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いまは、とりあえず人差し指を唇にあてて〔詩〕

距離を取るために卵に入る
嫌なものから離れるためだろう
そう決めつけたように囁かれた
別れが辛いのは
その日が来るまでわからない
鈍感なボクだから
淋しいと誤魔化す

あまりにも思い出が楽しすぎた
原因はそれだけの
でもそれが問題で
転がるのが面白くて見ていたボールが
急に崖の下に消えていくときに
反射的に駆け寄ることは意味をなさず
消えてしまったボールは
世界から消える

世界から
ボール遊びを楽しむ人達の
笑い声を無くそうなんて
それこそ淋しいから
自分が卵に入れば済むことだと
そう
決めたんだ
卵の殻の外から笑い声が聞こえるし
そんな世界がまだ
卵の外には存在するんだと
すこしばかり
気配がするくらいの
チラチラ影が動くくらいの
不確かな
でも一度見たことがある世界が
そこには広がっていて欲しい

卵1個分の場所だけ
この世界に要求する
わがままを許してほしい
誘惑に負けたら鳥になる
そんな腹黒さを内に秘めて

卵は割れるまで中身が分からない


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