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小学校入学前〜留学するまで | 父とのこと(につながる話)#4

話はまた小さいころに戻る。

ある春、近所のお姉さんがダンボール一箱分の本をくれた。中学校に上がるところだったお姉さんが、小学校に上がろうとしていたわたしに、小学生向けの本をいろいろとゆずってくれたのだった。このとき、ごくごく自然に、わたしはたくさんの本を読もう、と思った。そして実際、小学校が始まる前には箱に入っていたほとんどの本を読み終わっていた。

とくに記憶に残っているのは、学研の「理科のひみつ」という、理科で習う内容をマンガで説明する本と、タイトルは忘れたが小学校で習う理科をすべて説明してある本。「二酸化炭素」をちゃんと覚えられず「にさんかたたんそ」と言っていたが(にさん型たんそ、だと思っていた)、なんだかとても興味をひかれて熟読した。伝記とか物語もあったんだと思うけど、あまり覚えていない。キュリー夫人についての本はあったかな?

とにかく、これをキッカケにわたしは本をたくさん読むようになった。小学校5年生のときには誰かが学校に持って来た「三年奇面組」と「ハイスクール奇面組」というマンガを読んで、初めて、読みながら顔がにやけるのが止まらない、という経験をした。それから、本だけでなくマンガもたくさん読むようになった。

そんな感じで読書量がかなり多かったことと、お姉さんからもらった理科の本のおかげで、小学校の間の国語と理科の成績はいつもそこそこ良かった。

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でも、そんなにたくさん本を読む子だったわりに、そして、知能指数が高めだと言われていたわりに、わたしの成績はそれほど良くなかった。わたしは、黙々と「勉強する」ということができなかったのだ。

わたしはおとなしく座っていることはできる子だったから周りのおとなは気があまり気がついてなかったかも知れないが、わたしの脳内はいつも落ち着きがなかった。何かをしていても、他のいろいろなことを思いついたり、誰かとの架空の会話が始まったりして、最初にやっていた「何か」を黙々と続けて行うことができなかった。

小学校の間は、それでもなんとかしのげた。授業をそれなりに聞いていれば、日頃の読書量による読解力と例の理科の本のおかげで、どうにかなった。

だけど、中学校以降はそう簡単ではなかった。勉強したいとは思うから自分で参考書を買ってみたり勉強しようとしてみたりするけど、いかんせん脳内の活動が忙しいのでちゃんと勉強することはできず、成績はどんどん下がっていった。

中学校2年生のとき、これでは高校受験がヤバい、と思った母が、どこからか家庭教師の先生を見つけて来てくれた。特にヤバかった英語と社会を教えてもらうことになった。

社会は暗記がメインの科目だから授業の外で自分で覚えなくてはならなかったが、自分で黙々と覚えようとすることができず、それほど成績は上がらなかった。

だが英語は、授業でマンツーマンで教えられ、有無を言わさず注意をひきつけられ、そしてだんだんと分かってくると勉強するのも面白くなり、文法が完璧に分かってくると分からない問題もなくなってきて、どんどん成績があがっていった。5段階評価で3の下のほうだった成績が、学年でトップを争うくらいになっていった。

家庭教師さんについてもらったのは中学校の間だけだった。だけど英語は中学校でほとんどすべての文法を習うから、そのまま高校3年生の終わりまでそれほど努力せずともトップレベルでいられた。

でもやっぱり他の教科は相変わらずで、なんとか勉強しようと思うものの、全然できなかった。大学受験がせまっても変わらず、受験はうまくいかなかった。

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いつも不安で劣等感が強かったわたしは、海外ホームステイや留学をしてポジティブになっただとか、自分に自信がついただとか言う話に憧れていた。自分も自信を持てるんじゃないだろうか、という希望の光のようなものを見ていたと思う。

だから、そして英語が得意になっていたのもあって、留学したいと思うようになった。



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