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疾風(シップ)伝説・2 会社にメールで「退職届」を出そうとしているキミ、ちょっと待った! その退職「届」は、退職「願」に書き直した方がいいのかも…… としいけわかお・著
(この伝説・2には、いわゆる『昭和のY談』が含まれています。そういった話が苦手な人や抵抗を感じる人は、スルーしてください) ――さてさて、「柿の木坂の家」のカイシャに入社して、社会人になって初めて与えられた俺の「仕事」といえば…… 40年前に初めて出版業界の魔道世界に入って、ド新米のコミックスの販売営業マンだった俺が初めて上司から与えられた仕事は、その上司とお得意先の会社の偉い人を車で都内某所へご案内する役目であった。 ある日の朝、上司から何のレクチャーも無く社
《トラベルミステリー小説》 京都発鳥取・倉吉行き、振り子式DC特急「スーパーはくと」殺人事件 ユーモア鉄道ミステリー。カラス&マーロウの新冒険シリーズ・2 歳池若夫・著
1 男は、リュックの奥から小さな容器を取り出した。 丸い蓋を開け、中から未使用の予備分の「凶器」を取り出す。 両手にはぶ厚い生地の手袋をはめている。それが無いと、少しでも手元が震えてしまったら最後、自分が作った威力絶大の「凶器」によって、製作者当人の命が奪われかねない。 「ゆーっくりでしゅ。目をおっきく見開いて、落ち着いて慎重にやんなくちゃ。そんで、そーっと針先を摘まんで、根元からプッチンプッチン切り落とさないといけないんでしゅ……」 お
《近未来大相撲熱血?小説》《短編小説》 『It's only GOD chanced death!~たかが、ごっちゃんデス~』 歳池若夫・作
目の前に、つんつる頭から湯気を立ててる下膨れ饅頭顔オヤジがいる。 俺は、マゲをちょびっと揺すって、「ウス。すいませんっス。今後はじゅうぶん気ぃ付けるんでー」ボソボソ答えてやった。 とたんに、後から、我が師匠の強烈な膝折り蹴たぐりが飛んで来た。 「てっ……!」 「馬鹿野郎ッッ! 声が小せぇんだよッ!! 真面目に頭下げんか。理事長閣下にきちんと謝れッ。そう、土下座だ。おめぇ、手と足と頭を床に擦りつけて、心の底からお詫びしろッ!!」 親方の怒りは収まらない。俺の後頭部と背中
《掌編小説》 Snow boots Angels ちょっぴり甘塩辛い? 北の港町のオトナのメルヘン…… トラベルファンタジー・シリーズ・1 歳池若夫・作
複雑に交錯する幾つものポイントを渡り、ディーゼルエンジンの唸り声を抑えめにした臨時急行「すずらん」は、線路の先がすぐ海の岸壁というドン詰まり終着駅の緩くカーブしたホームに滑り込んで行った。 俺は立ちあがり、網棚から商売道具の書籍注文一覧表と旅仕度をめいっぱい詰め込んだバッグを降ろし、肩ベルトを襷掛けに胸に回した。 政令指定市である大都会札幌から衛星都市圏である恵庭、千歳を巡り、苫小牧、室蘭という大きな街の本屋を一軒一軒回って、年季の入った急行列車の堅いボックス席に