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Culture|フィンランドのカルチャーガイド 〈03.スローデザイン〉

フィンランドカルチャーのあれこれを、シンガーソングライターのゆいにしおさんが独自の視点でご紹介。今回は、日本でもブームの兆しを見せるフィンランドファッション。中でも、ゆいさんが注目する「スローデザイン」をコンセプトにした3つのブランドを紹介してもらいました。

自然、シンプルであること、タイムレスなデザインを大切にするフィンランド人にとって、「スローデザイン」は文化に根付いたキーワード。スローデザインとは、イタリアのスローフード運動を起源としたデザインに対する考え方で、大量生産による「早い・安い」「簡単・便利」に対抗して、少量生産や「手間・暇」を見直すもの。今回は、フィンランドのスローデザインを特徴とするブランドと私流コーディネイトを提案します。

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最初にご紹介するのは、フィンランド語で「雪」を意味する、フィンランド発のバッグブランド「LUMI(ルミ)」。NYのラルフローレンでバッグデザイナーをしていたフィンランド出身のサンナ・コントラと、NYのティファニーで時計のアートディレクターをしていたフランス出身のブルーノ・ボーグランが出会い、2000年に誕生しました。豊富なカラーとミニマムなデザインが人気を博しています。

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注目は、落ち着いた色味が特徴の「ナチュラルライン」。土に埋めると15日程度で自然に還るベジタブルタンニンのレザーを使用しているそう。ベジタブルタンニンは、多くの製品に使われているクロムレザーとは違い、作業工程が多く手間が非常にかかるのだとか。また、使い込むほど艶や風合いが出るといった、経年変化を楽しめるという特徴があります。

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私が気になったのは「サルミアッキバッグ」。北欧のお菓子・サルミアッキ(SALMIAKKI)の形をした特徴的なバッグです。個性的なシェイプが目を引きますが、カジュアルだけでなく意外とどんなタイプの服にもマッチして、1日を楽しく過ごせそうですよね。

どんなふうに身につける?

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「Pure Waste(ピュアウェイスト)」は、衣料品の製造工程で出るコットンの端材、端切れをリサイクルして服に作り直すという稀有なコンセプトのアパレルブランド。ブランドの核となるこのアイデアは、デザイナーのアンダース兄弟によって2006年から温められていたのですが、その頃は世の中的に、環境への配慮を重んじた製造やビジネスはまだ主流でなく、実現は困難を極めたそう。それでもインドの協力工場と試行錯誤を繰り返した末、3年後の2013年、遂にフィンランド国内での販売をスタート。彼らの環境保全への強い信念に世界中から反響があったと言います。

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1枚のTシャツを生産するためには、どのくらいの水が使われているのか、ご存知でしょうか。なんと、綿の栽培などにかかる水の量は約2,700リットル。端材をリサイクルしているため、綿を新たに栽培する必要がないのが、PureWasteの特徴。糸にはすでに色がついているから染色も必要ありません。着るだけで大量の節水が期待できる、というわけですね。

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スウェットやパーカーなど、さまざまな日常づかいしやすいアイテムが用意されている中、私がセレクトしたのは定番の白Tシャツ。シンプルな1枚のTシャツが出来上がるまでのストーリーを想像すると、気分も上がりますよね。ワンマイルウェアとちょっとしたお出かけの間を目指してみたい!

どんなふうに身につける?

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最後に紹介するのは、カシミヤウェアブランドの「Arela(アレラ)」。大量生産をせず、長く着られる服を目指し、繕いなどのサービスなどもしているのだとか。シンプルなデザインが多く、体型を選ばず着られるのが特徴。100%天然の最高級素材を使用し、衣服の耐久性に誇りを持っています。長く着られる・長く愛される、そんなものづくりが環境保護に繋がると考えられているのです。

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Arelaは「FOR GOOD」という理念を掲げ、製造過程だけではなく、商品が店を出てから、その後の責任まで追うことを大切にしています。Arelaが得意とする素材はカシミヤ。信頼するパートナーによって生産され、カシミヤヤギに害を与えないよう配慮されています。また、着用したArelaのニットを回収し、新しい製品を20%オフで購入できるサービスも。その着用したニットは、新製品やニットの修理に使われます。そんな、購入されて終わりではないその姿勢に惚れ惚れ。

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私が気になったのは、Arelaのシンボルマークが連なったようなパターンのニットとパンツ。セットアップ気分でコーディネイトを組んでみました。

どんなふうに身につける?

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ファッションは一番身近で手軽な自己表現。纏うことで作り手の意思を感じ取ったり、自分にとっての新しいアクションに繋がったりすれば、おしゃれの幅はもっと広がりそうですね。

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