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「美白」という言葉が世界から消える?ビューティトレンドからのレポート/LDB出版部#10

先日無料のビューティトレンド2023セミナーなるものを拝聴しまして、そこでは様々な視点が提示されていましたが、まとめると大まかな潮流は二つではないでしょうか。ここにご紹介します。

一つは、「心を温める」潮流。

心を満たし、癒しをもたらす製品や体験を求めているのはここ数十年の流れですが、家時間の増加と相まってさらに加速し、おうち風呂をスパに変身させる製品や美容グッズ、心を開放する体験の提供が求められているということです。
「ビュートピアン」というキーワードで表現され、これはビューティとユートピアの造語。心身を癒す製品、香りや質感、自分をラグジュアリーに甘やかすスタイルの象徴と捉えました。

もう一つは、「誰も取り残さない」潮流。

人と地球を守る製品の開発、そして製造に関わるすべての人々を尊重するということ。
再生可能な素材やパッケージの開発、ユニバーサルなデザインですべての人に優しく、フルスペクトルということです。
これは例えば、視覚障がい者向けに一部の商品を対応するだけでなく、初めから全ての商品がユニバーサルに対応しているということです。

環境へ負担をかけないのはもちろんのこと、環境に良い影響を与え、地球を守り、未来に繋げていくことが視点となるクリーンビューティなる
「コンシャスビューティ」というキーワードで表現されていました。
そこに社会をポジティブにする、長く使えるようなデザインが求められているということです。

この「誰も取り残さない」のお話しの中で、ハッ!とさせられたのが、

「脱・美白」(ブライトニング)の流れです。

海外市場では、「美白、ホワイトニング」という言葉を使わなくなっているという報告です。

これは、米国で起こった黒人差別への抗議運動を受け、肌の色による優劣を連想させる言葉を使用しないということ。
米国のジョンソン・エンド・ジョンソン(J & J)は、美白効果があるとされてきた化粧品の販売を中止しました。“白い方が美しい”という価値観の植え付けへの抗議です。
脱美白は、J & Jが先駆け今や欧米に広がり、日本では花王が、化粧品の「美白」の表記を取りやめ、全てのブランドで美白の表現を使わないことを表明しています。

この問題は異論も多く、「美白化粧品を禁止したところで、肌にコンプレックスを持つ人は誰も救われない」「日本では “色の白いは七難隠す”なんて言葉もあり、人種とか関係なく美白は美意識にすり込まれたもの」という声もあります。

人種に限らずどちらかが優位に立った時点で逆差別も生まれます。
違いを認めつつ共に生きる社会、ウエルネスに一人ひとりの個を育んでいきたいと願います。


ライフデザインブックスの書籍をご紹介します。

『SPA IN LIFE  美しい日本のスパのかたち』(ライフデザインブックス刊)
感性豊かに創り上げた"日本のスパ”誕生ストーリー

地域経済を破綻させたウィンザーホテル洞爺や宮崎シーガイアリゾートをスパ導入で見事再建させた梶川貴子の初著書。
色、香り、プロダクト、空気感、日本の美しいコンテンツを生かし、新しいスパシーンを創造する。スパとの出会いから「ALL THAT SPA」のブランディングまでをたどるスパジャーニー。スパは私たちの生活に何をもたらしてくれるのか、スパ的なライフスタイルの可能性を説いています。

文・長谷川千登勢
株式会社ジャパンライフデザインシステムズ 「ライフデザインブックス」発行書籍の数々の出版をプロデュース、メディアの企画・編集を担う。
 他に、経営セミナーの企画・コーディネート、コンセプトワークに関する企業サポートを行う。

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