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小学校など : 学校のはなし第一部(その1)〜肩を張らずにフランス31

保育所、幼稚園、小学校、中学校、高校、(予備校)、大学。どこの国でも生まれた後似たり寄ったりの教育システムに乗って大人の世界に至る。フランスではどうなってるの?ということで簡単に説明しよう。少しかたい話になるが、フランスの教育の現状を日本の方々に知っていただきたいという気持ちが強くある。もうご存知の方も多いだろうから、私感をを交えて斜め上から情報提供できたらと思う。

1/保育所 « crèche »

共働きが基本のフランスでは、現在、産休 « congé maternité »が出産予定日前6週間、出産後10週間ある。この期間を過ぎると当然どこかに預けないと仕事に復帰できない。フランスにはいわゆる保育所« crèche »と、それに平行した家庭保育所« crèche familiale »がある。家庭保育所と訳してみたが何のことかわからないだろうから説明すると、国から認められた保育士で、現場で同僚たちと子供を預かるのではなく、保育所に帰属していながら自宅で子供を預かるというもの。日本に存在するかは知らない。保育所には人数制限もあるし、自宅の方が都合がいい保育士もいるのでこのシステムは win-winの折衷案と考えてもいいだろう。食事もその場で提供されるので、料理好きな保育士さんに当たるとラッキー!となる。

2/幼稚園 « école maternelle »

幼稚園は3歳から義務教育。空きによっては2歳から入れる学校もある。 « petite section, moyenne section, grande section »年少、年中、年長組なので日本と同じかも。読み書き算数の基本を教わり始めるのはどこの国でも共通だろう。

3/小学校 « école primaire »

5年教育。CP セーペー« cours préparatoire »、CE1セーウーアン « cours élémentaire première année»、CE2セーウードゥ« cours élémentaire deuxième année»、CM1セーエムアン « cours moyen première année »、CM2セーエムドゥ« cours moyen deuxième année »。内容的には国語(フランス語)以外は日本の小学校教育と変わりないはず。朝8時45分(?)に登校すると、夕方16時30分まで校外に出られない。昼寝の時間も幼稚園のように存在しない。6歳の子供にはきつい1日だと思ってしまうのは大人の見方だろうか?

日本の子供たちはひらがなカタカナ漢字を毎日いくつかづつ覚えないと後々支障をきたす(日本の識字率(昔は文盲率と呼んでいたんでは?意味は逆だが)は100% Go⚫︎gleより)ので、小学校教育の1番の基盤だろう。

フランスでは60年代からグローバル方式 « méthode globale »またはセミグローバル法方式« méthode semi-globale »読み書きが取り入れられ、それ以前までの音節方式 « méthode syllabique »をほぼ廃止してしまった。少し昔までは小学校の先生の中にも« méthode syllabique »をこっそり教える人がいたが現状は知らない。

さてこのグローバル、セミグローバル方式とは何ぞや?

"q"の発見

フランス語を少しでもかじった人、英語にも共通するが綴り字には当たり前のことだが規則がある。音節方式(発音の規則)はその一つ。フランス語の読み書きは複雑極まるという話は以前にした。小学校、とりわけCPでは読み書きの基本 « b-a ba »ベー・アー・バー、つまり音節方式を教わったものだった。以前はそうだった。グローバル方式ではそれをしない。実は幼稚園の年長組からすでにグローバル方式での読みが始まっている。 « oi »の発音を例にとると« toi et moi »トワ・エ・モアと発音するが、どうしてこういう発音になるのかを教わらない。« oi »は「ウワ」と発音するとはっきり教えてくれない。言葉と発音をそのままイメージとして定着させる。

これらの言葉がそのままの形で現れるのなら問題はない。それなら 例えば« trois »トロワ、3という言葉に出会った時なんかは応用が効かないので読めない、書けない。 « soigneusement »ソワニューズモン、注意深くなんかになったらパニックになるだろう。実はこの現象が明るみに出たためにセミグローバル方式という中途半端なメソードが取り入れられることになったという経緯がある。セミグローバルではある程度の規則は教わる。興味のある方は「フランスの識字率」で検索してみるといい。最新の統計はタブー視されていて出されていないか、嘘八百のものしかない。

"La Méthode Boscher" 今では隠れたベストセラー

現代の子どもたちは(おそらく今でも)セミグローバル方式でフランス語を教わるだろうから、その皺寄せは中学校に上がると顕著に現れる。今は小学校の話なので中学校以降の話は後ほど。

続く

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