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【クソが!好きだ!泣いたわ!】たったの10年前が旧石器時代に見える『ガール』映像版

私だったら…、私だったら…っ!
あのまま野間口徹さん(の役の人)とホテルの部屋を取る…っ!ダンッダンッ!
(←酔っ払いが泣きながら机をこぶしで叩く音)

野間口徹さん好きなんです。
好きな俳優さんにのっけからただのセクハラをかましてしまいました。
心よりお詫び申し上げます。本当に好きです。
今、毎朝のように朝ドラでお顔を拝見できて幸せです

先日、「 #読書感想文 」で奥田英朗さんの『ガール』というオムニバス小説について書かせて頂きましたが、

それの映像版ってそう言えば見たことないなーと思って観てみました。

ガール TBSオンデマンド(リンクはAmazonレンタル版へ飛びます)

この本読んだ当時(映画版の年ぐらいに小説版を読んだ)、
とてもじゃないけど映画版は見たくなくて、観られないまま来たんですね。

原作の、あの男やこの男が、動いてあのセクハラ・あのモラハラなセリフを言うかと思うと、言わされる俳優さんさえも気の毒すぎて見られない。っていう。

って、
2020年・35歳になって蓋を開けてみたら、何か急激に古すぎになってました笑。さすが独身で平成をジャンプしただけのことはあった(?)。

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古すぎて全体の流れは今見たらもう「クソがっ!(feat.よしこ)」となるしかないのですが、
それだけあの時代に忠実ってことだし、
細かなディテールが面白いし、オシャレだし可愛いし、最後の30分は爽快です。

なお、原作本のマンション買うストーリーはスッポリ端折られてます。
あれの社内バトル結構好きなんですが…他と絡みにくいのかな。

映画を映画として素直に見るには、あまり良いストーリーとは言い難くなってしまっていますが、私は東京女子図鑑の感想の時と一緒で、
時代背景を分かってて観ると面白い、と思いました。

やっぱり前回も書いたように、
「いや…今こんなこと言うたら特急・コンプラ室経由 人事預かりやん?」
「うわぁ…これで部署の若い男子がひいてないの、時代だな~。
 (※おじさんの発言で、男性でもドン引きしそうなやつ)」
というセリフが多々出てきます。

主人公4人自体が言ってること、反省してることすらも、
え?そこ自分が反省するとこ?そこ頑張るとこ???みたいなところもあります正直。

だから、若い方はひくかもしれない。
前回書いたけど、これが『あるある』だったなんて、ビックリしちゃうと思います。本当だよ、これが風景だった職場はたった10年前に実在したよ。
こんなに極端じゃないんですが、極端じゃないからこそタチが悪かったと思う。

「だから女はダメなんだよ」って職場で言われるんです、信じられます?
社内のコンプラすっとばして家裁に持ってったら金むしれそう(←この目的の時点でダメw)。

何か、
原作2006年って個人的にはちょうど新卒~今までを遡るような14年間で、徐々に徐々に社会風潮が変わってきてたんですが、自分自身も社会人として立場が成長していく時代で、必死過ぎて周り見えてなかったんで、
こうやって映像作品なんかで一気にタイムスリップすると『うわ!なんだこの社会!旧石器か!!』って気分です。

29歳・34歳×2・36歳の4名が主人公です。
原作本2006年、映画が2012年ですので、間を取ってザッと2009年で計算してみましょう。
今40歳・45歳・47歳の先輩がたの11年前ってことです。
そう思って観ると、ほんと、私いちばん最初に勤めた「昭和か!」って思ってた職場の10歳年上の先輩たちに、土下座で礼拝したくなる気持ち…。

別に我々若い衆のために頑張って下さった、なんてそんなこと勘違いかつ思い上がりも甚だしいんですが、
この世代の方々の中に、「くっそーマジ夢でぶち殺すクソじじい!後の世はもっと女の選択肢が広い会社になりますように…!」と思って下さった方々がいるのを、決して忘れてはならぬと思ってしまう。

マジでな、まだいるから。
この時代に40・50代だった男尊女卑野郎やナチュラルセクハラ野郎、部長~役員クラスで50・60代とかでまだいるから。
「え?おととし管理職向けのコンプラ研修受けてましたよね?」と真顔で聞き返したくなること言ってる奴、まだ現役ですからね。
社会情勢的にこちら側の人数が増えてきただけで、まだ査定つけるポジションとかにいやがるからね。気は抜けたもんじゃない。

この映画にも木原部長って優しいおじさん部長が出演しますが、私のリアル上司はあれをもっとタヌキにした感じの食えない"いい人"です。

なお、2009年は私24歳でございました。
34歳なんてはるか先の話だと思ってたしめっちゃくちゃ大人だと思ってた…。こっちから見る24歳もはるかに遠いから、それであってんのか笑

◆ ◆ ◆ ◆ ◆

まあ男尊女卑セクハラおじさんへの恨みつらみはこれぐらいにしてw

この映画の細かいディテールで好きなお勧めポイントを、頑張ってネタバレなしで紹介してみます。

①何といっても聖子(麻生久美子)・ヒロくん(上地雄輔)夫妻

特に37′30″でカッチーンと来てかーらーのー、
ひたすら愚痴でキレまくる妻を一瞬で黙らせる37′52″と
いや黙らんのんかーい!wwwwwな38′02″が最高です。

この男尊女卑という熟語が辞書にまったくない夫が、こんな風にしてなだめようとしてくれる…。はぁん♥…た、たまらん♥です。

肉食バリキャリ女子諸氏に於かれましては、ぜひともこの1分間はご覧頂きたい。半分ぐらいの人は「今そんな気分じゃねぇ!」と怒るかもしれませんが、半分ぐらいの人は「た…たまらん♥」に共感頂けること請け合いです。
(確率50%なのかよw)

原作版でも泣いた、聖子と部下の女の子が抱き合って泣くシーンは、現代では主演も張れるあの俳優さんがまだ新人俳優って感じで部下の女の子役です。これはビックリした。良いです。抱き合って泣くシーン良かった。

この聖子のストーリーは、原作では「ヒロくん」と小題がつけられているぐらいで、実は主人公という、この夫氏です。
ラストの方でも、むしゃぶりついて髪の毛ワシャワシャしたくなる程に愛おしいことを言ってくれる男性です。
ラスト、泣きました。私もこの人の前で安心して泣きたい…。

②容子(吉瀬美智子)×慎太郎(林遣都)
なぜかこの2人はギャグ要素が入ってて(特に吉瀬さんがめちゃくちゃギャグです)笑ってしまいます。3回声出して笑った。
冒頭の野間口徹さんは映画オリジナルで、この2人を描いたシーンの中に登場します。
私が容子だったら野間口さん(の役の人)をホテルに連れ込む。

原作とは違った展開も楽しめます。頑張って最後まで見てぜひ笑って頂きたい。

③お光(檀れい)
前回の原作版の感想の頭で書いています。
私はこの人がイチバン好き。本当に好きです。それを檀れいさんが演じる。美しすぎかよ!ぶっとんだキャラクターの人ですが、最高にカッコいいです。途中でキャラ変するところが特にたまらん(2回目)。
そうなのよ、キャラ立ちした大人の女はこれができてこそ!だと思うのよ!

他にも、細かなところで(というか人によって)、楽しいやん、やるやんと思えるところが随所に光る映画です。
ハッキリ言って2020年では成立しないほどのざっくりした内容ではありますが、
文化人類学とか女性史が好きな方は、そういう視点でちょこっとご覧になってみるのはいかがでしょうか。

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