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要介護者の外出の機会と支援

昨年2月横浜港のクルーズ船内の感染を大きなきっかけにして、新型コロナウイルスの感染は世間に知られることになり、3月には感染者数が増加、4月より緊急事態宣言が発令となった。その後解除されるも、7月から8月にかけ少し上昇、11月より再び上昇し始め、1月には5000人/日近い数の感染者数が報じられた。

マスクをはじめ感染症対策、不要不急の外出自粛、緊急事態宣言によるさらなる自粛、営業の自粛等々・・・1年以上が経過した。

仕事、家事育児・学生生活などもニューノーマルと言われ、オンラインをはじめ非接触な社会へシフトすることを余儀なくされているが、変化に比較的柔軟であると思われる若い世代であっても外出できないことへのストレスは非常に大きいわけで、2回目の緊急事態宣言下では、外出自粛の都心の人手の減りがさほどではないことからも、それはうかがえる。

コロナ禍であってもなくても外出機会が減少しやすい、特には要介護の高齢者は、さらに外出の機会が減っているは懸念される。

重症化リスクの高い方も多いため、必要のない外出は控える判断は当然であるが、長期化してゆくことで、健康な高齢者も健康悪化やフレイル(虚弱)となったり、軽介護者が中重度の介護状態へ変化することが考えられる。

事実、2021年1月には区分変更申請の数が急増したことが報じられていた。

https://www.minnanokaigo.com/news/kaigogaku/no972/


高齢者は若い世代と比較して、生活で活動を狭めるとあっという間に心身機能の低下を引き起こすことは、介護業界にいる人は誰もが知っている。

医療機関も最近は入院期間はかなり短期化されているが、高齢者が入院すると一気に、ADLは低下することは多い。

感染すると重症化する可能性が高いことは一つの大きなリスクではあるが、外出の機会が減少していることが長期化していることは同様のリスクであると考える。

感染するリスクを除いて考えたとしても、要介護者は、どの程度外出の機会があるだろうか。もちろん本人の趣味嗜好・生活歴が優先的に考えられるが、仕事・家事・育児・旅行などを続けている世代と比較すると、経験上、介護を必要としている方の外出頻度には大きな開きがあると思う。

外出に力を入れている介護施設などはあると承知しているが、在宅生活を継続されている高齢者にとって、外出をサポートできる社会資源は充実しているとは言い難い。

介護保険のような半公費で賄うべきか、自費でその機会・費用を賄うべきか、議論はあると思うが・・・

高齢者がながく元気で暮らし続けるために、人と会い、外の暑さ、寒さを感じ、そのための着替えや化粧などの準備行動を行い、明日の予定を気にし確認したり、外出した日は適度に疲労し食欲も出て、よく眠れる・・・

こうした行為は、心身機能の低下を防ぐには非常に重要あると改めて感じている。

家族、ボランティア、地域活動などの充実も必要であるが、介護保険制度施行後20年経過している中、インフォーマルサービス(家族・ボランティア等)の充実が著しく増えたかといえば、現実は厳しい。

そうした場合、介護保険上でこれを賄うことができる居宅サービス(地域密着含め)は、小規模多機能か通所介護しかないと思う。

コロナを機会に小規模多機能や通所介護の期待させる役割に、改めて着目されると個人的に考えている。

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