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ワインとアルコール(その1)〜肩を張らずにフランス13

フランス = ワイン
以上!





いやそこまで単純じゃないだろうが!

ワインの話なら日本の読者で詳しい方が大勢いる。フランスに関心がありこのコラムに来られた方々なら尚更だと思う。「おフランス」にもワイン以外の飲み物は普通にある。ワインにしても日本の方が想像するような買い方、飲み方をするとはかぎらない。少し酒談義でもしてみよう。

« vin »ヴァン、口語で « pinard »ピナー。ピナーという言葉は、第一次世界大戦時、 « poilus »ポワリュと呼ばれた兵隊たちの間で親しみを持って使われるようになったという。他にもワインを指す言葉はあるようだが全部俗語で、 « pinard »だけが下卑た意味を持たず、日常的に使われる。

余談になるが、第一次世界大戦 « La Guerre de 14-18 »はフランスでは人的被害がとてつもなく大きかったことによるトラウマで、一般に第二次世界大戦よりも重視される。11月11日は祝日(記念日)として5月8日よりもより深く定着している。

さてうちにもワイン用の « cave »がある。自分で買ったので古いのでは1995年頃のものもある。寝かせておいたというより開けるのを忘れた。これという好みもないのでいろんな地方のボトルが溜まっている。

個人的には赤ワイン « vin rouge »が好きで、年に2回、スーパーなどで催されるプロモーション、ワイン祭りで何ケースか購入する。1ケース6本入り。1本が今の換算レートで800円から1000円のものを選ぶ。日常にはこれくらいの値段で十分。長く寝かしておくもの(5−10年)、少し寝かすもの(2−3年)、すぐに飲めるものを財布と相談しながら選ぶ。

好みはないと言っても、色々飲んでいるうちに地方ごとの特徴くらいはわかるようになった。ソムリエのように香りがどう、色がどう、口当たりがどうとか知ったかぶりするつもりはない。でも今日の晩御飯に開けるボトルがどんな味がするかくらいの想像は出来る。

赤ワインは肉に合う。それはそう。特徴的な酸味と渋味が肉、特に牛肉に合うので、まず白ワイン « vin blanc »を開けることはない。チーズにも赤ワインは欠かせない。

脱線するが、ホメロスのオデュッセイア « L'Odyssée de Homère »のタイトルくらいは誰も知っていること思う。オデュッセウス(フランスでは « Ulysse »ユリス)がトロイア戦争 « Guerre de Troie »の後10年間海を彷徨うという叙事詩。中学校でヨーロッパの文化文学の起源ということで必ず教わるのだが、このユリスが故郷にやっと帰還した時に思わず吐いた « Mon pain, mon vin, mon fromage… »という言葉がヨーロッパの食習慣をよく表していると思う。日本で言うとご飯と味噌汁、梅干しといったところか?

話を戻して、白ワインは赤ワインほどのクセがないので魚料理や鶏肉料理に合う。ロゼ « rosé »は一般に夏場の水代わりに近い、というと産地の人に怒られそうだが、その産地の人(大方南フランス)でも氷を入れるほどなんだから、悪口と言うほどでもないだろう。それから特にロゼは « cubis »キュビで購入して冷蔵庫に放り込むことが多い。Bag in Boxとして日本で広まっているあれだ。もちろん赤ワインもキュビで存在するが、冷蔵庫に入れないので持ちが悪い。キュビはロゼとうちでは決まっている。

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