マガジンのカバー画像

羊角の蛇神像 私の中学生日記

21
すこし特殊な中学生時代の思い出
運営しているクリエイター

#中学生

羊角の蛇神像 私の中学生日記⑱

羊角の蛇神像 私の中学生日記⑱

鎖を解いて「やめろー!」

寮長先生が叫んだ。

金属製のコタツの足が、何に振りおろされたのか。
それは、先生の切ない悲鳴と鈍く不穏な音を手掛かりに、私のまぶたの裏側で殆ど自動的に映像となった。

それを振るうWくんの心も、取り囲む3年生たちの感情も、私には測ることのできない遠くへ、ずっと遠くへ、飛んでいってしまった。

もういやだ。もう結構だ。
ここは地獄だ。
無理矢理に台詞を当てがえばそんなと

もっとみる
羊角の蛇神像 私の中学生日記⑨

羊角の蛇神像 私の中学生日記⑨

魔法の色、水の花夜の国でひとり、昼夜逆転の暮らしをする中で、私を慰めたものがあった。
朝が来て、少しずつ色を変える空の色をずっと眺めていた。
私は朝焼けを「魔法の色」と呼んで、世界が魔法にかかっていく不思議に心打たれていた。

またある時は、雨の景色を眺めていた。
コンクリートの駐車場でひらくたくさんの波紋を見ていた。
波紋は決して閉じることがなく、広がって、新しい波紋と混じりあって消えていく。

もっとみる
羊角の蛇神像 私の中学生日記⑥

羊角の蛇神像 私の中学生日記⑥

中学生日記はいつしか小学生日記へ。
さらに時は移り19歳の私はかつて好きだったKさんと偶然出会った。

最強の戦士、WKさんは言った。

私、Wくんが好きやったんよ。

我がバトルフィールドで最強の戦士、W。
長身から繰り出す鋭い手刀は蜘蛛の糸を斬り、鋼の蹴りはカマキリの首を断つ。

背が高く、顔が良くてスポーツができるグループのNo.1。
私は少し狼狽しなから「そうなんやぁ」と言って、納得のあい

もっとみる