風先とんぼ

プールの授業の合間　　　
あたたかな日差しに冷えた体を癒しながら　　　
うとうとしていた　　　
静けさに包まれて　　　

この授業　　　
二週間前までは　　　
あの先生の授業だった　　　
もう会えない　　　
だから最後はあんなに優しかったのか　　　
冷えきった手をあたためてくれた　　　
思い出して泳ぎながら涙があふれた　　　

ふと気付いたら　　　　　　
水泳帽に止まったとんぼ　　　
跳ねては止まり　　　
私の気持ちを落ち着かせ　　　
静かに向こうへ渡って行った　　　
遠い時間へ　　　　　　

いつのまにか水も風先へ渡っていた