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「忙しい人」は怠けている

名作揃いのスティーブン・スピルバーグ監督の作品の中でも、インディ・ジョーンズ・シリーズ第一作『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』(1981年)は、エポックメイキングな作品だと思っている。

なぜかというと『レイダース』は、ノンストップ・アクション映画という新しいジャンルを作り出した作品だからである。『レイダース』以前も、ハラハラ・ドキドキのアクション映画はあったけれど、『レイダース』はテンポが何段階も早く、まさに息つく暇がない。

『レイダース』以降多く作られることになるノンストップ・アクション映画は、主人公に次から次へと問題が降りかかり、または巻き込まれる映画となる。

だから主人公は、常に「問題解決」に大忙しである。

仕事の3ステップ

一人が受け持つ仕事というのは、「作る仕事」「こなす仕事」「問題解決」の3つに大別されると思っている。

例えば何かを売る営業職の場合、売る仕組みを作り、その仕組みをこなしていく。こなす最中、カスタマーからのクレーム等問題が発生して、その問題解決を行う。問題解決後、仕組みを改善したり、新たに作り直したりする。

つまり、「作る仕事」「こなす仕事」「問題解決」のサイクルを繰り返しているといえる。

仕事は3つの作業の繰り返し

この3つのサイクルがバランスよく配分されていれば、それなりに心地よい仕事となるが、このバランスが崩れると、やっかいな仕事ということになる。

例えば問題解決ばかりをしていると、ノンストップ・アクション映画の主人公のように大忙しとなって疲弊する。また、ずっとこなす仕事ばかりしていると、退屈になって嫌気がさしてくる。

そしてこの3つのサイクルを回している際、気を付けるべきキーワードは「忙しい」だと思っている。

「忙しい」という魔法の言葉

3つのサイクルのバランスが崩れて、突発的に「忙しい」状態になることはある。しかし「忙しい」が続いている状態というのは、常にバランスが崩れている状態ということだから、何かがおかしいということになる。

しかし、「忙しい」は魔法の言葉でもある。

「忙しい」と言うと「この人、たくさん仕事しているんだな」とか「仕事熱心だな」となる。また、何か依頼されても「忙しい」と言えば、実は暇であっても「真っ当な理由」として断ることができる。しかし「忙しい」ことが原因で、ミスが多発したり品質が低下したりする。

だから、「忙しい」は「仕事熱心だな」という肯定的な状態ではなく、また、「真っ当な理由」でもない。上述したように、仕事のバランスが崩れた異常な状態である。

つまり「忙しい」状態が続くというのは、「忙しい」という問題解決が出来ていない状態であり、その人は「忙しい」という問題を解決する能力がないことを示していることになる。または、組織として欠陥があるということになる。

「忙しい」が続くのであれば、手順を変えて効率化を図ったり、誰かに協力してもらったり、問題解決を図って「忙しい」を解決するべきである。

もしくは、その組織は欠陥があるので、組織を是正するか、それが難しければその会社や部署から離れる方が賢明といえる。個人としてみれば、それも問題解決方法の一つといえる。

しかしそれらを行わず「忙しい」が続くというのは、「忙しい」を理由に怠けているということにもなる。

年中「忙しい」人は要注意

年中「忙しい」を言っている人というのは、「忙しい」を理由に怠けているか、「忙しい」自分が好きなマゾ体質の人か、問題解決能力のない要注意人物ということになる。

『レイダース』のインディ・ジョーンズは、次々発生する問題を一つ一つ解決し、最後は秘宝を手に入れ目的を叶える。途中で「忙しい」などと嘆くようなことはしない。突発的に訪れる本当に「忙しい」時は、「忙しい」などと悠長に嘆いてはいられないからである。

そして問題解決能力があれば、インディ・ジョーンズのように臨機応変な判断を行い、「忙しい」状態から解放される。そのため問題解決能力がある人は、「忙しい」と嘆く状態に陥ることはない、ということなる。

だから仕事をする上で気をつけるべきキーワードは、「忙しい」だと思っている。

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