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Recipe|ハーブで美味しい北欧料理 〈07.ディルと海塩で漬けこむグラーヴィロヒ〉

フィンランド料理に欠かせないハーブ。自然を身近に感じるライフスタイルを発信するMitsou(みつ)さんに、ハーブを使った北欧レシピを毎月教えていただきます。

②冬のフィンランド

朝の肌寒さや澄んだ空気に、冬の訪れを実感する12月。ぬくぬくとしたベッドからなんとか起き出したら、暖かなショールを羽織ってお湯を沸かし、温かい飲み物でホッと一息。何とも言えない幸せを感じる季節のはじまりです。

日本ではまだ雪が降り始めた地域は少ないですが、ヘルシンキでは平均気温も0度に近づくこの時期。寒さの厳しい北欧の冬、地面は深い雪に覆われ海は凍ってしまうため、春から秋に収穫した野菜や魚にさまざまな工夫を施して長期保存する文化が古くから根付いています。

③レシピ導入写真

今回ご紹介するのは、そんな北欧の伝統から生まれた「グラーヴィロヒ(Graavilohi)」。新鮮なサーモンを塩漬けにしたフィンランドのおもてなし料理です。日本で人気のあるスモークサーモンは、このグラーヴィロヒを香りの良い木で燻したもの。日本ではスモークサーモンと比べるとあまり知られていない存在ですが、フィンランドではスモークサーモンと同じかそれ以上によく食べられていて、クリスマスや大切な友人をお招きする食卓には欠かせない一品です。

購入すると高いのでフィンランドでも手作りする人が多いグラーヴィロヒ。今年の冬は、スモークしないグラーヴィロヒにチャレンジしてみませんか?作り方は驚くほどに簡単で、使う材料もシンプルです。それなのに、絶対に作って良かったと感動すること間違いなしのこの料理。ちょっとしたコツで、いつもの生サーモンがグッと美味しくなりますよ。

クリスマスや年末年始の人が集まる時に、お手製の大きな塩漬けサーモンがテーブルに並んでいたらきっと歓声が上がるはず。好きな厚みに切り分けて食べる贅沢な気分と、旨味がギュッと凝縮したサーモンの美味しさをかみしめながら、華やかな冬時間をお過ごしください。

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④材料写真

●ディルと海塩で漬けこむグラーヴィロヒ

【材料】
サーモンフィレ (写真は730g)
海塩 サーモンの1/10量(写真は73g)
砂糖 サーモンの1/20量(写真は31g)
白胡椒 サーモンの1/100量(写真は7g)
ディル 適量
立て塩 (水1カップに対し小さじ1の塩を加えた塩水)適量

⑤調味料写真

サーモンフィレの大きさを基準に塩・砂糖・白胡椒を計量します。塩はできれば岩塩ではなく、海塩を使用するのがより美味しく仕上がるコツ。海塩はまろやかな風味が特徴のお塩で、豊富に含まれるミネラルが深い味わいとコクを生み出します。ディルはフレッシュな方が香りが強いので、生のものを使用する場合はサーモンに対して写真の分量程度(右下)を、乾燥したものの場合は白胡椒と同等程度を使用すると良いでしょう。臭み取り用の立て塩は、サーモンフィレが浸る程度の量を準備してください。

【作り方】
1:サーモンを立て塩に10分ほど浸し、キッチンペーパーなどで押さえて水気をよく取る。

2:

海塩、砂糖、すりつぶした白胡椒、ディルを混ぜたものをサーモンにしっかりとまぶす。器で漬ける場合は、調味料をまぶしたサーモンの上からラップを重ね、重石をのせる。ジップロックで漬ける場合は、キッチンペーパーで包んでからジップロックに入れ、その上にバットを乗せて重石をのせる。冷蔵庫で一晩寝かせる。

Point : 重石は重いほど早く塩味がサーモンに浸透します。味の好みによりますが、一晩漬け込む場合、まずはポリ袋に2カップ程度の水を入れて口をしばった水袋を使用してみましょう。タルトストーンや、米、小豆を袋に入れたものでも代用が可能です。

3:

⑦一晩浸けた状態

一晩経ったらサーモンを取り出し、味の浸透具合を確かめる。好みの味になっていたら、サーモンの周りの調味料や染み出した水分をきれいに拭う。(写真のように一晩でかなり水分が染み出します。)水洗いするとせっかく抜けた水分が戻り浸み込んだ味も抜けてしまうので、キッチンペーパーなどで丁寧に拭う。

4:

⑧完成写真

これでグラーヴィロヒの完成です。塩味が浸透しモチモチとした食感で、サーモンのほんのりとした甘みとディルの爽やかな香りがよく合います。フィンランドでは、パンやジャガイモと一緒にいただくことが一般的です。


⑨アレンジ写真

そのまま食べても絶品ですが、たっぷり作って色々とアレンジしてみるのもおすすめです。写真は、出来立てのグラーヴィロヒをパンにのせ、ソース代わりのポーチドエッグにレモン、ディルの葉を飾りました。クリームと合わせてパスタソースにしても美味しいですし、サラダにもよく合います。ぜひお好みの厚さに切り分けて、たっぷりとお召し上がりください。

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〈ディル〉セリ科 / 一年草
北欧でも特に人気のディル。爽やかな芳香で魚との相性が良く「魚のハーブ」とも呼ばれます。サーモンのマリネやスモークサーモン、ジャガイモのサラダやスープなど北欧料理には欠かせない存在。葉だけでなく花や種子も活用できるハーブで、特に種子はピクルスをつくる際に一緒に漬けると爽やかでピリッとした辛味を添えてくれます。鎮静作用や安眠効果もあるので、ディルシードのハーブティーは夜泣きの赤ちゃんに与えたり、おやすみ前のリラックスタイムにも適しています。寒さに強く、日本では秋に種を撒くと冬から春にかけて長く緑の葉を楽しむことができます。


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