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トランザクティブメモリーを高めよう

トランザクティブメモリーとは

トランザクティブメモリーとは、1980年代半ばにアメリカの社会心理学者、ダニエル・ウェグナー氏が提唱した、組織内の情報の共有で大事なことは、同じ知識を組織の全員が記憶するのではなく、組織内の「誰が何を知っているか(Who knows What)」を共有することが重要という考え方です。

組織の中で情報共有は大切ではありますが、組織のメンバー全員が同じことを知っているというのは、パフォーマンスが良い状態ではありません。なぜなら、一人の人間の覚えられる記憶量には限界があり、全員が同じことを覚えても、組織の知識は広がらないからです。

一方で、組織のメンバーが、それぞれ何らかの専門家であった場合、「この分野に関しては、この人に聞くとよいです」ということが組織で共有できていれば、組織全体の知識は、広く、深いものになります。

組織のパフォーマンスを上げる時は、全員が同じ知識を持つよりも、「この件に関しては、この人に聞いてください」という「誰が何を知っているか?」の情報を共有することが重要となります。

トランザクティブメモリーの高め方

トランザクティブメモリーの効果を確認するために、カップルを被験者として、次の3つで比較する実験を行いました。
 ① 対面・口頭でのコミュニケーション
 ② 顔が見えず口頭でのみコミュニケーション
 ③ 対面コミュニケーションで口頭でのやりとりを禁止

トランザクティブメモリーが最も高かったのは①ですが、最も低かったのが②であるという結果になりました。口頭でやり取りをしない③が、顔が見えない②より効果があることが驚きです。

つまり、トランザクティブメモリーを高めるのに一番重要なのは、「対面」コミュニケーションです。メール・電話によるコミュニケーションはマイナスの効果をもたらす可能性もあるということを認識しましょう。

トランザクティブメモリーを高めよう

現代では、リモートワークが当たり前の世の中になっています。トランザクティブメモリーを高めるために重要な「対面」コミュニケーションができず、職場では、チャット、メール、電話によるコミュニケーションが行われています。これでは、トランザクティブメモリーがマイナスになる可能性があります。

この状況で、トランザクティブメモリーを高め、組織全体の知識を高めるには、次のような対応が有効です。

1.役割と責任を明文化し共有
組織において業務を遂行する際、各メンバーは、それぞれの与えられた役割に応じて動きます。役割と責任を明文化し共有することが重要です。

2.業務プロセスを明文化し共有
業務を遂行するには、企画→仕様→開発→テストのようにプロセスが存在します。現在どのような状況で、誰が担当しているかを明らかにすることが重要です。

役割と責任が明確で、業務プロセス、業務状況がわかれば「この件に関しては、この人に聞いてください」と言える状況になります。トランザクティブメモリーを高めて、組織のパフォーマンスを最大化していきましょう!!

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