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【メディア解剖連載】IT業界記者主催「IT 系メディアの側から見る企業広報への本音」イベントレポート!

現在、BtoB企業向けに広報部門立ち上げコンサルティングを行うリープフロッグ代表 松田純子PRコンサルタント/SPRing代表 高橋ちさが主催し、ライターとして企業広報の3名(橋尾日登美さん、前田弥生さん、堤はるなさん)、宣伝担当として広報コンサルタント村田知左さん、フリーランス広報PR 奥野絵里奈さんに参加いただき【メディア解剖連載】を行っています。

※本連載の趣旨は、第1回記事の冒頭をご覧ください。

毎回、松田と高橋が専門とするBtoB分野のメディアの方をお招きし、
noteにインタビューを掲載
しています。

今回の【メディア解剖連載】は番外編として、2023年8月30日(水)に行われたIT業界記者有志主催の広報担当者向けイベント「IT 系メディアの側から見る企業広報への本音」~今宵は若手記者も遠慮なく語っちゃうよ~の中から話題を抜粋してレポートとしてお届けします!
 
この企画は、IT業界記者の皆さんが「こんな広報対応はうれしい、こんな広報対応はやめてほしい」について語り尽くし、総勢270名もの広報さんが参加した注目イベントです。記者のホンネがきける絶好のチャンス!ということで、今回はこちらのイベント取材をさせていただきました。
 
記者が何を求め、どう感じているのか、メディア側の目線と企業側の目線を合わせて、お互いのより良いアウトプットを目指す」(イベント告知文より)という本イベントの内容を広報の皆さんにしっかりとお伝えします。
 




まずは、今回モデレーターを務めた谷川さんの自己紹介と総勢5名の登壇者の紹介からスタート!

モデレーター

登壇者

メディア:https://ascii.jp/


メディア:https://news.mynavi.jp/techplus/


メディア:https://it.impress.co.jp/


メディア:https://www.itmedia.co.jp/enterprise/


メディア:https://enterprisezine.jp/


■連絡はメールにして欲しい!!!



(司会)谷川さん:まず、(広報担当者からメディアへの)電話連絡について聞いてみたいと思います。

 
大塚さん:発表会の告知やリリースを読んだかどうかの確認電話は控えていただきたいですね。メールは基本的にほとんど目を通していますので、出席したい場合はこちらから連絡させていただくと思います。最近はスマホでレコーディングをしている場合があり、電話がくるとレコーディングが止まってしまうので困ります。
 
(司会)谷川さん:関谷さんの「会見登録時の電話番号入力を必須にしないで」というのも同じことでしょうか?
 
関谷さん:そうですね。電話対応で大変になるので、出来れば必須にしないでいただきたいです。もちろん、必ずしも電話がダメというわけではないです。全く仕事をしたことがなくて、お互いを良く知らない状態での電話や単に「過去の記事を見ました」という連絡などは控えていただきたいです。
 
神さん:私の場合、電話連絡をいただく際は、「〇〇という件でお世話になっています」というように以前のやりとりを最初に伝えてもらえると受け取りやすいです。普段から多くの広報さんと関わっていることもあり、そのように伝えていただけると分かりやすくてありがたいです。
 
岡本さん:電話は「〇時ごろに電話をかけてもいいですか?」と先にメールで連絡があれば助かりますね。
 
岩井さん:電話よりもメールの方が隙間時間に見られたり、把握しやすかったりするのでありがたいです。さらに言うと、記者会見などの申込みはメールではなく「フォーム」だとすぐに入力、申し込み、確認ができるのでとても助かります。


■会見の案内はいつ返事をする? 行く/行かないは何で決まる?



(司会)谷川さん:皆さんは会見の案内が来てから、どれくらいの期間で返信しますか?
 
大塚さん:必ず出るものはすぐに返信します。その日の都合をみて決める場合は、ギリギリになりますね。
 
岡本さん:同じです。優先度が高いものはすぐに返信します。それ以外は編集部内で共有して、別の記者が行く場合があります。
 
関谷さん:自分の興味がある内容であれば、忘れてしまうのですぐに返信します。でも、自分の注力範囲外だと、編集部内で共有になる可能性があるので返信は遅くなると思います。
 
神さん:私は会議で決まるので、金曜日にまとめて返信します。
 
岩井さん:僕も絶対参加するなら、すぐ返信します。しかし優先順位が低い場合は、編集部に共有するので返信が遅くなります。部内で話し合った上で返信します。
 
(※)取材チーム注:
各IT系メディアでは編集会議は比較的金曜日が多いそうです。
 
(司会)谷川さん:では会見などの申し込み締め切りはいつ頃がいいでしょうか?
 
岡本さん:編集部の会議が週末の金曜日にあり、そこでネタや情報を持ち寄るのでそれ以前になると返信できない場合があります。
 
関谷さん:私のところは編集会議が水曜日なので、メディアによって違うと思います。平日1週間余裕がある方が検討しやすいです。
 
岩井さん:うちはみんなの空いている時間で会議を行うので、いつ会議があるか決まっていないです。
 
大塚さん:うちもあんまり決まっていないです。編集部で共有しているGoogleカレンダーに案内があった発表会の予定をすべて一旦入れて、好きなものに参加する形ですね。
 
(司会)谷川さん:編集部の会議よりも前に締め切りを設定すると回答できない場合があるので、1週間は余裕を持って締め切りを設定すると良さそうですね。


■広報からの再送メールは、ほどほどに


(司会)谷川さん:この会を開くきっかけになった話でもありますが、次に、「告知メールの再送」についてお話いただきたいと思います。
 
大塚さん:【再送】と付けて同じ告知メールが何度も送られてくることが、特にコロナ後に増えたように思います。2回くらいならいいのですが、さらに送られると、注目度の低い会見なのかなとマイナスに受け取ってしまいます。再送するのであれば、アピール方法を変えた方がいいのではと感じています。
 
神さん:再送が絶対にダメというわけではないです。そもそも(提案メールをもらう場合は)ニーズを把握した上で、あえて私宛に送っているなと感じるメールが来ると参加したくなります。
 
(司会)谷川さん:先程の意見にもありましたが、会見の申込みをWEBフォームにしてほしいというのは強く伝えておきたいですか?
 
岩井さん:メールの返信は挨拶など型があるためハードルが高く感じてしまうので、WEBフォームの方がやりやすいです。
 
(司会)谷川さん:当日の入館方法などの詳細が、直前まで送られて来ないのも困りますよね。
 
岡本さん:取材の予定が組めないのでとても困りますね。
 
関谷さん:以前ある会見に参加したときは、入館証を発行したメールが届かず危うく入館出来ませんでした。結果的に大丈夫でしたが、フォームの入力で事前案内も管理出来ればありがたいです。


■(広報あるある)「過去の執筆記事を見てご連絡しました」について



(司会)谷川さん:広報の方から、過去の執筆記事を見て「(この内容に興味があると思うので)インタビューをお願いします」と連絡が来ることがあるかと思います。しかし、メディア側からすると困ってしまう内容も多いようです。どういった場合に困ることがありますか?
 
神さん:私の場合は、連絡いただいた記事がリリース起こし(※)だった場合です。ちゃんと記事を読んでいないんだろうなと思ってしまいます。個別取材の記事であれば、相手の意図も分かりますしこちらの気持ちも伝わっていて嬉しいです。
 
(※)リリース起こしとは
取材ではなくプレスリリースを元に記事を書いたもの
 
岡本さん:7、8年前の特集を見て連絡が来た時も、きちんと見ていないんだろうなと受け取ってしまいました。あまりよくないと思います。
 
(司会)谷川さん:記者にとっては、今どんな記事を書いているのかをよく見てほしいという気持ちはありますよね。
 

■記者会見での発表の仕方、登壇者(取材対応者)の人数について



(司会)谷川さん:次に、記者会見などの当日にしてほしいこと、しないでほしいことについて教えてください。

 
関谷さん:製品の発表会見では、各社とも主に新機能の話をされますが、読者が知りたいのは「それを使ってどうなったか」の部分です。そのため、ぜひ事例をお話いただきたいです。事例は導入企業様との調整があって難しいとは思いますが、それが対面で会見を行う価値の一つだと思います。
 
岡本さん:もしリリースで完結するような情報であれば、対面ではなくオンラインの会見で十分だと思います。
 
(司会)谷川さん:リリースに入りきらない情報を伝えてほしいということですね。神さんの登場人物が多い問題について教えてください。
 
神さん:一つの会見で4、5名がお話されると逆に内容が分かりづらいことがあります。代表が最初に話して、その後担当者の方が話すなど2人くらいにしてもらえると嬉しいです。
 
関谷さん:取材でも4、5人のケースもありますが、4、5名も並ばれると文字に起こすときに顔と名前が一致せず大変でした。顔を覚えられる2、3名が理想です。
 
大塚さん:人数が多い会見はまとまっておらず分かりにくい場合が多いので、その辺の調整も広報さんにお願いできるといいですね。
 
(司会)谷川さん:岩井さんの「製品デモをやるなら動画がほしい」というのはどういったことでしょうか?
 
岩井さん:最近、IT系製品を動画でご説明いただく機会があります。それを会見の中だけで使うのではなく、メディア側にも送っていただけると嬉しいです。メディアによっては自社のYouTubeチャンネルにアップして記事に埋め込むことができます。また、企業側のYouTubeであってもURLを貼れるので、より分かりやすい記事が届けられると思います。
 
(※)取材チーム注:
文字数の関係で割愛しましたが、このほか製品アップデートのリリースや会見では、「従来製品との比較情報がほしい」というお話もされていました。


■ファクトチェックへの記者のホンネ



(司会)谷川さん:ファクトチェック(※)についても皆さんから色々と意見が出ていますね。
 
(※)ファクトチェックとは
取材後、掲載前に行われる原稿の「事実確認」のこと。誤表記など掲載内容に事実誤認がある場合は広報からメディアにご連絡する。ファクトチェックのタイミングがあるかないかはメディアによる。
 
岩井さん:(画像に)書いてある通りですが、事実確認と誤字脱字くらいにしていただきたいです。タイトルなどはSEOも考えてつけているので、細かい言いまわしの違いなどを指摘されるとこちらも悲しくなってしまいます。
 
関谷さん:企業さんとしてはタイトルに自社の名前を付けてほしい、という気持ちもあるかもしれませんが、こちらも思惑があってタイトルを設定しています。タイアップと疑われる場合もあるので、お互いに折り合いはつけたいですね。
 
(司会)谷川さん:広報の立場でいうと、競合との差別化などを意識して言わざるを得ない広報さんもいらっしゃいますよね。
 
関谷さん:ITメディアはたくさんあるので、同じようなタイトルだと読まれないんですよね。
 
大塚さん:個人的には、ファクトチェックとそれ以外が混じっていたらファクトは直して、それ以外は直すかどうかはこちらで決めています。チェックいただいたところの表現が良かったら使わせていただいたりしますが、基本的に「ファクトチェックをお願いします」と言っている以上、ファクト以外の対応はしなくていいと思っています。
 
(※)取材チーム注:
メディアが「ファクトチェック」以外の修正を受けられない理由、ファクト以外の修正をしたい場合の対応は、ITmediaエンタープライズ原田さんが「■広報担当者にやって欲しいこと、やって欲しくないこと」で詳しくお話ししてくださっています。


■「記事化していただけますか?」の質問について



(司会)谷川さん:会見後の記事化に関するご連絡ですが、どういったことに悩まれていますか?
 
神さん:会見のすぐ後に、「記事にしていただけますか?」という連絡をいただくことがあります。会見後すぐということもあり、記事化するかどうかは未定なのでお返事ができません。こういう質問は戸惑ってしまいます。
 
岩井さん:私の場合は、行ったものは全部書くので書かないという選択肢はないです。あと、たまに「会見内容についてフィードバックください」という連絡をいただくことがありますが、それほど悪い会見ってない気がするので、この質問は必要ないのかな…と思います。(笑)
 
岡本さん:僕は、会見後だったら「検討します」とお伝えしますね。


■記事への反応は“とっても嬉しい” ٩(ˊᗜˋ*)و



(司会)谷川さん:「書いた記事に反応してもらえると嬉しい」という記者は多いですよね。
 
大塚さん:私たちの仕事は会見に出ることではなく、記事を書き上げることなので、そのアウトプットに反応してもらえたら嬉しいです。特に会社のHPやSNSでシェアしていただけるとありがたいですね。企業さんからの発信を見る方はその分野に興味を持っていると思うので、届けたい方に届いていると感じます。いい記事だったらぜひ積極的にシェアしてほしいですね。
 
関谷さん:私は、記者歴が短いので良いことも悪いこともフィードバックいただけると記事を書くモチベーションになりますし、勉強になります。一言でいいので感想をいただけるとこちらもその企業を応援したいなと思います。
 
(司会)谷川さん:強気なことを言ってきましたが、我々は小心者なので、みなさんからのいい反応を求めているということもお伝えしたいですね。(笑)
 
本日は、最後までご視聴いただきありがとうございました。本日お話出来なかった話題もあるので、次回はリアル開催できたらいいなと思っています。広報さんと記者の協力体制ができればと思っておりますので、今後ともよろしくお願い致します!

                ==

以上、「IT 系メディアの側から見る企業広報への本音」のイベントレポートでした! 
 
記者の皆さんの生々しい意見が聞けてありがたい反面、我々広報にとってはちょっとドキッとする内容でもありましたね。ここまではっきりホンネが聞ける機会もなかなかないので、今回教えてもらったことをぜひ今後の仕事に活かしていきたいですね。
 
一方で、“広報担当者のホンネ”を言えば、不慣れや知識不足による失敗もあるけれど、社内調整をギリギリまで必死でやった上でこうなったんだよ…(涙)というパターンがあることもお伝えしたいなと思いました。次回のイベントも楽しみにしたいと思います!(取材チーム)
 



(ライター:堤はるな Twitter
@tSutsumi_13
1999年3月生まれ、兵庫県出身、人に対する“諦め”をなくす組織コンサル会社のブランディング担当。大切にしているのは誠実さと経験。好きなものはチーズとアイドル

(取材・編集・構成:リープフロッグ 代表 松田純子)
B2B企業向けに、伴走型・人材育成型による広報部門の立ち上げ支援コンサルティングを行うリープフロッグ代表。「広報の目的=企業成長」と捉え、新人、ひとり広報でも最速で効率よく広報部門を立ち上げ、企業成長に資する広報活動が行えるよう支援。各種メディアでの執筆、登壇多数。趣味は推し克
リープフロッグHP

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