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#226 想い出の中の笑顔と彩り

今回は、こちらのコンテストに参加します。

「お花」にまつわる「エッセイ」であること。

それがこのコンテストの条件です。

実は私、エッセイを書いたことはありません。

でも、ともきちさんともyuca.さんの企画…
参加したい!と思ったのでエッセイに挑戦しました。

ですので、これがエッセイ!と思っていますが、
ちょっとズレてたらすいません。

途中少し暗くなりますが、最後は明るく
終わるように書いてみました。

よければお読みくださいね。


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花を見ると、ふと思い出すことがある。

もう20年以上前の幸せな一コマ。

それは、毎週末、
家族で祖父母の家に出かけていた頃の風景。

昼は祖父がざる蕎麦を作ってくれて、
夜は祖母が煮魚と茄子の味噌汁を作ってくれて。

笑点を見ながら他愛もない話をしていたあの頃。

振り返ると、至るところに幸せが溢れていた。

祖母はガーデニングが趣味で、
庭付きの家に住みたいと言っていた。

そんな祖母の希望もあり、
祖父母の家の庭は色とりどりの花に彩られて、
とても美しかった。

そして、その花々に囲まれている祖母の笑顔は
とても眩しかったことを思い出すのだ。

私たち姉妹はいつも、家に行く度に庭の花々を
見て喜んでいたそうで、その景色を祖母が
嬉しそうに見ていたと、父から聞いている。

自宅に変える前にはいつも祖父母が見送ってくれた。

「また遊びにきたってね」

そんな祖母の言葉を聞いて、
週末がくるのをいつも楽しみにしていた。

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祖父が入院し、なかなか会えないまま亡くなってから、
祖母は少し、悲しそうに笑うようになった。

自宅に帰る時は、
本当に寂しそうに見送られるようになった。

この頃から、あまり祖母の家に行かなくなった。

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しばらくすると叔母が祖母と一緒に住むようになり、
叔母は保健所から大型犬を引き取ってきた。

大型犬を一度飼ってみたかったのだという。

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気づけば、庭から彩りがなくなり、
祖母はひと回り、小さくなっていた。

叔母が大型犬を自由にさせすぎて
祖母が丹精込めて育てた草花は
ほとんど枯れていた。

きっと花は祖母にとっての
エネルギーそのものだったのだろう。

思えば、祖母が外に出なくなったのも
その頃だったのだと思う。

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社会人となり、ますます祖母と会う機会が減ったからか、
会う度に祖母は小さくなっていくように見えた。

それでも会いに行く度に、
笑顔を見せてくれる祖母。

会えるのが嬉しい反面、なかなか会いに行けず、
すぐに家に帰ることを後ろめたく感じてしまい
祖母に会うのがつらくなっていった。

今振り返ると
あの時もっと祖母と話をしておけばと
思わずにはいられない。

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祖母と最後に会ったのは、病室だった。

とても静かな病室で、
祖母はもうひと回り、小さくなっていた。

あまりにも変わりすぎた姿に動転した私は

「元気?」と訳の分からないことを
祖母に聞いてしまった。

元気な訳ないのに、
何を話せば祖母が喜んでくれるのか、
私には分からなかったのだ。

一緒にお見舞いに来ていた妹が
祖母とうまくコミュニケーションを
とれてくれ、救われたのを覚えている。

「またきたってね」

祖母の家を出る時に必ず言ってくれていたあの言葉を
そういえばあの時は口にしていなかったと、
なぜあの時気づけなかったのだろうか。

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葬儀が終わってしばらくして、
とある花屋の前を通ると、
敬老の日に花を贈ろうというPOPが目に入った。

立ち止まり少し店内を物色すると、
リンドウが人気だと店員が客に話していた。

何でも、

・紫のリンドウが高貴な印象
・リンドウ根が漢方として使われる

ことから人気があり、敬意や敬愛の気持ちと、
長生きして欲しいという願いを込めて
贈る人が多いという話だった。

…そんな話を聞きながら帰路についた私は。

家につく頃には一人で涙を流していた。

葬儀の時には流れてこなかった涙が、
ようやく流れてきたのだ。

最後に、敬老の日に花をプレゼントしたのは
いつだっただろうか。

庭がダメになっても、
花束を届けていたら祖母はもっと
元気でいられたのではないか。

そんな思いが溢れて涙が止まらなかった。

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あの日、祖母の死と向き合うことが
できた私は、ベランダで花を育て始めた。

鉢植えに入ったマリーゴールド。

暑さに強く、育て方も難しくないので、
私でも育てられると祖母にすすめられた花。

今日も元気に咲いているその花を見て、
私がいつも思い出すのは、
彩られた庭で満面の笑顔の祖母だった。

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花を見ると思い出すことがある。

幸せな一コマ。

祖父母も父母も私も妹も
みんな笑顔でいたあの頃。

もう今は全員で笑い合うことはないけれど、
不思議とそこまで悲しくはないのだ。

だって、目を閉じるといつでも、
思い出すことができるのだから。

至るところに幸せが溢れていた、
あの頃の私たちを。

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…いかがでしたか。

エッセイになってればいいなと願いつつ、
今回はこれで終わりにします。

ともきちさん、yuca.さん。

素敵な企画に参加させていただき、
ありがとうございました。

ではまた。

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