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映画「横道世之介」の感想

「横道世之介(よこみちよのすけ)」という映画を知っているだろうか

簡単なあらすじをいうと、
バブルのころに長崎から上京した”横道世之介”という男が、東京での大学生活の中でいろんな人と出会っていく話だ。

高良健吾や、吉高由里子、池松壮亮などが出演している。

U-NEXTで配信されていたので見てみたが、これがまあ本当によかった!
厳密にいうとストーリーが面白いというより、「ああ、いい映画見たな~」って心温まるような映画だ。見た後も数日間、余韻に浸ってしまった。

今まで俺は、映画のジャンルでいうと、ド派手なアクション映画が好きだったが、今泉監督の「街の上で」を見たのがきっかけで、平凡な日常を描く、ゆるい邦画にハマっている。今回紹介する「横道世之介」も、とてもゆるい。

ここからは、映画の内容に少し触れるのでまだ見ていない人は注意してほしい。しかし、ゆるい日常を描いた映画なので、ネタバレといってもダメージは少ないはずだ。それでも嫌な人は先に見てみてほしい。





話を続ける。俺はこの映画で大切なことを学んだ。

それは、
純粋に楽しむことの大切さ
冷やかさないことの大切さである。

これは子供のころは普通にできたことかもしれないが、成長すると同時に、”恥ずかしい”という感情が芽生えてくる。同時に、”年相応”という言葉も覚え、遊びに熱中している自分を客観的にみてしまい、本気でその時間その空間を楽しむことができなくなっている気がする。楽しい空間から、一歩引いてみてしまうのだ。それは、恥、他人の目、世間体などいろんな要因があるかもしれない。

同時に、純粋に楽しんでいる人たちを”冷やかす”という行為にまで発展してしまう。これは本当に良くない!いつからこんなにつまらない人間になってしまったのか、、と自暴自棄に陥りそうだった。

しかし、この映画の登場人物はなんでも純粋に楽しみ、からかうことも全くないのだ。出会う友達もみんないいやつで、変に気取ってない。

積もった雪に大はしゃぎして、キスするたびに笑って照れる、今時こんな可愛い大学生カップルいるだろうか???

若いころは、大人への憧れが誰しもあると思う。今の学生カップルは、お大人っぽ過ぎて、貫禄さえ感じる。現代はSNSが普及し、大人びた理想の恋愛像なるものが共有され、ある程度完成してしまったことも要因としてあると思う。

この”大人への憧れ”が、純粋な子供のような心を奪っているのかもしれない。

本当は純粋に楽しむ子供のような心も、隠して生きているのではないか。20歳前後、子供と大人の境目のようなところで、自分の中の子供心を隠し、大人を演じているのではないか。

作中では、そういったことが全くなく、みんな子供のようにキラキラした目ですべてを楽しんでいる。冷やかすことなく、友達を一人の人間として尊重しているような気がした。その光景がとても印象に残った。

俺自身、キャラ的に違うとか、周りの目を気にしてとか、めんどくさいことばっかり考えて、いつのまにか純粋に楽しむことをやめて、一歩引いてみてしまっていたが、この映画で、大切なことに気づくことができた。

本当に心温まる映画だった。今の時代では失われてしまった独特のゆるい空気感が羨ましい。スマホのない時代の学生を見れるのも新鮮で面白かった。



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