死にたいとまでは思わなくても、明日を、今年を、生き延びて行くために必要なのは、来週の、来月の楽しみだと思う。

好きなアニメの来週の回。
来月発売の新刊。
ゲームのクリア。
ひとりで絵を上達させること。

それらに救われていたから、今わたしは出版の世界にいるし、フィクションとともに心中する気でいる。自分を救ってくれるものを持つのはとても大切だ。
今でも生き延びるために持っているのは、来月の演劇のチケットであり、封切り予定の映画であり、漫画の続きであり、次のクールのドラマなので、根本的なところは何も変わらない。

それから、ちょっとした痛み、やりたくないこと、向き合いたくないことを乗り越えさせてくれたのは、自分の中だけのゲーム設定だった。
この宿題が終わったら3ポイント。
嫌いな体育は5ポイント。
10ポイント貯まったら30分ゲームをしていい。
そう思うと、身近にある「ねばならない」が全て、ミッションへと変わっていった。

どんなに楽しい現場にいても、好きな人に囲まれていても、小さなもやもやや悲しみは絶対に回避できないからこそ、そこからの自分にあった逃亡方法を持っていたい。逃げてもいいから、今日も楽しく美しく生き延びよう。

読んでくださってありがとうございます!あまくておいしいものか、すてきな本を探しにゆきます。