フィギュアスケートをアップデート！

皆さんはフィギュアスケートにどんなイメージを持っていますか。私は子供の頃からフィギュアが好きで、これまで何人か夢中になった選手がいました。

でも、最近は自分の好きな選手より強い選手を誹謗中傷したり、純粋に客観的に評価する解説者をこき下ろしたり、フィギュアファンというよりも特定のスケーターを好きな自分が好きという感じの人達に圧倒されてしまい、正直辟易として興味を失っていました。それからもう一つ、長年フィギュアスケートを見てきて特に思うのは、ずっと代わり映えがしないってことでした。ひらひらキラキラの衣装を来て似たような曲似たような振り同じ技術パターン化した表現。進歩がない、そう感じていました。日本では中高年女性を中心にまだまだ人気が高いスポーツですが、他の国ではオワコンになってると聞いて、実は納得したものです。あんなに大好きだったのに。

そんなある日、彼が目に飛び込んで来ました。その人は爽やかで軽やかなレモンイエローの衣装を普通に着こなして最高の演技を見せてくれました。新しくて、何より自由で、他の誰とも違っていて、まるで自分自身を解放して行っているかのような演技でした。ネイサン・チェンさんでした。

私は彼のことをほとんど知りませんでした。そして驚いて嬉しくて釘付けになりました。昨秋のグランプリファイナルという大会での出来事です。彼は世界最高点で優勝しました。

それから夢中で彼のジュニア時代から今に至るまでの演技を見まくり、そして知りました。彼は天才だったんです。それもフィギュアスケートだけでなく頭脳も身体能力も全方向的に天才、まさにgiftedだったんです。そして、そんな彼が大きな挫折と絶望を味わっていたことも。

ピョンチャンオリンピックにアメリカ代表として出場し金メダルを期待されていた彼は、これ以上ないほどの失敗をしてしまいました。プレッシャーに押し潰されメダルを取れなかったのです。子供の頃から2018年のオリンピックでの金メダルを目指し、ただそれだけのために生きてきた彼にとって、その挫折はどれほど辛かったか計り知れません。でも彼はそのどん底から這い上がって軽やかに自分を超えて行きました。きっと想像を絶する葛藤があったと思うし今でもあるでしょう。でも彼は持ち前の知性でそれを乗り越えようとしています。

今は大学と競技生活を両立させながらますます進化しています。私の大好きなフィギュアが時代遅れになってしまって悲しいと思っていたら、とんでもありませんでした。ネイサン・チェンさんはフィギュアスケートをどんどんアップデートしていきます。彼に触発され、多くのスケーターも今を、そして未来を作っていくと思います。

彼を見ていて、私も前を向こう、顔を上げて歩いて行こうと思えました。次はどんな新しい演技を見せてくれるか楽しみです。

#すごい選手がいるんです