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いたむのは _ 詩

36度4分の体温を忘れない左手が
八月の教室に響くさよならを聴いた鼓膜が
夜の様に黒い髪をもう映せない瞳が
跡が残るくらいに握り返した右手が
未来を描いて毎日鼓動した胸が
白い頬を落ちる星の砂みたいな涙を記憶した心が
今もまだ痛む
いつまで経っても慣れずに僕の名を呼ぶ声は
帰り道わざと遠回りしては汚れた肌は
嘘がばればれの強がりな吐息は
寒いくせにマフラー外してキスをねだる唇は
怒ると無口になって吊り上がる両の眉は
僕を見て心から真っ直ぐ光るあの微笑みは
今はもうない
だから僕は、ずっとひとりだ
そうか僕は、ずっとひとりか

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