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詩 「しりとり」

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2024年4月の記事一覧

ルービックキューブ _ 詩

ルービックキューブ _ 詩

スピーカー全部かきけして
さすがにその歌詞は
泣いちゃうね
君に会いにいくことなんて
ほんとはとても簡単だ
チョコも溶けだす暑い日も
鳥かご抜け出す真夜中も
思い知ったよぐさぐさと
君に会いにいくことなんて
こんなにこんなに困難で

埋もれる _ 詩

埋もれる _ 詩

砂時計越しに君を見た
髪の毛たんぽぽ薔薇の花
閉じ込めてみせて
シャッターボタン
砂に埋もれる瞳の向こう
生の有限
死の永遠
「もっと近づいてアルフェッカ」
「いっそ焼き尽くせメリディアナ」

乱数 _ 詩

乱数 _ 詩

あの喫茶店のあの席で
コーヒーフロート掻き混ぜて
あの日あの時あの場所で
ラブストーリーは突然に
そんな光は差さない世界だ
どんな言葉も僕にはゴミだ
丸めて放れば円の外側
まるで僕らのエンドロールだ
いつまでたっても席を立てない
次の映画も始まらない
イッツオールアバウトユー
月の栄華の艶めかしさに
そんな光が唯一の記憶だ
どんな僕でも僕にはゴミだ

それから _ 詩

それから _ 詩

守ってほしくなんかない
守ってあげたかった
何にも言えなくなって
馬鹿みたい
本物じゃないとか
大人になったらとか
気にするわけないのに
馬鹿みたい
新宿の街が星に撃たれて
ネオンライトも水墨の果て
夕焼け小焼けに呆れ果て
頬を伝う見知らぬワインで
生きているって
ただそれだけで
何にもいらなかったよ
馬鹿やろう

嘘 _ 詩

嘘 _ 詩

今度ばかりは本物と
だけどやはり偽物と
安堵ぱらりら真実は
だけど私は偽物か
金貨銀貨に宝石を
あんた落とした忘れ物
金か銀かこの石か
たんだ踏み込む地獄にか
あの晴れた空を翔べるのか
魔の差したシドが堕ちるのか
だとしたらどれが本物か
その次はミファが続くよな
さぁ小さな恋が始まるよ
誰かのために生きられるなら
あの晴れた空を翔べるなら
こんな歌でも届くなら

特別に思う _ 詩

特別に思う _ 詩

毎晩星屑を浪費して
ビールグラスに雨を注ぐ
リップクリームが乾く頃には
貴方は誰かの隣にいるの
ハンカチ雲間に差す光
トールサイズの大好きに
シナモンと嘘と涙を追加
とっても苦いと知ってるのにね
唇の端に泡が付くように
結局私をダメにするんだ
毎晩月の形を描いて
白いページが埋まってく

木琴の音 _ 詩

木琴の音 _ 詩

病める時も
健やかなる時も
ひび割れゆく大地の上で
太陽と月の揺り籠の下で
ぼくをみていてくれますか
きみをしんじていいですか
壊れてしまえば戻れない
知らないふりもできやしない
あの白い花が朽ちるまで
画面の文字が消えるまで
ぼくを愛してくれますか
きみを愛していいですか

とても _ 詩

とても _ 詩

五重の塔に腰掛けて
抗鬱剤に月を喰む
後生の様に眺む世は
超うっさい灰都かな
幼い羽根で空を舞う
拙い声で法螺を吹く
九尾の狐が手招きしても
週休二日で月を喰む
後生大事にしてくれるなら
全部あなたにあげてもいいわ
補う夢と星と雨雲
ポケットにジャズと愛の火を

ハート _ 詩

ハート _ 詩

一折一折想いを込めた
そっと大事に風に乗せた
瞬きもせず見守った
風が止んで地面に落ちた
知らない誰かに拾われた
首を傾げて元に戻した
おんなじ事の繰り返し
陽が沈んで群青が舞った
気付くと眠りに落ちていた
そっと肩を叩かれた
これは君が作ったの?
瞬きもせず頷いた

素直な私は _ 詩

素直な私は _ 詩

わざとピアス忘れてみようか
それともルージュ映そうか
いいこのふりで得られるものは
三時間の悦と夢
交感神経に黙ってもらって
期待なんて昔に終わって
いいこの私で満ちる月なら
凪いだ海に沈めてしまえ
一緒にいない時間の檻は
記憶のブーケ束ねて歌う
どうかどうかと愛を歌う
何時間も毒と夢

喪に服す _ 詩

喪に服す _ 詩

幸せを探すのはふりで
痛みが逃げないように
あなたが何処かへ行かないように
この身体に閉じ込める
笑顔が張り付いているようで
私の心はあなたのもので
1ミリだって消させない
感電したあの夜も
印字できないその声も
全て私の中で育てよう
いつか咲いたその花で
とっておきの後悔を刻む

こんなにも _ 詩

こんなにも _ 詩

飲み込まないですぐ言って
一文字違わず私に浴びせて
心に空いた穴の真ん中
よーく狙って突きつけて
勘違いでも運命だとしても
どんなトーンでも表情でも
音の波じゃなきゃ満足できない
視覚情報に逃げ込むなんて
愛してないのと同じでしょ
詩書きが何をと思ってるなら
それこそ貴方の勘違い

海の底 _ 詩

海の底 _ 詩

鏡に映る屈折した好き
光を集めて見えないふりだ
きっとこんな僕だから
熱を帯びても太陽になれず
一人になって初めて気づく
二人を照らしてくれない月に
嫉妬だらけの傷だらけ
見境無しに太陽求めて
口にすれば本当になるから
胸の深海に沈めてしまう
月も太陽も沈めてしまえ
息もできない程深く

希望 _ 詩

希望 _ 詩

灯火を
千切り痛みて
飼う夜の
切先に映る
優しさ一分
木漏れ日を
契り刻みて
添う朝の
手元が狂う
ブルーグレーに
唯真っ直ぐに燦と輝き
隙間から溢れ凛と瞬き