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【春暁】 で 「不眠 いつの間にか 暁」 になった話

日本の義務教育の国語の中には、漢文や古文に触れる授業が出てきます。

小学生のうちは音読のみですが、暗誦課題の中に組み込まれていました。

暗誦課題に組み込む意義として、いろいろな文章に触れる意味合いがあるから、だそうです。


※ここからは私の個人的なまとめ記事でもあります。
かなりマニアックな内容です。


こども達が暗誦していた漢文の中の一つに入っていた 孟浩然 の【春暁】は日本語で読んでも短い文章ですが、これを現代中国語の原文にすると

春眠不觉晓
处处闻啼鸟
夜来风雨声
花落知多少

とたったの20文字で表されます。

文字が中国語の簡体字だと読みづらいと思うので、日本語の漢字に直して再度書き直しますね。

春眠不覚暁
処処聞啼鳥
夜来風雨声
花落知多少

この詩の中で「暁」・「鳥」・「少」の音がそれぞれ「しぃあぉ」・「にぃあぉ」・「しゃお」となり、またそれぞれが低く抑える発音となって韻を踏んでいます。

ちょっとこちらを聞いてみてください。

どうでしょう。
韻を踏んでいるのが分かりましたか?


ところで、孟浩然 が生きたのは 689年 - 740年。
当時の中国  の時代。
※唐(618-907年)

日本では飛鳥時代(592-710年)・奈良時代(710年-794年)です。

現在私たちが使用している平仮名はこの後の平安時代(794-1185年)に生まれているようですが、それでも平安時代の読み物は現代の日本語とはかなり異なりますよね?

それと同じように中国語だって、昔と現代で異なるんじゃないの?

中国の場合、それプラス方言の影響もある。

島国の日本と異なり、大陸に位置する中国はその時の支配者によって領土が大きく変わります。
また、都がおかれた場所によって使われる言葉も異なったことと推測されます。

日本にも方言が存在しますが、中国語の方言は日本語の方言の比ではなく、本当に違う言語のようになります。

こちらは一般的に「中国語」と認識されている 普通話 の発音と、有名な方言の一つ「広東語」で読み比べたものです。

「中国語」は ちゅんみんぷーじゅえしぃあお。。。と始まり
「広東語」は ちょんみんばっこっひぅ。。。と始まって聞こえるかと思います。

このように全然発音が違うし、文法も違ってきます。


孟浩然 が生きていた時代に使われていたであろう言語が「唐代長安音」らしいのですが、この音こそが彼が読んだ原音なのでしょう。

私の耳には「暁」がぎぃぉぅ。
「鳥」がでぃぁぉ。
「少」がしぃぁぅ。
と聞こえました。
「暁」と「鳥」の母音が一緒になって韻を踏むはずなのですが、発音の違いが聞き取れない😭😭😭!!!


唐の時代の都 長安 は現在の陝西省の首都 西安市 

孟浩然 の出身地 襄州襄陽県(現在の湖北省襄陽市襄州区)とは約500kmの距離で 東京-大阪 間くらいですが、私が調べられた範囲では 襄陽県 には特別方言がなく、長安で話す言葉と同じ言語を使っていたのでは?と思われます。


この唐代の長安音、遣唐使の時代に使われていた言葉でもあるので、日本の漢字音にも伝わっているそうです。

また、この長安音は現代の閩南方言(福建省南部や台湾で話されている方言)との共通点があるとも言われています。

閩南方言の発音も聞いてみたかったけれど、音源は発掘できず。。。

台湾語の発音記号だけは拾えたので、載せてみます。
「暁」は hiau
「鳥」は niau
「少」は siau

異なる言語で発音が違っても、それぞれの母音は同じになるのかな。


なーんてことを知るために、夜な夜なネットの海を泳いだり、地図を調べたり、辞書をひいたりしまくったので、この記事のタイトルが

【春暁】 で 「不眠 いつの間にか 暁」 になった話

となりました。

【春暁】という詩は「春眠、暁を覚えず」で始まり、もはや日本では「春だから眠くって。。。」という意味合いで使われているのに、夜な夜な調べまくっていたら日が昇ってしまった。という意味にしたかったのです。


やっとこの記事が完成しましたが、この記事は実はいわくつき。

  1. 記事が中途半端なまま、一年近く下書きに入っていた。。。

  2. 八割くらい書き上げた後に文章が全て消えて、再度書き直し、最初に書いていた内容とは異なる記事を書き上げた。

文章まとまっていないけれど、私の覚書。
まとめ記事。
頭の中の整理記事。

とわりきって公開します。

調べた「点」をつなぎ合わせるのは大変だったけど、気になったことの全容が見えていく過程は楽しかった😆

サポートいただきありがとうございます。 いただいたサポートでお茶を買いに行き、記事にさせていただきます😆