スンダー・ピチャイ:Googleを率いるCEOの生い立ちとリーダーシップ、そして企業ビジョン
プライベート・エクイティ・ファームであるカーライル・グループの創設者、デヴィッド・ルーベンスタイン(David Rubenstein)氏が各界の著名人を招いて行う「The David Rubenstein Show」というトークショーから、2024年10月10日に公開されたAlphabetおよびGoogleのCEO スンダー・ピチャイ氏のインタビュー・コンテンツを参考訳とともに紹介します。
ピチャイ氏は2004年にGoogleにプロダクトマネージャーとして入社し、その後昇進を重ね、2015年にGoogleのCEO、さらに2019年には親会社であるAlphabetのCEOに就任しました。その間、彼のリーダーシップのもとで、AIやクラウド事業への大規模な投資を行い、事業の成長を促進。結果、株価は当時から6倍を超えて上昇し、時価総額は2兆ドルを超える大企業へと成長を遂げています。
今回のインタビューでは、連邦政府を相手にした法的課題についての話から始まり、AIやクラウド分野で他社が優位に立つ局面でのGoogleのビジョンや優位性、またAIおよび量子コンピュータの位置づけ、そして、ピチャイ氏自身の生い立ちや家族に関するエピソードや現在のGoogleの企業の在り方についてなど、幅広いテーマが取り上げられています。以下、参考下さい。
1. インタビュー
[デヴィッド・ルーベンスタイン](カーライル・グループ)
過去25年間で、世界で最も影響力のある企業の一つとなったのがGoogleです。現在、この会社を率いているのは創業者ではなく、2004年に入社し、昇進を重ねて現在CEOを務めるスンダー・ピチャイ氏です。先日、私はニューヨークのGoogleオフィスで彼とお会いし、Googleの未来や人工知能の重要性についてお話を伺いました。
(1)Googleへの入社
[デヴィッド・ルーベンスタイン]
2004年にGoogleに入社された当時、まだAlphabetは存在していませんでした。会社は1998年に設立されていたと思いますが、その時点での規模はどのくらいだったのでしょうか?
[スンダー・ピチャイ](CEO、Alphabet and Google)
2004年当時、私たちは約1000人ほどの規模でしたが、かなり速いペースで成長していました。そうですね、大体1000人くらいでした。
[デヴィッド・ルーベンスタイン]
なぜ2004年にGoogleに入社することを選んだのですか?当時は、まだ小さな検索エンジンの会社だったと思いますし、検索自体もそれほど大きな話題ではなかったのではないでしょうか。
[スンダー・ピチャイ]
私は当時、外部からその製品を使っていて、製品としての優れた点をはっきりと感じていました。いわゆる「パワーユーザー」だったので、製品をもっと良くするためのアイデアがたくさん頭に浮かんでいました。それ以上に、テクノロジーにアクセスすることで自分の生活が大きく変わったことも実感していました。技術へのアクセスの力を常に感じていたのです。特にGoogleに魅力を感じたのは、インドネシアの農村部にいても、スタンフォード大学の教授であっても、コンピューターとインターネットに接続さえすれば同じ情報にアクセスできるという点でした。
(2)連邦政府の訴訟案件
[デヴィッド・ルーベンスタイン]
今日のGoogleを取り巻く状況についてですが、法律的な問題も抱えていますね。連邦政府からの訴訟があり、検索エンジンが独占的であると指摘されています。この訴訟の対応が必要なことで、会社の運営はより複雑になっているのでしょうか?
[スンダー・ピチャイ]
私たちの規模や影響力を考えると、注目を浴びるのは避けられませんが、これまでも常に尊重と責任を持ってこれらのプロセスに対応してきました。今回の判決でも、私たちがイノベーションによって成功を収めたことが詳述されています。競合他社も私たちが世界最高の検索エンジンであると認めています。判決には同意していませんが、現在は是正措置の段階にあり、上訴するつもりです。このプロセスにはおそらく数年かかるでしょう。つい先週、欧州裁判所で以前の決定が覆されましたが、そのプロセスには約10年を要しました。このように時間がかかるものですので、技術革新に専念していけば、長期的には良い結果が得られると確信しています。
[デヴィッド・ルーベンスタイン]
前回の訴訟で米国政府が勝利した後で、あらためて訴訟を起こされることは予想外でしたか?また、その訴訟も長引くとお考えでしょうか?
[スンダー・ピチャイ]
この件は私たちの検索エンジンの広告とは関係がありません。もうひとつは、パブリッシャーのサイトに広告を掲載するための広告プラットフォームを提供しており、今回の件はその事業に焦点が当てられています。
この訴訟はまだ始まったばかりで、時間がかかると思います。しかし、建設的な解決策を見出すことができるのであれば、そうすると思います。一方で、イノベーションを起こす能力が本当に損なわれると思われる場合には、私たちは精力的に抗弁するつもりです。その場合は時間がかかることになるでしょう。
(3)AIとGemini
[デヴィッド・ルーベンスタイン]
シリコンバレーでは、AIに対する関心が非常に高まっています。どの企業も自分たちの名前にAIを付けたり、その分野でリーダーになろうとしています。ChatGPTが先行して一般公開されましたが、Googleはずっと前からAIに取り組んできました。おそらくOpenAIよりも前からです。これからは、AIに関する取り組みをもっと公開していく予定なのでしょうか?また、AIは今後どのようにしてあなたの会社を変えていくとお考えですか?
[スンダー・ピチャイ]
A Iは、私たちの企業が大きく注力している領域です。CEOに就任した際、最初に行ったことの一つが、AIを最優先に据えるよう会社を方向転換させることでした。私たちは多くの基礎的な技術を開発しており、その多くが現在の検索を支えています。他社よりも検索でリードを保つために、AIを多く活用しているのです。特に生成AIが注目を集めている今、それを検索に深く取り入れています。今日、Googleで検索すると、多くのクエリに対して「AI Overview」を提供しています。これは、主要な検索結果を要約し、AIを使ってその情報のコンテキストを示すもので、非常に好評を得ています。このようにして製品を進化させています。私たちのモデルは「Gemini」と呼ばれ、直接Geminiと対話することも可能です。これはおそらく、人類がこれまでに経験するテクノロジーの最も大きな変化の初期段階であり、とてもエキサイティングな時期だと感じています。
[デヴィッド・ルーベンスタイン]
今日、私が「スンダー・ピチャイ」と検索したとしましょう。そうすると、経歴や関連する記事が表示され、その記事から広告サイトに誘導されることもあるでしょう。しかし、AIを活用することで、すべての情報がAI自体に集約されるのではないかという懸念も存在します。その場合、広告主は自社のサイトに訪れる人がいなくなるのではないかという心配がありますが、その点についてはどのようにお考えですか?
[スンダー・ピチャイ]
過去25年間、人々がGoogleに訪れるのは、探し物を見つけるためだけでなく、ウェブ上に存在する豊かで多様な情報を楽しんでいるからです。人々が多くのサイトにアクセスし続けることが、私たちにとっても重要であり、それがこのエコシステムを活性化させています。AIを取り入れながらも、製品設計の基本方針の一つとして、その仕組みを維持することについて重視しています。パブリッシャーへのトラフィックを促進するアプローチを優先し、商業的なクエリ(commercial queries)の場合は広告主も恩恵を受けられるようにしています。こうした全体的なアプローチがあるからこそ、優れたコンテンツが生まれ、好循環が生み出されるのだと考えています。
[デヴィッド・ルーベンスタイン]
広告主は、AIによる検索機能が導入されることで、自分たちがスキップされるのではないかと懸念しているのではないでしょうか?
[スンダー・ピチャイ]
私たちが考えるのは、ユーザーが情報を探しに来るとき、その中には商業的な情報を求める側面があるということです。それはユーザーの意図に自然と含まれています。ユーザーの意図が商業的である場合、広告は非常に関連性の高い情報となります。Google検索を収益化する際の核心的なインサイトは、ユーザーが商業的な意図を持つときに広告が価値のある情報であるという点にありました。それは、新たな技術基盤が登場しても変わることはありません。人々は常に商業的な情報を求めており、情報の提供者である企業や売り手がユーザーにリーチしようとする、このダイナミックな関係は続くと考えています。
(4)AlphabetとGoogleの組織構造
[デヴィッド・ルーベンスタイン]
Googleは基本的には検索エンジン事業が主ですが、Alphabetには他の事業もあります。いくつかの事業についてお聞きしたいと思います。
[スンダー・ピチャイ]
その前に少し話を戻させてください。Googleには検索以外にも多くのビジネスがあることをご存じかと思います。例えば、Google Searchがありますが、Google Cloudもあり、これはすべての企業に対してソフトウェアを提供しています。また、YouTubeやAndroidもあります。Googleをインターネット関連のビジネスとして捉えてください。さらに、技術を活用しつつ、長期的な投資も行っています。Waymoは自動運転車への投資であり、これは長期的な取り組みです。また、Wingというドローン配送会社や、難治性疾患の治療薬の発見を目指すCalicoもあります。これらは私たちが「Other Bets」と呼んでいる長期的な投資です。
[デヴィッド・ルーベンスタイン]
Waymoは長期的な取り組みであると理解していますが、その車に実際に乗ったことはありますか?
[スンダー・ピチャイ]
ええ、いつも利用しています。私は定期的にWaymoに乗って、その進歩を確認するようにしています。半年ごとに見る進歩は本当に驚異的です。前回車に乗ったときは3回目で、後部座席に座ってスマホを操作していたのですが、たまに自分に「自動運転車に乗っているんだ」と言い聞かせないと分からないくらいでした。本当に驚きです。時には通行人の反応も面白く、興味を示す人もいれば、既に慣れた様子の人もいるのです。
[デヴィッド・ルーベンスタイン]
乗車するとき、ヘルメットは着用されますか?それとも必要ないのでしょうか?
[スンダー・ピチャイ]
全く必要ありません。むしろ、かなりリラックスできます。人々がこの体験をどれだけ楽しんでいるかに驚いています。現在、週に10万回の有料乗車が行われており、最近は、Uberとの提携も発表しています。例えば、アトランタでは、Uberアプリを使ってWaymoの車を呼ぶことができるようになっています。
[デヴィッド・ルーベンスタイン]
先ほど言及されていたクラウド事業ですが、おそらくAmazonが最初にクラウドに参入し、その後に他の大手テクノロジー企業が追随しました。現在、あなたにとってクラウドはどれほど重要なのでしょうか。また、あなたがこのクラウド事業を推進したのでしょうか。
[スンダー・ピチャイ]
私が2015年にCEOになったとき、特に注力した大きな分野の一つでした。Googleはクラウドで構築されており、Google Search、Google Maps、Gmailなどすべてがその上で機能しています。私たちはクラウドネイティブの企業であり、世界でも最高のクラウドインフラを持っています。それを他の企業にも提供しようと決断し、専門的な経験を持つCEOたちを迎え入れました。現在のCEOであるトーマス・クリアンは、ビジネスのスケールアップに大いに貢献しています。前四半期では、売上が100億ドルを超えました。おそらく、今ではエンタープライズ向けのソフトウェア会社として4番目に大きい企業になっていると思います。実際、最近の決算発表で、2024年末までにYouTubeとクラウドの事業が年間1000億ドルのランレートに達すると発表しました。これらは過去10年間でゼロから築き上げてきたビジネスです。
(5)技術革新と量子コンピューティング
[デヴィッド・ルーベンスタイン]
さて、次に技術の未来について考えてみましょう。かつてクラウドが新しいものであったように、今はAIが注目を集めています。では、シリコンバレーやその他の企業が今後関心を持つ技術は何でしょうか?そのひとつには、量子コンピューティングも考えられますか?
[スンダー・ピチャイ]
量子コンピューティングは、AIのような基盤技術の一つと捉えています。量子テクノロジーでは、繰り返し時間をかけて、従来のコンピューターとは異なるコンピューターを設計するのを考えるのが基本です。基盤技術である量子コンピューターの上で素晴らしいアプリケーションが生まれることを期待しています。そのため、私はAIを火や電気に例えており、このことによって人々は物事を再考することができるようになるでしょう。AIとは、本当にインテリジェントな意思決定システムをあらゆる場所に配備することだと考えてください。
(6)幼少期と家族について
[デヴィッド・ルーベンスタイン]
あなたのバックグラウンドについて少しお話しさせてください。まず、生まれはどちらですか?
[スンダー・ピチャイ]
私はインド南部のチェンナイという都市で生まれました。
[デヴィッド・ルーベンスタイン]
ご家庭のご事情についてもお伺いしたいのですが、いわゆる中流家庭で育たれたのでしょうか?
[スンダー・ピチャイ]
そうですね、インドで中流階級の快適な生活を送っていました。しかし、テクノロジーが常に身近にあったわけではなく、しばらく待たなければならないこともありました。当時、電話は政府が独占的に製造しており、しかもダイヤル式の電話でした。電話を手に入れるには5年間の待ち時間が必要でした。私たちがダイヤル式の電話を手に入れたとき、生活は一変しました。近所でも電話を持っているのは数えるほどしかおらず、近所の人々が家に来て大切な人に電話をかけることもありました。また、母の血液検査の結果を取りに行くのに4時間かけて病院まで行かなければならないこともありましたが、場合によっては結果がまだできていないと言われ、翌日出直すこともありました。電話があれば、その場で情報を確認することができ、それでテクノロジーの力を実感しました。
[デヴィッド・ルーベンスタイン]
それでは、大学はどちらに通われましたか?
[スンダー・ピチャイ]
私はインド工科大学(IIT)という大学に通っていました。主にエンジニアリングに特化したいくつかの機関からなる大学です。
[デヴィッド・ルーベンスタイン]
専攻は何をされていたのですか?
[スンダー・ピチャイ]
現在で言うところのマテリアルサイエンスです。
[デヴィッド・ルーベンスタイン]
学業は順調にいかれていたと思ってよろしいでしょうか?
[スンダー・ピチャイ]
成績はまずまずでしたが、学位を通じてコンピューターや半導体に興味を持つようになりました。シリコンバレーで起こっていることに強く惹かれ、半導体が開発されるその場所にどうしても行きたかったのです。それがスタンフォード大学に来るきっかけとなりました。
[デヴィッド・ルーベンスタイン]
それから、スタンフォードで工学の修士号を取得されたのですよね。
[スンダー・ピチャイ]
そうです。
[デヴィッド・ルーベンスタイン]
奨学金を取得されたのですか?それとも、どのように費用を賄われたのですか?
[スンダー・ピチャイ]
幸運にも、全額の奨学金を得ることができました。私はティーチング・アシスタントをしていました。
[デヴィッド・ルーベンスタイン]
その前にインドを出たことはありましたか?海外に行かれた経験は?
[スンダー・ピチャイ]
いいえ、アメリカに来るときに飛行機に乗ったのが、私の初めての経験でした。
[デヴィッド・ルーベンスタイン]
修士号を取得された後は、ウォートンでMBAを取得されたのですよね。
[スンダー・ピチャイ]
西海岸しか見たことがなかったので、もっとアメリカを見てみたかったんです。秋に東海岸を訪れて季節の変化に魅了され、ぜひ東部で過ごしたいと思いました。また、さまざまな分野に触れる機会でもありました。私は工学や科学に精通していましたが、ビジネスの仕組みを学び、金融や経済の分野の人々と接することができるのは大きなチャンスでした。それも含めて、私が求めていたものでした。
[デヴィッド・ルーベンスタイン]
ウォートンでMBAを取得された後は、どのような道に進まれたのですか?
[スンダー・ピチャイ]
そのすぐ後にGoogleに入社しましたが、その前に短期間、マッキンゼーで働いていました。
[デヴィッド・ルーベンスタイン]
ご両親はご健在ですか?
[スンダー・ピチャイ]
そうですね、家族は健在で、頻繁に会っています。
[デヴィッド・ルーベンスタイン]
ご両親はきっと誇りに思われているでしょうね。GoogleとAlphabetのCEOでいらっしゃるわけですし。頻繁にアドバイスを求められたりすることはありますか?普段はどのようにされていますか?
[スンダー・ピチャイ]
私は恵まれていて、家族ととても親しくしています。ほぼ毎週、両親に会っています。父は素晴らしい人で、82歳ですが、熱心に何でも読みます。ソフトウェアエンジニアではありませんが、数年前にAPIについて知りたいと思い、独学で学びました。ニュースも常にチェックしていて、ニュースについても私と話をします。
[デヴィッド・ルーベンスタイン]
82歳とは、まだお若いですよね。アメリカ大統領も82歳ですから、お元気ですよね。それで、お母様ともよくお話しされますか?
[スンダー・ピチャイ]
母ともよく話します。私が幼い頃から読書好きだったのは母のおかげです。経済的な事情から、母は速記者として働いていましたが、家庭を支えるために仕事を辞めました。彼女は本当に本を読むのが大好きで、その影響で私も読書を愛するようになりました。
[デヴィッド・ルーベンスタイン]
奥様とはウォートンで出会われたのですか?それともスタンフォードでしょうか?どちらでお知り合いになったのですか?
[スンダー・ピチャイ]
インド工科大学で出会いました。妻は自分の道を切り開く先駆者のような存在で、当時はまだ女性が少なかった時代に学んでいました。学部生のときに彼女と知り合いました。
[デヴィッド・ルーベンスタイン]
それで、結婚されてからどのくらいになりますか?
[スンダー・ピチャイ]
結婚して25年以上になります。
[デヴィッド・ルーベンスタイン]
25年ご結婚されて、お子様が2人いらっしゃるのですね。
[スンダー・ピチャイ]
子どもは二人、その通りです。
[デヴィッド・ルーベンスタイン]
お子様たちはシリコンバレーで「父はGoogleのCEOだ」と自慢したりするのでしょうか?それとも、そういったことはされないのでしょうか?
[スンダー・ピチャイ]
まったく逆です。子どもたちは自分の道を見つけようとしていて、私の仕事や役職について家庭で話すことはほとんどないのです。
[デヴィッド・ルーベンスタイン]
シリコンバレーで奥様と一緒にレストランに行かれると、履歴書を持ってきたり、資金調達のアイデアを持ち込んできたりする人がいたりするのでしょうか?そういう場合、どのように対応されていますか?
[スンダー・ピチャイ]
ああ、たしかにありますね。履歴書を渡されることは少ないですが、写真を撮りたいとか、挨拶したいと言われることはあります。特にシリコンバレーではそういったことが起こりますが、いつもそうというわけではありません。私は比較的プライベートな生活を送っているので、それが助けになっているのだと思います。
(7)働く環境と求められるスキル
[デヴィッド・ルーベンスタイン]
それでは、現在の会社についてお話ししましょう。先ほども申し上げましたが、現在182,000人の従業員を抱えていて、時価総額は約2兆5千億ドルほどですよね。
[スンダー・ピチャイ]
ええ、2兆ドルを超えています。
[デヴィッド・ルーベンスタイン]
CEOに就任されてから時価総額は倍増し、株価も倍以上になっています。そうなると、あなたは創設者たちに、私は素晴らしい仕事をしたので、会社の大きな部分を与えるべきだ、と提案したりしないのですか?
[スンダー・ピチャイ]
とても幸運にも、私は十分な報酬を得ています。テクノロジストである私にとっては、AIのように長年夢見てきた技術を実際に目の前で作り上げていく過程を目撃し、それに関わることができることは、とても刺激的でやりがいのあることであり、この変革の最前線にいることが、私にとっては何よりのモチベーションです。
[デヴィッド・ルーベンスタイン]
Googleは初期のころから従業員向けに無料の食事を提供していましたよね。今日のお昼にその無料の食事を試してみましたが、とても美味しかったです。従業員が182,000人もいる中で、毎日ランチや朝食、ディナーを提供するのはかなりのコストになると思いますが、「食費にこれだけかけることで生産性がどれだけ向上するのか」をどのように評価されていますか?また、他の会社があなたの会社ほど、無料の食事を提供しない理由は何だと思われますか?
[スンダー・ピチャイ]
テクノロジーの現場、特にベイエリアでは、Googleが導入してきた様々な施策が、モダンな職場環境の標準になっています。対面でのコラボレーションの価値は非常に高く、人々がカフェで偶然に出会い、話をして何かにエキサイトし、それが創造性を引き出すこともあります。それがコミュニティを作り出し、それによって得られる利益は、それに伴うコストをはるかに凌ぐものだと考えています。
[デヴィッド・ルーベンスタイン]
Googleは常に働きやすい会社のランキングで上位に入っていますね。ですから、多くの方がここで働きたいと思っているはずです。年間でどれくらいの方がGoogleに応募しているのでしょうか?おそらく100万人もしくは、それ以上でしょうか?
[スンダー・ピチャイ]
私が誇りに思っている指標の一つに、採用の際にどれだけの人がオファーを受け入れてくれるか、というものがありますが、その数字はほぼ90%に近いんです。
[デヴィッド・ルーベンスタイン]
それは全体の何パーセントにあたりますか?
[スンダー・ピチャイ]
ほぼ90%に近いです。
[デヴィッド・ルーベンスタイン]
この番組を見ている誰かが「Googleで働きたい」と思ったとして、あなたの会社は、どのような人材を求めているのでしょうか?高いIQですか?それとも仕事に対する高い意欲でしょうか?以前は面接プロセスが非常に複雑だと言われていましたが、現在もそのようなプロセスを踏んでいるのでしょうか?新卒者が仕事を得るためには、どのような方法が一番良いのでしょうか?
[スンダー・ピチャイ]
エンジニアリング分野では、特に優れたプログラマーを求めています。コンピューターサイエンスの知識がしっかりしていて、ダイナミックに学び成長し、新しい状況に適応できる人材を探しています。特に、スーパースター級のソフトウェアエンジニアを求めています。
(8)今後の課題
[デヴィッド・ルーベンスタイン]
ご自身で検索をされる際、必要な情報が見つからなくてイライラされることはありますか?私は時々ほしい情報が見つからないのですが、CEOであるあなたもそういった経験をされることがありますか?
[スンダー・ピチャイ]
いいえ。検索が難しい場合もありますが、だからこそAIによる検索の改善に大きな期待を寄せています。人々が常に正確な検索クエリを作成できるわけではないので、検索をより使いやすくするための取り組みを続けています。たとえば、音声で検索したり、写真を撮って質問することも可能になっています。インドのような国々では、スマートフォンでの文字入力が苦手な人が多く、音声でGoogleに話しかけて検索するケースが多いです。また、「Googleレンズ」という製品を通じて視覚的な検索も提供しており、写真を撮って質問することができます。こうしたビジュアル検索は毎日何十億件も利用されています。人間は、見たり聞いたり話したりと自然な方法で世界と関わりますが、それを活かして検索体験を向上させることができます。AIはこの分野で役割を果たすことができ、私自身も製品チームに対して、どのようにすればもっと良いサービスを提供できるか常に挑戦を促しており、メールを通じて提案も行っています。
[デヴィッド・ルーベンスタイン]
米国政府を除いて、GoogleやAlphabetが今後直面する最大の課題は何だとお考えですか?競合他社が出てくることでしょうか?あるいは、まだ参入していない新技術が非常に重要になることですか?もしくは、組織を効率的に保ち、官僚化しないようにすることでしょうか?最大の課題は何だとお考えですか?
[スンダー・ピチャイ]
私たちは常に基盤となる技術の開発に取り組んでおり、それらを様々な分野で応用できる企業であるという点で、ユニークなチャンスを持っている会社であると言えます。しかし、長期の成功のためには、限られた領域に集中し、それを徹底的に追求することが重要です。イノベーションに対する執着心を持ち、効率的かつ規律ある方法で取り組むことが、成功をもたらすと考えています。私たちが自社で取り組むべき分野と、他社とパートナーシップを組むべき分野を見極めることが大切です。そのような背景から、Googleクラウドは大きな関心ごとであり、多くの業界に対し、私たちの技術とソリューションを提供することが、世界に貢献しながらビジネスを成功させる最良の方法と考えており、これらのバランスをいかに上手く取るかが重要なのです。
2.オリジナル・コンテンツ
オリジナル・コンテンツは、以下リンクからご覧になれます。
尚、本投稿の内容は、参考訳です。また、意訳や省略、情報を補足したコンテンツを含んでいます。
The David Rubenstein Showより
(Original Published date : 2024/10/10 EST)
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