マガジンのカバー画像

詩 「しりとり」

49
運営しているクリエイター

記事一覧

天気予報 _ 詩

天気予報 _ 詩

雨傘の下肩がぶつかる
殺した声が水を含んで
心の奥に沈んでしまう
見えているのにわからない
わかっているのに見えてない
君が選んでくれたから
私は生きているのにな
乾かない袖に夕陽が差して
交わした約束の匂いがしたら
また明日も期待して
傘がなくても肩をぶつける

言って _ 詩

言って _ 詩

キスの後そっと頭を撫でて
傷の痕もっと痛みが出ても
優しい言葉準備してたよ
予定通りにできないな
もう一回って言っていいの
もういっかって行っていいよ
嘘だよ本当は思ってない
でも君には届いてない
私だけが知ってる君は
君だけが知ってる私は
桜だって散ってく春は
夢だって知っても二人は

昨日の未来 _ 詩

昨日の未来 _ 詩

雪も溶けたし月も欠けた
花は鳥と共に空へと舞った
風が教えてくれたけど
またいつか月が満ちるまで
コンクリートが愛おしい日
田園の方舟飛び乗った日
ランドリーで目を回したり
林檎探して電気屋巡り
そんな全てが恋しくあれど
でもねだからこれでおしまい
グッバイマイ
スウィートハート

三日月 _ 詩

三日月 _ 詩

河童が話しかけてきた
胡瓜を分けてさよならした
ほんとにいたんだと
ちょっとびっくりした
あなたにサヨナラ告げられた
ハートは半分にできなかった
本気の恋だったと
今更痛みで理解した
季節が時間を四つにわけても
春夏秋冬思い出があって
いつまでたっても僕は一人だ
あの日の河童は元気かな

ルックアットミー _ 詩

ルックアットミー _ 詩

結果として
痛みとか苦しみとか死とか
並べて飾るばかりのウタか
一貫して
くだらない救われない生を
刻んで煮込んでばれないように
恋には門限を
愛には潜水艦を
君には永遠を
僕には鮎の塩焼きを
折り畳み傘忘れても
このくらいの詩をこの胸に

ドーナツホール _ 詩

ドーナツホール _ 詩

何度だってやり直そう
壁紙から塗り直そう
ああでもない
こうでもないと
言い合いながら確かめよう
知らないうちに手を繋ぎ
コーヒーが冷めてしまうような
あんな夜を何度でも
こんな風にこっそりと
夜の端っこで確かめよう
かよわく強がる左手を
迷ってばかりの右の手を

通信速度 _ 詩

通信速度 _ 詩

言葉に溺れて息ができない
言葉が詰まって血が流れない
理屈や規則で縛れない
卑屈で微弱で測れない
詩がなくても生きていく
詩がないなら生きれない
高層ビルに咲く花に
宇宙から涙で水をあげ
余りをあなたの街に撒き
あの蝶の傘に気付けたら
どんな言葉で呼びかけよう
どんな詩を書いて届けよう

ミッドナイト グレープフルーツ_ 詩

ミッドナイト グレープフルーツ_ 詩

だめだよ言葉になんかしちゃ
だめだよ理由なんか求めちゃ
どこが好きとか
どうして私なのとか
夕暮れ時の碧いオレンジ
サクソフォンの歌う声
涙ごと頬にキスした甘み
二度と回収できないサヨナラ
どれも言葉になんかできない
だから僕ら詩を書いて
両手で抱えた永遠も
磁力が消えた一瞬も

罪 _ 詩

罪 _ 詩

私だけもう夏服で
警戒心が空から注ぐ
兎の目の様に赤いなら
この心もバレるのかもね
五月晴れどうか煌めいて
盛大に蒼く孤独が歌う
太陽の火の様に黒いなら
春が青くならずに済むわ
傷が幾重にも重なって
鱗の代わりに波紋作って
君がただ一人輝いて
この心がバレるの期待して

密 _ 詩

密 _ 詩

フライデイナイト
ふたりでいないと
なんて美しい夜なんだ
なんで美しい夜なんだ
いろんな声で確かめ合って
傷んだ箇所も確かにあって
サンデイトワイライト
3回唱えないと
さよならできない寂しくて
さよなら溺愛たなびいて
また一週間落ち込んで
また金曜日を待ち侘びて

痛み _ 詩

痛み _ 詩

全自動の悲しみに
引っこ抜いたコンセント
LEDの眼差しを
くたびれた猫が覗いてる
赤い瓶を選んでおけば
何も知らなくて済んだのに
オイルの漏れたライターの様に
火が点いたならどこまでも
私の心が作り物ならば
この痛みをなんとする
プラスチックの星屑で
傷口照らせるわけもなく

すべり台 _ 詩

すべり台 _ 詩

誰にも似てない銀色で
守りたいもの包んだら
チョコのように溶けてゆく
ほろ苦いの誤魔化して
鋭く尖った銀色で
傷つけるもの切り裂いて
刃が走る一瞬に
ほろりと流す涙かな

ブルース _ 詩

ブルース _ 詩

うたた寝の隙に飛び出した
春の雪が舞っていた
降り積もった時間の粉は
小川に溶けて泡となれ
明朝体の表情で
バスカヴィルを気取っても
芽吹いた緑の眩しさに
霞んで透けて痣となれ
何度何度繰り返そうと
あの日の雪を待っていた
僕の心臓を転げ落ちたなら
きっと此処に流転して

ルービックキューブ _ 詩

ルービックキューブ _ 詩

スピーカー全部かきけして
さすがにその歌詞は
泣いちゃうね
君に会いにいくことなんて
ほんとはとても簡単だ
チョコも溶けだす暑い日も
鳥かご抜け出す真夜中も
思い知ったよぐさぐさと
君に会いにいくことなんて
こんなにこんなに困難で