見出し画像

【メディア解剖連載 Vol.7】月刊総務 編集長 薄井浩子さん

現在、BtoB企業向けに広報部門立ち上げコンサルティングを行うリープフロッグ代表 松田純子PRコンサルタント/SPRing代表 高橋ちさが主催し、ライターとして企業広報の3名(橋尾日登美さん、前田弥生さん、堤はるなさん、野内遥さん)、宣伝担当として広報コンサルタント村田知左さん、フリーランス広報PR 奥野絵里奈さんに参加いただき【メディア解剖連載】を行っています。

※本連載の趣旨は、第1回記事の冒頭をご覧ください。

毎回、松田と高橋が専門とするBtoB分野のメディアの方をお招きし、
以下のような項目を中心にヒアリングしてnoteにインタビューを掲載
していきます。各社の広報の方に、ぜひお仕事の参考にしていただければと思います!

・媒体コンセプト、ターゲット読者
・取材の注力分野
・広報担当者との関り方
 など


第7回は、月刊総務 編集長 薄井浩子(うすい ひろこ)さん

にお話を伺います!


・月刊総務オンライン:https://www.g-soumu.com/
・月刊総務の媒体概要
(Web)https://www.g-soumu.com/about  
(雑誌)https://www.g-soumu.com/magazines/202401
・プレスリリースの送付先:
フォーム/編集部宛てのメールアドレス(soumu@g-soumu.jp



月刊総務 編集長 薄井浩子さん


プロフィール
月刊総務 編集長
社内広報、企業の社内報や会社案内・PR誌の制作、サイトのディレクション等のほか、タウン誌の創刊や書籍の編集などに携わる。2014年より『月刊総務』副編集長、2021年5月より現職


■月刊総務のコンセプトと読者


Q:月刊総務(誌面版、オンライン版)のコンセプト、ターゲットについて教えてください。

月刊総務は、誌面版とオンライン版の2つに分かれていて、「すべての総務パーソンの心に、火を。」というタグラインを掲げています。私が担当している誌面のメインターゲットは総務部のリーダー層です。総務の方々がもっと表舞台に出られるよう、戦略総務を行うためのヒントや各企業の総務部の取り組み事例などを紹介しています。

2023年4月に誌面を大規模リニューアルしたのですが、そこでさらに誌面版とオンライン版のすみ分けを行いました。誌面版は、リーダー層の方がじっくり読んで、業務のヒントや新しい施策を始めるきっかけにしていただける内容になっています。ロールモデルになるような人を紹介したり、先進的なオフィスを紹介したり、企画ページを充実させています。

一方、オンライン版は、実務担当者向けの情報が多く、担当者が業務で欲しいときに欲しい情報をどこでも見られるようにしています。以前は誌面で連載していたマニュアルや実務コラムも、オンライン版に移行しました。


月刊総務


月刊総務オンライン


Q:読者ターゲットの企業規模を教えてください。
 
メインターゲットは、会社が成長して社員数が100人を超え、総務担当者の数も増えて、これから会社を本格的に拡大していこうなどと考えている中堅企業様などです。但し、実際の読者層としては、中堅企業はもちろん、社員数700人を超えるような大企業も多いですね。

小規模な会社やスタートアップだと、立ち上げ当初は社長が総務的な仕事をやっていて、最低限の福利厚生や給料の対応で手いっぱいだと思います。読者としては、その初期ステージを超えた後の会社が多いです。
 
 

Q:月刊総務の競合メディアはありますか?
 
月刊総務は、“日本で唯一の総務専門誌”と名乗っているので、競合はありません。よく「企業実務」と比較されることもあるのですが、「企業実務」は経理や管理部門の実務を丁寧に取り上げてらっしゃっていて、月刊総務は人事・総務を中心に、「最新動向」「先進事例」により重きを置いています。そういった意味では違うのかなと思っています。

オンライン版でいうと、総務業務の雛形や現場ですぐ使える情報が充実しているという意味では、「 Somu-lier(ソムリエ)」や「総務の森」などと一部、重なる部分があるかもしれません。
 
ただし、情報として被るのは一部だと思います。現在、月刊総務のオンライン版ではニュース情報を充実させていて、総務が知っておきたいニュースを毎日ピックアップしてお届けしています。


■編集部の体制・求める情報


Q:編集部の体制を教えてください。 

誌面版には3人の編集部員がいます。テーマごとに担当分けをしているのではなく、企画担当制です。オンライン版の編集体制は、メイン担当者一人と誌面版との兼任者が一人の2人体制です。また誌面、オンライン共に外部スタッフ(ライター、デザイナー)の方にもご協力をいただいています。


Q:特集の内容はどのように決定しているのですか?

大きなテーマは年に2〜3回、営業も含めた全員が参加する編集会議で決めます。みんなで案を持ち寄って、何月頃に何をするのかを決めます。具体的な企画内容に関しては、企画担当がどういう構成にするか、どこに取材するか、などを決めて進めています。

編集会議は誌面もオンラインも一緒にやっていて、上がってきたテーマに対して、「これならWebの方がいいね」などといった形で決めています。

 

Q:今、特に注目しているテーマを教えてください。

総務に関することをいろいろと掲載しているのですが、今はどのテーマでも、“ミドルマネジメントの役割”の重要性が話題になります。リモートワークや健康経営、リスキリングにおいてもミドルマネジメントの役割が重くて大変です。結局、ミドルマネジメント自体を会社としてどのように育てていくか、サポートしていくかがますます重要になると思っていて、その辺りを掘り下げたいと思っています。あと今後予定しているのは育児や介護との両立支援、副業・兼業などでしょうか。

このほかで、よく取り上げるのはオフィス関連、SDGs、健康経営、ハラスメント系ですね。リスキリングに関しても、年に1回程度は特集をしています。


Q:コロナ禍を経て、オフィス関連ではどのような情報が注目されていますか?

オフィス関連でいうと、ファシリティマネジメントですね。コロナ禍で一旦縮小したオフィスに戻って来てもらおうとする、オフィス回帰の動きが増えています。ただし今のオフィスは、単にみんなで作業する場からコミュニケーションをとったり、コラボレーションをしたりする場に生まれ変わってきていて、変化の最中なので今後も重要なテーマになると思います。誌面上で先進オフィスを見学できる「次世代オフィスツアー」企画も人気です。


■編集部が求めている情報、提案時の注意点


Q:企業からの取材提案や情報提供についてどのように感じていますか? 

情報提供は毎日たくさん届いていますし、すごく重宝しています。月刊総務は“読者参加型の雑誌”であり、企業事例を数多く取材させていただいています。先ほどもお話しした通りさまざまなテーマを取材しているので、企業事例などの情報は常に募集しています。

 

Q:どんな情報をどんな形で提供すると、取材や寄稿の検討をしていただけますか?

例えば、コラムなどの寄稿の提案であれば、テーマと簡単な章立て案、概要のようなものを作成して送っていただけると、誌面・オンラインの双方で検討がしやすいです。

特に新しく出てきたテーマの解説記事などは、いち早く読者にお届けできるのでありがたいです。

あとは、総務という分野上、法改正に関する情報も常に追っています。最新の法改正についての解説をしてくださる方がいればぜひご提案ください。逆に、「デジタルツールの使い方解説」のような形で内容が自社製品の紹介になっているパターンは取り上げにくいです。製品紹介をするようなコーナーがないので、事例などであっても製品紹介が絡む内容だと掲載は難しいです。

また、「話せる」と「書ける」は全然違うので、寄稿をご提案いただく際に過去の執筆歴を教えていただけると原稿のイメージが掴みやすくて助かります。

 

Q:コラムや連載の提案は、民間企業よりも組織や団体、専門家の方が検討していただきやすいのでしょうか。

書きたいと言ってくださる方は社労士や弁護士など士業の方が多いですが、テーマによると思います。企業の提案で一番ありがたいのは、やはり自社の取り組みの紹介ですね。月刊総務では、社食をイラストで紹介する楽しい企画があるのですが、コロナ禍で社食がすごく減ってしまって。取材先に苦労しているので、社食があっていろいろ工夫している会社を知っていたらぜひ教えてほしいです。

 

Q:プレスリリースの送付から記事になることはありますか?

さきほどオンライン版でニュース情報を充実させているとお話ししましたが、こういった内容は企業から寄せられる日々のプレスリリースをもとに記事にすることがあります。総務の方が知っておくべき最新情報として掲載しています。

 

Q:プレスリリースなどの情報をメールで送る際の注意点を教えてください。

個人宛に届くメール、チーム全体に届くメールを合わせたら1日100通以上は届きます。提供していただく情報の数が多いので、全てを開いて確認することが難しく、件名に言いたいことの核心が書いてあるとありがたいです。

「最新のIT事情とは?」のような漠然としたタイトルだと、何について書いてあるか分からなくてメールを開きにくいです。具体的な内容が書かれてあると、興味のある内容を見つけやすいですね。後から検索し直すこともできます。今すぐではなくてもこの先取材したいタイミングが出てくるかもしれないので、取り組み内容が具体的に分かるタイトルをつけてメールなどで送っていただけるとありがたいです。

また、送ってすぐに取材に来てくださいと言われると困ってしまいます。特集のタイミングなどもあるので、取材タイミングに関しては少し気長にお待ちいただけると嬉しいです。

 

Q:記者発表会から情報収集をすることはありますか?

たとえば前述したよく取り上げているテーマについて、調査発表や有識者による解説、事例紹介などは参加することがあります。一方で、月刊総務では新商品を紹介するコーナーがないため、新製品発表の記者会見に行くことはあまりないですね。

また、興味はあっても取材等で行けないこともあるので、そういうときはアーカイブの共有をお願いすることもあります。


■効果的な連絡方法


Q:メールとお問い合わせフォーム、どちらにお送りすればよいでしょうか?

うちの場合で言えば、ニュース情報(になるプレスリリース)は、オンライン版の編集や外部のライターさんたちも見ているのでフォームの方がいいと思います。取り組み事例やオフィス移転などの情報であれば、資料が添付できるメールの方がいいかもしれません。稀に郵送してくださる方もいますが、郵送だと、その時にたまたま開けた人の判断で決まってしまうので、メールかフォームどちらかでいただければと思います。


Q:電話でのご連絡は問題ないでしょうか?

会社にお電話をいただいても出社していないことも多いため、まずはメールやフォームで情報を送っていただければと思います。

 

Q:最後に読者の広報さんにメッセージをお願いします。

月刊総務は23年4月のリニューアルで縦書きから横書きになり、内容も大きく刷新しました。ぜひ広報の皆様や皆様の会社の方に読んでいただきたいと思っています。

ありがとうございました!

(本記事は23年12月時点の情報です)


過去のメディア解剖連載はこちら



(ライター:前田弥生 
Xリンク
三重県熊野市出身。思い立って沖縄に移住後、未経験でローカル雑誌の編集として取材・ライティング・撮影・ディレクション等を経験。最終的に女性誌の編集長となり、ローカルインフルエンサーの立ち上げ等も行った。上京後は、IT企業の広報室を経て、イベントスペースFLAT BASESHARE LOUNG 外苑前の企画運営、SNS等を担当している。プライベートでは、保護猫施設のボランティアを行っている。趣味はキャンプ、サウナ、旅行、赤提灯飲みなど。


(取材・編集・構成:リープフロッグ 代表 松田純子)
B2B企業向けに、伴走型・人材育成型による広報部門の立ち上げ支援コンサルティングを行うリープフロッグ代表。「広報の目的=企業成長」と捉え、新人、ひとり広報でも最速で効率よく広報部門を立ち上げ、企業成長に資する広報活動が行えるよう支援。各種メディアでの執筆、登壇多数。趣味は少年隊の推し活 サービス資料&お問い合わせ先:リープフロッグHP


\宣伝/
リープフロッグ松田と高橋ちさ二人によるコンサル付き、実践&伴走型「プレスリリースの書き方講座」参加者募集中!  

この記事が参加している募集

広報の仕事

編集の仕事

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?