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詩 「しりとり」

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どうやって _ 詩

どうやって _ 詩

どうやって川を渡ろうか
貴方がくるのを待ってられない
どうやって夜を越えようか
ノートの中の星、傷、ナイフ
どうやって月を落とそうか
あの日の言葉をミサイル代わりに
どうやって愛を放とうか
臆病に、でも大胆に
どうやって老いを拒もうか
別にこのままでもいいか
どうやって日々を偲ぼうか
喪に服すより飛び切りの笑みで
どうやって謝辞を述べようか
百個の詩なんか読んでくれたなら



P.S. コメン

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スーサイド _ 詩

スーサイド _ 詩

雷で瞳を貫いて
危うく罪が重くなっても
向日葵で首を絞めつけて
思い通り推定無罪でも
結果なんて何でもいいんだ
どうせ後の祭りなんだから
レモネードを注射して
夏を感じて死にたいか
日焼け止めを飲み続け
夏を拒んで管を満たすか
ほら言葉なんかゴミ屑だ
どうか身体で確かめさせて
壊れるくらい抱き合って
壊れていてもくちづけて

プロミス _ 詩

プロミス _ 詩

沸騰したお湯に
二十秒ほど浸っていれば
トマトの皮が剥けるみたいに
私の表面に
嫌と言うほど染みついた
何もかもを剥がせるのかな
氷水に飛び込むその時は
この心臓は停止して
お酢と砂糖と白だしで
生き返らない様にトドメを刺して
頭の上に刻んだ十字は
この身を捨てるための約束
心電図の様に逃げ出した過去も
挿し絵の様に抱きしめる別れも
逆さに読んでも同じ名前でも
この心さえ真っ赤でいれたら

ドープ _ 詩

ドープ _ 詩

ドーナツを分け合う暑い日の
喉を冷やしたアイスコーヒーの
ほろ苦さは後ろめたさか
伝えきれない大好きか
エアコンの効いた肌寒い部屋
朝から上がりきらない微熱
この胸で燃える確実な炎
百年の恋は冷めないの
ときどき僕らすれ違い
桜が海で茜に凍り
どきどきしながら手を繋ぎ
雪がピンクに暑さで紅葉
夜になっても変わらず微熱
この胸に隠る薄情な炎

ツイステッド _ 詩

ツイステッド _ 詩

君の嘘を破ったら
白い鳩と虹が飛び出した
夜の闇を詩ったら
海が嫉妬で荒れていた
夏の雲を齧ったら
時の流れがわからなくなった
胸の傷を開いても
僕は一人のままだった
蛍たちが輝く前に
蜃気楼が揺らめいて
記憶の中の君が消えそうで
慌てて顔を両手で覆った

天罰 _ 詩

天罰 _ 詩

どうしてこんなに言葉を紡ぐ
どうして同じ夢ばかり見る
愛を例えて何になる
画面を埋めて何を生む
雨が鴉が酒が太陽が
夏がハートが迷いが闇が
君を救えぬこの僕が
無力に沈むこの声が
通りであの日のままだった
どうして同じ事ばかり詩う
君を失くして何を得る
詭弁に埋もれて何を詠む
愛を果実を砂漠を旅を
凪を蜂蜜を魔法を安らぎを
誰も救えぬこの僕を
無傷で怯えるこの胸を
誰が許してくれようか
罰として生

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たなびいて _ 詩

たなびいて _ 詩

包み紙は夜の空
天の川のリボン解いて
澄んだ空気に小指重ねて
閉じかけたドアに左手添えて
間に合うように秋の夢
絶やさぬように隙間埋め
病んだ湿った小指重ねて
1、2の3で柵を飛び越えて
本当は飛べると知ってるわ
きっともう一度会えるよね
イヤホン外して確かめる
月もそこにちゃんとある

ハニーアンドビター _ 詩

ハニーアンドビター _ 詩

両手いっぱいの花束も
きっと枯らせてしまうから
せめて僕の涙でよければ
どれだけでも注ぎましょう
コップいっぱいのサヨナラも
そっと飲み干してしまえたら
やがて僕の涙となって
またあなたに注ぐのに
精一杯の魔法でもって
やっと少しだけ笑顔にできる
涙と笑顔の交換じゃ
喜んではくれないか
だから僕の涙を固めて
あなたの耳に飾ってくれたら

両目いっぱいの水溜り
もっと降らせてアメフラシ
せめて君の花

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今光るのは _ 詩

今光るのは _ 詩

スマートフォンの夜の孤独を
ネオンの街の矛盾の闇を
LEDの豪雨に弱虫の影を
デジタルに進む黒い有限を
偽物ばかり明るくて
私の光に気づいてないの
お風呂上がりの両手で耳を
バスソルトの香りで鼻孔を
蜂蜜のようなキスで唇を
勿論両目は瞑っていてね
ほら真っ暗なのに暖かい
私の光に気づいたでしょ
だって私は生きている
だって君も生きている

落花星 _ 詩

落花星 _ 詩

頭にコツリと何か落ちてきた
地面をみると惑星が転がって
暫く眺めて煙草をふかす
フィルターまではまだ十分
こんな小さな灯りでも
こんな夜をか弱く照らして
手を伸ばして惑星を拾った
殻を破いて中身を出した
暫く眺めて長く息を吐く
フィルターまではあと少し
こんな燦く種だとは
こんな僕の全部を染めて
気づかないふりは終わりだな
最初っからわかっていたよな
君を上手に愛せるかでなく
こんな僕をどう愛する

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ステラ _ 詩

ステラ _ 詩

ノートの隅に落書いた
惑星をこの空に浮かべたら
少し未来が明るい気がした
温い温度ではしゃぐ風に
カーテンは揺れて踊るのに
私の心はすんと黙って
ルージュをひいて大人ぶった
ヒールを履いて空に近づいた
少しなんでもできる気がした
帰り道はひどく静かで
車を降りても耳が痛くて
私の心も少し痛くて
早く大人になりたいなんて
文字にしたって子どものままで
頭上の惑星に名前をつけて
バレないように君に放っ

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グラス _ 詩

グラス _ 詩

駅前の珈琲店に伸びる列
向かいの交差点の傘の海
学校鞄が弾ける夕暮れ
横断歩道の隙間の安堵
悲しいとかは全くない
寂しいとかも勿論ない
ただ被弾したこの胸を
塞ぐための手段がない
だから孤独と綴っても
何かうまく嵌まらない
だけど孤独と詠うしか
僕は僕を誤魔化せない
誰かと照らし合うためのアリア
強がり嘘つき歌い上げたなら
草原に一つ光が差して

画面の向こうに帯びる熱
電子の格子点の雨の粒
毒林

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ミッシング _ 詩

ミッシング _ 詩

海の月だと言い張って
君が放った電気に痺れ
夢芝居だと言い聞かせ
紅を重ねた心は浮かれ
星の屑だと言うくせに
君が放った光に見惚れ
額紫陽花と夜が重なり
藍を隠した私は千切れ
空の器へと言葉を注ぎ
泣き始めた心を宥めて
愛だったと漸く気づき
白く散った花弁を喰む

写し身 _ 詩

写し身 _ 詩

花の色が貴方に移り
また私は記憶に追加
悪戯だって繰り返したなら
眺めも変えてしまうよな
川の流れに言葉を映し
ビリビリに破く五秒前
巻き戻しのないこの世界だから
やっぱりまた逢いたくなるよな
再び菖蒲が咲く頃に
雨を押しのけて此処に来たいな
何種類も咲いていたって
今日の香りに気付いてみせるわ