エッセイ 「重低音の魅力」
世の中で数多ある楽曲の中から、3曲を選びだすのは難しい。
自分自身はアマチュアバンドでベースを弾いていたこともあり、ベーシスト目線から5人のアーティストをピックアップしてみようと思います。
スティング
① Flexible strategies / Message in a box (1993)
The Police
1983年当時、中学生であった小生のヒーローはスティングでした。
当時、ポリスでのアンサンブルは大変素晴らしく、スティングが奏でるベースラインは楽曲をオリジナリティ溢れるものにしてたように思います。
ポリスは事実上解散となりますが、レコーディング音源などもあまり出回ってなく、当時のパンク/ニューウェイブの数あるバンドの中でも演奏能力に長けていた稀有な存在であったと思います。
マニアックな話ですが、ポリス時代初期のスティングはプレベのフレットレス仕様でプレイしていたのが印象的でした。
メイプル指板特有のブライトな音色とフレットレスでありながら中低音域が効いている楽器選定もひときわユニークであったと思います。
そんなエレクトリック・ベースの重低音に魅了されたのでした。
ジャコ・パストリアス
②The Chicken / Invitation (1983)
Jaco Pastorius
ジャコ・パストリアスも好きなベーシストの一人です。
ギタリストに比べると地味な存在のベーシストの地位を高めた革新的なプレイスタイルで彼の演奏には常に新しい発見がありました。
生前のインタビューでは、「あくまでも楽曲全体のバランスを常に意識した。」結果、楽器改造に及んでまで音楽の可能性を追求する情熱の人でした。
彼が施した改造を再現したジャズベースが、フェンダー社のシグネイチャーモデルとしてあります。
35歳の若さでお亡くなりになりましたが、早逝の天才ベーシストとして、彼を史上最高のベーシストに挙げる方も多いです。
その短い生涯で示した強烈な"瞬間最大風速"は、聴いた者の記憶に爪痕を残して去っていったかのようです。
フリー
③ Give it away / Blood sugar sex magic (1991)
Red hot chili peppers
「ベース単体でリズムキープが出来ないとアカンよ。」
と、アマチュアバンド結成当初にドラマーから手渡されたCDがRed hot chili peppers(通称:レッチリ)の「ブラッド・シュガー・セックス・マジック」と言うアルバムでした。
ブリティッシュ・ロック一辺倒だった小生には、ラップとフュージョンとパンクをごちゃ混ぜにしたような内容に「何だ?これ、、、」と異質の物に出会った印象でした。
中でもベーシストであるFLEA(フリー)の演奏は"体育会系"という言葉がしっくりくる躍動感と音圧が特徴的でした。
そのプレイを支えていたのが、名器と名高い"ミュージックマン・スティングレイ"で、楽器本体にプリアンプを内蔵したタイプのベースです。
出音が鋭く尖っていて、ハードな印象になります。
FLEA×Musicman Stingrayは最強にマッチョな組み合わせだなと思います。
ポール・マッカートニー
④ Something / Abbey load (1969)
The Beatles
ポピュラー音楽史上最も成功した作曲家」としてギネス記録を持つ、ポール・マッカートニー
ベーシストとしても超一流で、曲の主旋律に絡み合うような、キャッチーかつメロディアスなベースラインが印象的です。
この選曲はジョージ・ハリスンが作った曲なのですが、本曲でのポールのベースラインはロック史上に燦然と輝きを放っています。
ポールと言えばヴァイオリンベース(ヘフナー500-1)が有名ですが、
ビートルズ中期以降〜ウイングス時代はリッケンバッカー4001Sに持ち替えているようです。
レフトハンドでリッケンバッカーを抱えるポールがめちゃめちゃカッコいいと思います。
ジョン・エントウィッスル
⑤ The real me / Quadrophenia (1973)
The Who
ザ・フーの"リード ベーシスト" ジョン・エントウィッスルで締めくくります。
同バンドのドラムスであるキース・ムーンと組むリズム隊はロック史上最強の破壊力を誇ります。
アルバム「Quadrophenia」やライブ盤「Live at Leeds」での名演奏は、ドラムスとベースがこれでもかとブイブイとぶちかましてます。(笑)
彼は「弘法、筆を選ばす」といった感もありますが、自身の作った「ボリスのくも野郎」と言う曲からDean U.S.Aのシグネイチャー・モデルを愛用してたようです。
のちにリズム隊の相棒であるドラムスのキース・ムーンが1978年に早逝し、バンドは一時活動休止します。
そして、2002年にエントウィッスル自身もこの世を去ることになる。
コールガールとの性行為中に腹上死し、まさに"昇天"されたのであった。
同バンドのヴォーカリストであるロジャー・ダルトリーが述懐する。
「奴は死に際までロケンロールだったのさ。」と。
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以上、長文お読み頂きありがとうございました。
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