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私のサームルールは破られるべくして破られた(クラウディア・サーム)


 昨今のリセッション観測の拡がりのトリガーになったとも言われるサームルールですが、提唱者本人のメディアへの出演なども功を奏して、マーケットの混乱は徐々に落ち着きを取り戻しつつあるようです。
 米国時間8月8日にも、メディアに登場したクラウディア・サームさんは、視聴者に対して冷静な判断を求めるべく自信のルールの説明を行いました。
 依然、リセッションの可能性が消え去ってはいないにせよ、サームルールに過度に反応し、パニック気味になったマーケットは落ち着きを取り戻しつつあり、サームルールをネタにマーケットが騒然となった件は、これで一段落かと思います。

 


(1)インタビュー



[クラウディア・サーム](New Century Advisors)

 7月の雇用報告により、サームルールは0.5パーセントの閾値を超え、景気後退を示していますが、私の専門的な見解では、広く見渡しても、まだ景気後退に陥ってはいません。ただし、過去1年以上にわたり見られる失業率の上昇は非常に懸念すべき事態です。我々のトレンドは、正しい方向に向かっているとは言えません。


[アリックス・スチール](Bloomberg)
 昨日のブルームバーグのオピニオン記事が本当に素晴らしいと思った理由は、多くの人があなたのルールについて話し、それが事実上、景気後退に陥っていることを意味すると言っているからです。これを理由に、FRBが大きな対策や緊急措置を講じるべきだという声が上がっています。
そんな中、あなたはその指標にもかかわらず、米国は景気後退に陥っていないという記事を書かれました。「私の景気後退ルールは破られるためにある」とは、どういう意味でしょうか。

Bloombergに掲載されたオピニオン記事

「私のリセッション・ルールは、破られるべくして破られた」
 クラウディア・サーム

 このルールは、後に私の名前が付けられたものであり、シンプルで非常に正確(歴史的に)な設計:米国の失業率の3か月平均がその前の12か月間の最低値より0.50パーセンテージポイント以上高くなると、米国は既に景気後退に陥っている、というものである。
 1970年以降、このルールはすべての景気後退を正確に示し、それ以外の場合には発動しない。

クラウディア・サーム
ニューセンチュリーアドバイザーズ チーフエコノミスト


[クラウディア・サーム]
 パンデミック以降のこのサイクルを考えると、過去4年半にわたり、米国経済に前例のない混乱が起きました。特に、サプライに関する大きな混乱がありましたが、これは典型的な好況と不況のインジケーターです。景気後退、高インフレ、低インフレはすべて需要に関するものです。私の見解では、サームルールは、過去数年間の急激な労働供給の変化によって過大評価されています。一部の失業率の上昇は良いものであり、働きたい人々が労働市場に参入し、彼らが仕事を得ることで成長が見込めます。しかし、その過程で一時的に失業率が上昇し、それが景気後退に見えることもあります。当然、悪い失業もありますので、そこが非常に難しいところです。難しい話ですが、この活発な議論ができてうれしいです。不況に突入しているのか、それとも不況に向かっているのかを知るために本当に重要なことです。私も他の人と同様にこのツールや他のデータを活用しています。

[ポール・スウィーニー](Bloomberg)
 4.3%の失業率についてどう考えますか?私の経験では、まだ低いと感じます。トレンドが上昇していることが懸念される点だと思いますが、4.3%そのものについてはどう思いますか?


[クラウディア・サーム]
 そうですね、景気後退に向かっているのか、すでに景気後退にあるのかという点について心配する場合、重要な指標は失業率の変化です。もちろん、失業率の水準も重要です。時には労働力不足のときのように、持続不可能なほど低いこともあります。例えば、失業率が3.4%まで下がったときは、一部の労働者が不足していたためで、これは長続きしないものでした。だから、水準自体が時には何かを示唆することもあります。
しかし、4.3%の失業率は、我々の労働力の人口動態と非常に一致しています。私たちの労働力は年齢が高く、経験豊富ですので、4%の失業率は予想や予測に近いものです。だから4.3%は「すごく低い」と驚くようなものではありません。持続可能ではなく、過去には失業率が今より低いときにも、また高いときにも景気後退に突入したことがあります。したがって、失業率の水準自体は景気後退に対する防御策にはつながりません。


[アリックス・スチール](Bloomberg)
 
今回、新規失業保険申請件数が発表されたとき、債券市場が大きく動いたという事実をどう理解すればいいですか?
これらのデータは変動が大きく、季節性もあり、変化します。それにもかかわらず、市場がこれほど敏感に反応しているのはどういうことを示しているのでしょうか。


[クラウディア・サーム]
 そうですね、これは景気後退のダイナミクスに関する重要な質問です。サームルールそのものではありませんが、景気後退のダイナミクスを捉えています。サームルールが歴史的に機能した理由は、失業率が徐々に上がり始め、その後急激に上昇するというパターンがあるからです。現在、失業率がゆっくりと上昇するシグナルがありますが、7月の雇用報告では、悪い方向に勢いを増しているように見えました。これが懸念材料です。
失業保険申請データに注目する理由は、そこにモメンタムがあるのか、それとも天候やその他の要因による一時的なものなのかを見極めるためです。この反応は、現在の状況が非常に微妙であるためです。失業率の上昇が加速するかどうかは、現時点で大きな違いをもたらします。なぜなら、上昇が始まると、負のフィードバックループが発生し、失業率が0.5パーセントの増加にとどまらず、3パーセント増加に至る可能性があるためです。




(2)オリジナル・コンテンツ

 オリジナル・コンテンツは、以下リンクからご覧になれます。
尚、本投稿の内容は、参考訳です。また、意訳や省略、情報を補足したコンテンツを含んでいます。

Bloomberg Podcastsより
Original Published Data : 2024/08/08 EST

[出演]
  New Century Advisors
    クラウディア・サーム(Claudia Sahm)
    Chief Economist

  Bloomberg
    ポール・スウィーニー(Paul Sweeney)
    アリックス・スチール(Alix Steel)

以上です。


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だうじょん


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