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かかる世に影も変らず澄む月を

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2021年12月の記事一覧

2021年12月31日(金)|戦略的撤退

2021年12月31日(金)|戦略的撤退

 かなり久しぶりの帰省、実家に帰ってきた。

 大晦日。どこへ出かけても、どの番組をつけても、「今年も今日で終わり」という事実(?)を突きつけられる。個人的には「煽(あお)られている」というのがもっとも正直な心情に近い。

 「年惜しむ」ということばがある。「一年を振返って、去り行く年を惜しむこと。今年もいろいろなことがあった、という感慨が込められている」(参照:きごさい歳時記)の意で、〈冬〉の季

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2021年12月28日(火)|先帝入水

2021年12月28日(火)|先帝入水

 『平家物語』「先帝入水」の段を読む。

 二位尼(清盛の妻)が、自分の孫にあたる安徳帝を抱いて海へと身を投げる場面。二位尼が安徳帝に語りかけたとされる次のことばが有名であろう。

 安徳帝が入水しなければならなくなった原因にたいする二位尼の説明について、写本間に異同があるらしい。以下、覚一本と延慶本との間の相違をまとめたもの。

① 覚一本(世間に流布した語り本系テクスト)

② 延慶本(最古の

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2021年12月26日(日)

2021年12月26日(日)

 今日はとても充実した一日だった。以上。

 というのは嘘で、充実していたと言うのであれば、どのように実が充ちていたのかその内容を詳述せねばなるまい。もちろんここでの「嘘」というのは「以上」という文言に対しててであり、「充実していた」にかかるものではない。人の優しさとあたたかさに触れた。その人たちが信仰のゆえに優しくまたあたたかいことを知り、その信仰の根拠であるところの神の優しさとあたたかさを知っ

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2021年12月24日(金)|平家物語の成立

2021年12月24日(金)|平家物語の成立

『平家物語』の成立 応安4年(1371年)、琵琶法師の覚一検校(かくいちけんぎょう。明石覚一)が、それまで語り継いできた平家の物語を筆録させた。これがいわゆる『覚一本平家物語』である。

 『平家物語』成立の具体的な過程に関しては、史料を欠いており詳らかでない。とはいえ、さまざまな「伝承」が重要な役割を果たしたことは疑いえない。それと合わせて、同時代の貴族の日記などの「文書史料」が果たした役割も見

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2021年12月18日(土)|平治物語と逆照射

2021年12月18日(土)|平治物語と逆照射

 本屋に立ち寄った際、講談社学術文庫から出版されている『平治物語』が目に入った。手に取らないわけにはいかない。

 藤原信頼が源義朝と結託して謀反を起こし、信西入道を追い詰めて殺害するも、その後しばらくして平清盛率いる平家軍によって追討された、という「平治の乱」にまつわる軍記物語。

 その本の最後の〈解説〉のところを読んでいると、『平家物語』に関連する興味深い現象についての言及があった。以下、引

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2021年12月8日(水)

2021年12月8日(水)

 アニメ『平家物語』を観た。一気に観た。それはもう一気に、全11話をぶっ通しで観た。

 1話あたり24分として、全部で264分、というと4.4時間か・・・。何はともあれとてつもなく充実した休日の午後となった。

 とりとめなく感想をメモしておきたい。また気が向けば、その時にはちゃんと整理してまとめたいと思う。とりあえず今回は、一度ひととおり観ただけのファンが抱いた第一印象。

・・・

 さて、

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