Lifestyle｜Close to Nature〈02.春を感じに、外へ〉
フィンランド人の自然との向き合い方は、私たちの日々の暮らしを心地よくするヒントになります」と、週末キャンプやベランダでの庭仕事など自然を身近に感じられるライフスタイルを発信するMitsou（みつ）さん。日常をフィンランドライクにするちょっとしたアイデアとそれにまつわる料理を、二日間に渡ってシェアしてもらいます。「フィンランド気分で春を満喫したい！」。今回は、そんな方にぴったりのお話です。
例年より早い桜前線が日本を駆け上がり、日差しにも春を感じる季節になりました。色とりどりの花が春の訪れを知らせてくれるなか、私たちが一番春を実感する花といえば、やはり桜。日本人が春の花に季節の移り変わりを感じるように、フィンランドの人々も雪解けと一緒に咲く花に長い冬の終わりを感じるのだそうです。
北欧に春を告げるスズラン
そんなフィンランドにおいて、日本の桜同様に広く愛されている花といえば、スズラン。切手の絵柄や刺繍のモチーフになったり、女の子の名前になったり。春から初夏にかけて、うつむきがちに可憐な花を咲かせるスズランの花は、北欧フィンランドのイメージともぴったりマッチするようです。
日本よりも冬の長いフィンランド。4月のはじめはまだ雪に覆われている地域が多いのですが、南部ヘルシンキでは4月になると徐々に開花が始まり、新緑も芽吹いて春の訪れを感じられるようになります。長くて寒い、雪で覆われた冬の間は家で過ごす時間が多い人々も、4月になると徐々に街に出て、暖かく穏やかな日差しの心地よさを楽しみます。
春もアイスクリーム！
ちなみに。フィンランドはヨーロッパ随一のアイスクリーム消費国で、一人当たり年間13.2リットルものアイスクリームを消費しているのだとか（日本の消費量の約2倍！）。そんなアイスクリーム大好きなフィンランドの人々が、冬の終わりに心待ちにしているのがアイスクリームスタンドです。寒さが緩んでくると、街の中には「アイスクリーム・キオスク」と呼ばれるアイスクリームを売る屋台が営業を始めます。アイスクリーム・キオスクを見ると、心待ちにしていた春、そしてその先に待っている夏を連想し、フィンランドの人々はワクワクしてしまうのだそうです。
森の息吹をいただく
一方、北部ではまだまだ雪がしっかりと残る季節。そんな早春の白樺の森には、この時期だけの自然の恵みがあリます。それが白樺の樹液。樹液といえば、カナダやアメリカ北部で採れるカエデの樹液メープルシロップが有名ですが、実は白樺の樹液も採取して味わうことができるのです。
白樺の樹液はまるで水のように澄んでいて、とてもサラッとしています。春の芽吹きのエネルギーにするため、冬の間に蓄えた糖分やミネラルをたっぷり含んだ白樺の樹液。その樹液がこの時期の雪解け水を吸って、白樺のなかに豊富に流れています。たった半月ほどの間しか採れないとても貴重な森の恵みは、古くからフィンランド北部のラップランドで、身体に溜まった毒素を排出するデトックスウォーターとして、また白い美しい肌を保つ美容水としても用いられてきました。
今ではフィンランド国内だけでなく、ヨーロッパ中でとても人気のある白樺の樹液。まだあまり知られていませんが、日本国内でも手に入れることができるので、早春のフィンランドに想いを馳せながら味わってみるのもいいかもしれません。実際に私も試してみましたが、ほんのりとした甘さと、若々しくさっぱりした後味。そして、うっすらヨーグルトのホエイ（乳清）にも似た、優しい香りが感じられました。
自然と対話しながら歩いてみよう
ほかにもフィンランドの春気分を感じてみたいなら、自然と触れ合ってみるのがいちばんです。森や湖の近くでひとときを過ごせれば最高ですが、家の近くの公園や自宅の庭、ベランダでも北欧の春気分を味わうことは十分に可能です。
例えば、春の花が咲いている場所を探しながら、普段歩かないところへ足を伸ばしてみる。暖かい日差しを浴びながら、お散歩中に思いがけなく咲いている花を見つけたら、きっと心がワクワクしてきます（お散歩中に疲れたら、ぜひアイスクリームを！） 。
フィンランド気分で楽しむ
我が家のお花見
あるいは、北欧のごはんを作ってピクニック気分で食べてみる。何を作ろうか考えながら食材を集め、作ったごはんを春風を感じながら頬張ったら、自然と笑顔がこぼれてくることでしょう。
今年はなかなか外で腰をおろしてお花見…というわけにはいきませんが、自宅の庭やベランダなどでフィンランド気分のお花見をしてみてはいかがでしょうか。
フィンランドでもよく食べられている北欧のオープンサンドをベースに、ピクニック気分とパーティー気分を味わえるようにアレンジしたレシピを作りました。ピクニック用のかわいいレジャーシートを広げて、色とりどりの食材や、華やかなフィンランドの飲み物を並べて…。ね？なんだか楽しい気分になってきませんか？
明日のコラムでは、フィンランドの春を感じるお花見メニューのレシピをご紹介します。うららかな春の休日に、ぜひ北欧の春をイメージしながら試してみてくださいね。
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