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Design&Art|フィンランドのアートと人を巡る旅 〈17.自然と共にあるフィンランドのアート〉
アアルト大学院でアート教育やアート思考を学ぶまりこさんが、フィンランドのアートにまつわるおすすめスポットやイベント、現地に暮らす人々の声をお届けします。
フィンランドでは雪が降り始め、白い世界が広がっています。フィンランドに来て約2年半、先日に修士論文を書き終え、大学院を卒業しました。そのため、こちらのコラムも今回が最後となります。
フィンランドでは、自然をテーマにしたアート作品が多くみられました。厳しい気候のせいか、その多くはどこか哀愁が漂い、その中に強さがあるように感じました。絵画においては、優しいタッチや色使いと静かなトーンで、見ていて心が落ち着くような作品が多い印象です。
最後のコラムは、フィンランドのアートで印象に残っている、自然がテーマの作品を作家別にお届けしたいと思います。
パー・ステニウス(Per Stenius)
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佐々木健一さんの著書『日本的感性』に、日本人が一本のバラよりも桜に美を見出すのは、一個の対象ではなく、空間的な広がりに美を認める感性があるからだ、という内容が書かれていました。パー・ステニウスのこちらの作品は、その場の空気感、木漏れ日、風、光が木々と共に描かれていて、そのような空間的な広がりの美しさが感じられます。彼が桜を描いたら、どんな風になるだろうと想像してしまいますね。こちらの記事で、彼について詳しく紹介していますので、ぜひご覧になってみてください。
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クレヨンとパステルで描くマイユ・フッカネンの絵は、とても柔らかなタッチで、見ていると花鳥風月を感じます。また、箱に収まっているように描かれていて、どこか日本の箱庭を彷彿とさせます。人間とそれ以外の生き物たちの日常を描いている作品では、どこか懐かしさを感じることも。特に猫が中心に描かれている作品は、猫のマイペースなまったりとした独特の雰囲気が特徴的です。
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以前のコラムでも紹介した彼女の作品は、集合的な美しさが魅力です。作品のタイトルにもあるように、150種類の絶滅に瀕している世界の植物や花をモチーフにしている彼女の作品には、儚さと繊細さがあります。人が周りを歩く度に、作品を内側から照らすライトと映し出す植物の影が揺れ動き、脆さの演出を助けます。
Pekka Halonen(ペッカ・ハロネン)
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以前の記事で、19世紀後半のジャポニズムに影響を受けているアートとして、ペッカ・ハロネンの作品を紹介をしました。こんもりと雪に覆われた松の木々。1月の雪が深まる季節には、フィンランドではお馴染みの景色です。フィンランドを離れたら、この景色が恋しくなるんだろうなぁと目に焼き付けています。
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たくさんのフィンランドのアートを鑑賞しているうちに、フィンランドには日常に自然があり、自然での時間、自然からのインスピレーションを大切にしていることがアートを通じて見えてきました。それは19世紀と現代のアートを比較してみても、表現の形は違えど同じです。
そして、日本人とフィンランド人の共通する感性の一面も見えてきました。天災の多くある日本、冬の寒さ・日照時間の少ないフィンランド。自然の厳しさと対峙しながらも自然と共存していることが似た感性を生み出しているのかもしれません。
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ディッドリクセン美術館からの景色
このコラムを通じて、たくさんの出会いや発見がありました。フィンランド人の友人は、日本人目線で見るフィンランドの記事をいつも楽しみにしてくれました。フィンランドの街を歩いて小さな発見があると、記事にしようと思ったり、フィンランドでの生活の気づきをアウトプットして、皆さんに共有する機会をいただき、ありがたく思うばかりでした。皆さんにとって、少しでもフィンランドのアートを知るきっかけになっていたら幸いです。
コラムの執筆の機会をいただいた、Lapuan Kankuritさんに感謝申し上げます。約2年間、記事を読んでいただきありがとうございました。
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