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ル・トゥケの海岸 ~夢で見た地へ~#9

"白いさらさらの砂に、横向きに緑色の草が生えていて、海岸は丘陵になっていて、少しどんよりした海が見える浜辺"ー

昔夢の中で見た海岸の記憶だけを頼りに、探し当てた地へ一人旅したエピソードを綴っています。

ル・トゥケの海岸#8はこちら

「あら、あなたのバカンスは短いのね-!!」

とホテルに迎えに来てくれたのは、ストに巻き込まれ気の遠くなるような旅をしてこの地に来た2日前に、Etaple-Le Touque駅に迎えに来てくれた優しくて可愛らしいマダム、ロクサーヌ(TAXIのプレートはないけどタクシーの運転手)さんだった。

出発日の朝レセプションの素敵なマダムが「あなたタクシーは必要?何時のお迎えがいいかしら?」と聞いてくれたおかげでスムーズに予約をお願いすることができた!
電話のやり取りから、タクシー会社のインフォメーションというよりは、よく知ってる方との会話に聞こえたけど、
まさかロクサーヌさんに再会できると思っていなかった私はひたすらに嬉しかった!
(ここのホテルは本当に素敵&スタッフさんが優しい✨)

ホテル レ ブルザン
次回も絶対ここに宿泊する!

13時半のお迎えの約束だったからホテルのサロンでのんびり待っていたけど、少し早めに来ててくれてたんだと思う。ロクサーヌさんは行きも時間にぴったりの方だったな。

この時までに少しフランス語を話すことにためらいがなくなっていた私は、
「楽しかった?」と聞かれて、「Oui!!」とすかさず答える。
自分が行った海岸や、街がいかにかわいくて、レストランがおいしかったかを、片言で伝えた。
ロクサーヌさんは生まれも育ちもこのル・トゥケ。優しくてフレンドリーで、綺麗な瞳をしてるのは、こんな美しい海を見て生活してるからなのだろう。
海だけでなく、駅に向かうまでは緑が豊かで自然にあふれている。
「私はこの街が大好きです」と伝えると、彼女は嬉しそうに微笑んだ。

帰りの駅へのルートは、マクロン大統領の別荘の前を通る道とは違ったので、「Ou est la maison de president?」など聞いて、デモが大変よね~❢❢
などと一瞬冗談を言い合ったりした。
私の中では、既にロクサーヌさんはル・トゥケで出会った大切なお友達。


あっという間に駅に着くと、悲しくなった。
”TAXI”のプレートはないロクサーヌさんの車を降り、荷物を受け取ってさよならを言う。
「また会いましょう!このル・トゥケでね♡」
と言ってくれた瞬間、涙が出そうになった。

私の短いけれど、充実感に溢れた夢の旅は終わる。

慣れないことの連続でへとへとになりながらこの駅にたどり着いたときに迎えに来てくれた笑顔にどれだけ励まされたか。そしてまたの再会を願って、名残惜しく、車が見えなくなるまで手を振る。
笑顔でこの地を後にできることもうれしかった。

Le Touque Paris Plage
la plage de mon reve
Merci beaucoup!

行きの電車でストの痛い目にあったので、パリの友人とも相談して、帰りは予定している電車より一本前に乗れる時間に間に合うように駅に着いた。
駅舎の中に入ると広めの待合になっていて、数人がベンチに腰かけていた。
私の持ってたチケットの電車までは1時間以上あるが、25分後に、乗り換えが必要だけど一本前の電車が来る。

この日はパリに戻ったらアパートを借りる約束の日だったので、途中でまたストにあって身動き取れなくなることがないよう、できるだけ早く帰ろうとしていた。

駅員のマダムに英語で話すことを確認し、スマホを見せ「私のチケットはこれなんだけど、一本前に乗ることはできますか?アミアンで乗り換えだと思うのですが」と聞くと
「ちょっと待ってね…うん、大丈夫よ」とのこと。

ほとんど人がいない駅のホームに向かい、一本前の電車を待つことにした。

少し古いけど、白くてかわいい駅舎が特徴の広い駅だった

帰りの電車は時間通りにやってきて、しかもびっくりするぐらい空いていた。
私の車両は空っぽだった。
”ストにならなくてよかった!”

ようやく穏やかな気持ちで電車に乗ることができた。
午後はやはり晴れることに決めた空のおかげで、
車窓から見える世界は、絵画のように綺麗だった。

1時間後にアミアンで乗り換える。
安堵したのか眠くなってしまったので、寝落ちないように、また美しい景色を無駄にしないように、インスタライブをすることにした。


イヤホンをし、流れる車窓をライブで共有しながら、
「夢の旅」は穏やかに幕を閉じた。

視聴してくれた友達が、写真を送ってくれた。
ライブをしている私。noteのアイコンの写真


ル・トゥケは私にとって特別な場所となった。
きっとフランスに行く際はまた必ず立ち寄るだろう。
いつも心の温かいところに、この地の想い出が残るだろう。
悲しくなったり、疲れてしまったり、苦しいことがあっても
ル・トゥケの海岸の思い出が私を癒し続けてくれるだろう。


2021年5月のある夜偶然インスタに”ポンっ”と上がってきたこの写真が
私の運命を変える日だったのかも🌟

(※人の姿は加工して消しています)

この日以来ずっと夢見ていた海岸。

偶然の連続のような必然のような旅。

夢を追いかける旅であり、

夢のような旅だった。

✾ ✾ ✾ ✾ ✾ ✾

自分の心に溢れた感情と思い出を書き出してみたら
感動をいつまでも形として残せるのではないかと思い、noteに綴ることにした。
そしてガイドブックのないル・トゥケの美しい海岸を訪れる際に
少しでも情報として役立てたら、とも願っている。


このあと私はデモとストが続くパリに戻り、3日間を過ごした。
目の前でバスティーユが燃え、爆発音を聞いた。
でも、大規模デモでメトロや学校も封鎖した日の前日にパリを去った。
どこまでも旅の運に守られているなと思った。

久しぶりの海外とあり緊張や不安もなかったわけではないが、片言のフランス語と、あとは英語が話せれば危険に巻き込まれず生きれるのだなと、大げさかもしれないが少し自信になった。

✾ ✾ ✾ ✾ ✾ ✾ 

引き続きル・トゥケの海岸に行ったことで感じていること、
変わった心境など、そしてパリで過ごした時間も近々書いてみようと思う。

ここまで夢を追う“夢の旅”のエピソードを読んで下さりありがとうございました。
通知が来るたびとても励みになりました✾

#LeTouqueParisPlage
#ルトゥケ
#ルトゥケパリプラージュ



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