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ACL2024西地区遠征マリサポの「これやっておけば良かった」リスト

出発前まであんなに石油王石油王言っていたマリノスサポーターが帰国後から誰も石油王に目もくれなくなっていることから察してほしい。

渡航ハードルが比較的低いUAE、スタジアム設備としては美しく近代的だったハッザーアビンザーイドスタジアム。
その裏で準備はしていたのに過酷な状況に於かれ、それを乗り切ったサポーターたちがいた。
"当たり前に感じるようなことでも、書いて記録する必要がある"と思っているので流れてほしくないものはどんな情報でも書いていく。

◆ できれば直行便、レガシーキャリア。

チケット代だけで5万違うと(もう1回旅行行けるじゃん…トランジットの方が動けてお尻痛くならないし)と思っていたのが大間違い。
今回人生で初めて慌てるようなトランジットに遭遇して予定通りに到着できないと思った。
当初の予定では上海乗り継ぎは3.5h予定、しかしフライトが大幅に遅れて20分乗り換えで出入国あり。どうしたらこんなディレイが発生するんだよ、絶対進まずに浮いてるだけの時間があっただろ。かなり覚悟した。

「なんで選んだんだよ!?」とみんなに笑われた春秋航空
この前に取ろうとしてたのが海口乗り換えだったから上海はもっとメジャーだと思ったんだ

プライベートの旅行はご自由に、だけど試合に間に合わないのはまずい。
今度から試合は少しお金を出してでも安心を買おうと実感した。

各々の経済的な理由は注意喚起でどうにもならないのでせめて
・安心感のある航空会社を選ぶ
・トランジットするとしたらみんなが多くいる空港がいい
(
今回私は上海でやらかしたがカタールは結構マリサポがいたので安心感があった、カタールでは何も起きていないけれど何か起きても集まることはできそうだった)
と思っている。

常々偏見や思い込みは視点を鈍らせると思っていたが、
「LCCはピーチやジェットスターみたいに元気なフォントとコーポレートカラーをしている、春秋航空は筆字に若草色だから多分レガシーだ」と意味のわからない思い込みをしていたために安心感を持って乗ってしまっていた。全然違った。

◆ 荷物検査基準

正直基準はない。
ないからみんながあんなに怒っていたのであるが、いくつかポイントはあると思った。

荷物の大きさ

「大きいリュックダメだって」「大きいってどれくらい?」の声が飛び交っていたレーン。
旅行用か、それともラップトップが入るくらいかなど答えが出ていなかったが、プレミアなど最近の海外スタジアムの基準では目視でA4サイズ以上のバッグだと大きい荷物扱いになるらしい。
日本人はサッカー観戦に於いてかなり荷物が多く、他の国の人からしたら驚かれてしまうらしいのでこちらも相手の手間をかけさせている意識を持って対応するとちょうど良さそうだ。
旅慣れたマリサポ友人はIKEAの小さめエコバッグを持ってモスク入場もスタジアム入場も乗り切っていた。
こういうジッパーのない簡易なバッグも安心感と荷物の仕分けに良いなぁ!と次回からの参考にさせていただこうと決めた。

余談だがみんなで乗り切ろうと伝言ゲームのように「wi-fiだめだって!」「リュックダメだって!」と後ろにノウハウが言伝されていったが、荷物検査をする女性係員の「鬼軍曹」のニックネームまで最後列に綺麗に伝わっていたのは爆笑した。女レーンのマインド、小学生すぎる。

持ち込み説得

直前までマリノスケのぬいぐるみたちを取られかけていた。
SNS上では「怒って取り返した」と書いたが怒ってなんとかなるなら荷物検査の意味がない、実はきちんと怒らずに取り返した経緯がある。

結局このピンクのポーチに熱中症対策スプレーや化粧品は全部入れて預け入れに

荷物検査は何のために行われるかと言えば「選手の安全確保」「テロ対策」のためだろう。

激昂した観客がピッチの選手に投げて選手が怪我をするような硬い荷物はないか
(ペットボトルがダメなのもこれ)
世界的に注目が集まり各地で放映される試合、テロリストが主張するには格好の機会なので薬品や爆発物などを持ち込んだ事件が起きないか
(液体物や携帯バッテリーがダメなのもこの理由)
基本的に"飛行機に持ち込む荷物の基準"が頭に入っていれば理由も明確にわかるはず。

なのでマリノスケに関しては柔らかさと中に何も入っていないことを誠実に明るくPRした。仕事で海外とやり取りする機会があったから表情やワードチョイスに関しては完全に仕込んだものだが、問題なく通れた。

ぬいぐるみの持ち込みはあまり参考にならないし、切羽詰まっている人もいないと思うが自分にとっては結構大きな心の支えで家族くらい大事な存在なので(特に海外アウェイの試合)あえて書かせてもらった。
人から見たら「そんなものw」と笑ってしまうようなものでも個々人に大切な拠り所はあるはずだから、入場に差し支えのない範囲で一人でもその人の満足できる環境は作り上げたい。

バッテリー・Wi-Fi類

私は一つも持っていなかったが先述の通りバッテリーだとかWifiはほぼ全員が預け入れ荷物になっていた。確かにテロの意図がなくとも、安価なものだと熱が発生したり爆発の危険がある製品だ。
今回はどの荷物もロッカーに入れられて運が良かったが、もっとひどい運用のスタジアムであれば捨てさせられていただろう。
自分のものであれば「また買えばいいか」と諦めもつくが、空港でレンタルする場合のWi-fiだと説明とか保証がキツそうだな…と思ったので、今後海外でそういったサービス利用を考えている人は自分のWi-fiを買うかローミングサービス、SIMが良いと思った。

どんな荷物がNGなのか

今回もだがカタールW杯、ここで取られた製品が海外の大きな試合として基準もわかりやすいと思ったので挙げてみる

・中が透明じゃないペン

上2つは実際にカタールで止められたもの

上2本のようなペンがNG。
下のSARASAとかSignoのような中が透けているタイプは大丈夫。
フォーマルな場に行くとかビジネスシーンだと上のペンが重宝されるけれども、最近はペン型の爆発物がテロリスト界隈で流行っているらしい。
(いかに普通のものに擬態するか犯罪者サイドも練っているので一般人や主催者が割を食う例)
悔しいけれど取られずに預け入れで済んだから良かった。
試合はお陰で30分くらい見られなかったけれど爆発事故が起きたんじゃ主催も困っちゃうもんなぁ。

・コスメやそれに準ずる液体

この他にハンドクリームと日焼け止めも取られてます

上記写真の数々、持ち込みという認識もなく、ハンカチやティッシュと同じく常にバッグに入れているものだったので「そういえばコスメはダメだったね…」となったのがこれ。
化粧品と言いつつ1つは消毒用のアルコールなのだけれど、これも取られた。

液体や薬品のテロがダメで取られている?それにしては粘性のグロスや甘皮オイルも?と思ったのですがイスラム圏の持ち込み荷物のNGリストに「呪術や黒魔術に使う用品」の項目が。さらに深掘って黒魔術にはどんなものが?と調べたところ、コーヒー豆や香水を使って死者を蘇らせようとした例が。(←こんな文字列noteで書くと思わなかったぞw)
不確かだけど、液体ではなくて含有の香料がこちらに引っかかった…?
もちろん推測の域は出ないし、調べていたら途方もないけれどカタールもアルアインも化粧品は確実に没収対象だったので注意。
オシャレのためもだけど、手拍子を響かせるには手のひらの湿度が大事で男女ともにハンドクリームは欠かせない。なのでどの性別の人であっても気をつけて欲しい…。

海外ってみんなああなの?

現地組で初めての海外の人、多分この感想だと思う。
私はそこまで海外サッカー観戦に精通している方ではないからサンプルが少ないけれど、正直あんなに酷いのは見たことがない…。
スタジアム外での荷物検査にゲートでの無駄なダメ押し検査、預け入れと検査がごっちゃになっている図、人によって基準が違う、全部あり得ない出来事だった。
男女別レーンはよく見る、イスラム圏やPSG(パリは大きなテロの標的になったので都市全体の観光地で基準が厳しい)など。
アルアインは指定席でなかったからこその"LINE順番待ち"との相性の悪さとか、日本人の荷物基準と普段適当な基準の人たちが"しっかりやっている"を国際的にPRしようとしての悪魔合体という気がしているけれど、こういった基準には私たちも慣れていく必要があると思っている。
"倣え、揃えろ"ではなく"相手を知ってその上で対策しよう"のニュアンス。

◆ 熱中症対策

水の持ち込みが禁なのは事前に知らされていたのでそこに文句はない。

ただ、想定以上の荷物検査の時間に体調を崩してしまう人も多くて、その人たちへの救助のための水もまだ検査場に到達していない中で取られるようなムーブにはさすがに怒った。
曲がり角とか壁や天井の有無、日当たりによって体感が全然違ったから、その人の体調管理のせいにはしたくない。
みんな誰が倒れてもおかしくないような気温だった。
入場に並ぶ人、水が取られると分かっていても「取られる場所で捨てよう!」と腹を括って水を持ったまま並ぶくらいでいいと思う。

みんながどう乗り切っていたか、
・粉タイプのポカリは取られなかったのでそれを水に加えて飲む
・塩タブレットをちょこちょこポッケやメガネケースに忍び込ませた
・待機列近くのトイレが異様に広く冷房キンキンだったのでトイレで過ごす人多数

そもそも粉やタブレットは取られる対象でないので隠し持つこともないのだが基準がないので中には取られていた人もいると思う。

場内で一応水は配られた。が、最後の方はほぼ熱湯になっていて飲むのも苦しい。

水は配られた、が、機内食スタイルのぺりぺり水。
これはペットボトルに比べて熱伝導が凄まじく、最後の方はアルアインの気温の下で熱湯になってそれを啜っていた。

悔しいなぁ、と思うのが水を配布していることを知らない人も多かったこと。Wi-fiを取られているイコール情報遮断だから、現場で情報を得た人やネットに繋がる人物は積極的に口伝えで「入場ゲート右の売店で水!」を伝えていきたかった。入場に時間がかかっていて、人数も揃わず旗を掲出したりに精一杯でインフラにも手が回らなかったから誰が悪いとかではない…。
私自身かなり遅い入場で先に入っていた仲間に「どこにいたの?」と言われるほど。今そこで入場しました…!

全員が全員、自分にできることをやった

この写真は「水を取り合ってる構図」ではなくて「カッターもハサミもない中でダンボールを手で開けてみんなに配っている図」。
自分は後回しでも体調不良の人や子供、ビジュアル掲出の人たちを優先させて、男女どちらもが力が要る中で手でダンボールを割いて頑張っていた。本当に頑張った、みんなが報われて欲しかった。。。

水だけでゴミが大量発生するだろうに、敗戦と体力の落ち方の中で綺麗にして帰ったの、本当に偉かった。
スタジアム清掃ってSNSだとポジショントークになって拗れてしまう話題だな、と思うけれど過去に取材を受けた上で見受けた海外からの目線は「日本人って変わり者だねw」とかの嘲笑ではなくKonmari的な禅スピリッツとかお片付けの文化に注目が集まっていると思う。だから自分はこの運動を堂々とやっていいと思っている。

◆ 体調管理

もう全員大人で海外まで来られる人たちだから、各々やることでここで書くこともないんだけれど…。
・長期休暇のために前日まで仕事を寝不足で片付けている人が多い
・長時間フライト、慣れ不慣れに関わらずみんな本調子ではない
・その上2hくらいバスやタクシーで都市間移動
・気温42℃、数字以上にキツい現実
・前日までチケットが手に入らないでゴール裏はほとんど寝ずに各所への手配、当たらなかった人たちのストレスもすごかった

もう全員いたわりゾーン!美味しいもの食べて涼しいところで寝て!
みんな試合が楽しみだし大人だから笑顔で労い士気を高めあっていたけれど、実態はボロボロになりながらスタジアムに着いていた。

そんな中だからアウェイゲートに用意されていた「中東おもてなしゾーン」はこのレベルでガラガラ。
"戦いに来たんだからアウェイに飲み込まれるかよ"的な思想もあるけれど、どちらかというともう数m先に行く体力もないし、ゲートでも荷物検査が長蛇だからとにかく入るのに必死だった。

カンドゥーラ体験やヘナアート、ラクダとのふれあいが見える。
かなりお金をかけて砂漠ツアー並みのおもてなしだけどチケット用意して…

多分このアラビックコーヒーも「あのエリアで配るはずが誰も来ないから自ら列を回ろう」としてくれたものと見ている。
味はホテルで出たものと変わりなくかなりの高クオリティだったけれど高い気温の中で熱い飲料は意地悪でなく誰も反応できなかった…。

お互い応援に全部の力を出せるように、まず席まで辿り着けるように。
それだけを願って体力温存したし、足りないところには分け合った。
寝られる時に寝ておこう、食べられる時に食べよう、が最適解だった。
そうして体力を温存している人を誰も揶揄しない環境こそが応援に集中させてもらえた

日本も年々酷暑になっていて熱いのは理解しつつ、コンクリートよりも明るい地面での照り返しのしんどさ、太陽光の当たり方、夏場のUAEは観光経験があるけれど街中とは違う、全てが想定以上。
アップ前に37℃になって「涼しい!」と言い合っていたけれど、今思うと基準がぶっ壊れている。でも大袈裟でなくその時は37℃すら恵みの気温だった。帰りトランジットのタイも香港も全てが涼しく感じたのだから無理もない。

◆ チケット問題

既報通り、日本と同じく転売問題とかそういったことが原因だと伝わっていると思う。これを世界的に根絶させるシステムが必要だと実感したし、マリノスは自分達や他のJリーグチームがACLに出場するときのチケット確保条件や交渉のナレッジを積み重ねられた。
これまで対戦した東アジアとは対人感覚が違うから交渉も難航したと思うが、これを失敗と言いたくない。尽力した全ての人たちに敬意を表したい。

以下は自分の反省。
過去の全北遠征やベトナム遠征。チケットが手に入っていない状態で遠征することも多かったからあまり大袈裟に受け止めていなかった。
1人2人が外れるなら自分の当選分を返上すればどうにかなる、とも。
結果、それだけでは賄えない人数の落選にゴール裏有志が寝ずに走り回り、やり取りをし、スタッフも総出であった。手を貸すことは出来るけれど、勝手な行動をして混乱もさせたくなく、全員祈りながら落選メンバーを励ましたり、気にさせないような振る舞いをしていた。
返上は自己犠牲ではなく、単純にマスコットとクラブが好きなので、マスコットのいないアウェイゲームは見られなくてもいいという考えだった。
この場所に来たのは"優勝の瞬間に居合わせるつもり"ではなく、"選手の後押しをするため"。それならスタジアムの外で太鼓を叩いて声を出してもいい。
その考えを誰かに言うまでもなかったが、察知したマリサポが「お前が何をしようとしているかはわかる、絶対にチケットを手放すな」の言葉をかけてくれた。スタジアムでヤキモキしていたがなんとか入場できた。

結果として、やはり現地にいることが大事だ。
これを言うと「ダフ屋に頼むつもりか」と言われることが数件あったが、全くそこは視野に入れておらず"困り事を明確にして、その場にいる人たちで解決する"だけのことだ。誤解は解いておきたい。

◆ 煽り

多分一番の思い出がこの景色という人も多そう。
スタジアムからの帰り道のアルアインサポーターの煽りが凄かった。

自分の中では子供も大人もタイトル取ったらあんなもんじゃない?勝ったら日本もあれくらい喜んでもいいよなーと思ってたので(これはプレミアとか見て身につけた思考ではなくて元々これくらいの感性がある)あまり気にならなかったが、人によっては差別発言やハンドサインもあったとのことなので怒っていい案件もあったはず。
何より困り事は点呼!
50人乗りのバスを主催していたのでスタジアムで集まって乗客を確認する際にマリノスサポーターの集団に突っ込んでくるアルアインサポーターがいた。

佐藤さ…ALAI---N!!!  吉田さn YOKOHAMA LOSER---!!!!!!
徳永英明並みに何も聞こえない、何も聞かせてもらえなかった。
乗客の機転から"呼んだ人は別の場所に移動"など対策を取ったが、ここでもみんなに助けられた。
反応するな、目を合わせるな、言い返すなと呼びかけあってなんとか集合。
スタジアムからバスまで約1km、これも永遠に感じた。

とにかく長い距離、スタジアムで我慢していた分その場で崩れて泣き出す者もいた。アブダビバス引率のささゆか先生は今回最後尾で歩くのが遅くなるほど辛い人たちを一人残らず置いていかずに慰める立場。
泣いている人たちに向かってアルアインは「次があるよ!」的に励ますけど、個人的にはバカにされるよりも励まされる方がキツかった。
道中、ドバイ行きの乗客が紛れたりしたことから混乱ぶりが伝わると思う。
バスに乗ってもスタジアムから高速道路に乗るまで、行きは15分程度だったのに2hかかった。
その道中ずっとクラクションで喜びを味わい、乗客がマリノスだとわかると煽る人たち。
喜ぶのもバカにされるのもいいけれど、明け方の飛行機で帰る人たちがいるから空港チェックインに間に合うように到着させてくれ…。
結局ホテルに着いたのは夜中の3:30。もう記憶がない。

帰国後に「辛かったろうにあんなに気丈に振る舞ってまとめてくれて」とみんなが励ましてくれたが、DAZNに泣き顔が抜かれて絵面としてのエサになるのも嫌だったし、みんなを送り届ける緊張感が全ての原動力だった。
(私自身の頑張りはなく、そこに目を向けてくれた周りが素晴らしい)
しかし次の日飛行機に乗ってからカタール乗り継ぎで(あれ?もしかして負けた?)とやっと状況を把握、空港のベンチで泣き、励ましのLINEに機内でもこっそり泣いた。
身体のプログラミングとしては寝不足、声出しと跳ねの肉体的な疲労を先にリカバリするために気持ちの落ち込みとかが後回しにされてるらしい。
お葬式でも式の時は「死んだなー」だけど、人と別れて一人になった瞬間に「え、あの人もうこの世にいない?!」って急に焦ることがあると思う、それに似ていた。なんなんだろうね、あれ。

◆ 連帯は現場も日本も同じ!

過酷な環境を乗り切り、運営に任せるゲストの態度でなく各々でカバーして快適にしていこう!の精神の人たちが集まった。お互い過去に何かあって顔を合わせるのに苦手意識があろうが人間として助ける。信頼ベースの連帯が生まれたのは間違いない。

しかし、ここで「現場に行った人だけが頑張ったから日本にいた自分は…」と思わないでいてほしい。ここで分離が生まれてしまうのは望んでいない。
SNS上での忘れ物があった際の周知RT、仲のいいサポーター同士のやり取り、みんなが観光を楽しんでいる様子にいいねをつけて(この人は無事に到着しているな)と見守ってくれるような目線。
アブダビバスの方が拾った携帯電話はRTのおかげですぐに見つかったし(ニホンヒトモドキさんありがとう!)、現地組はWi-Fiも没収されている中携帯すら触れない入場時のタフさにやられていたから確実に日本のマリサポの頑張りだと思った。

サポーター以外や面白半分の人間、どうしようもないリプライが飛んでくる中で肯定的な反応やLINE、コメント全てに救われた。
こちらとしては何も見ずに憶測や揶揄、安全圏から言葉をかけてくる者はダサいの反応しかなく、構うことすら労力の無駄なのだが、SNS関連の仕事をしているとここ数年で「黙っているとそのまま肯定と見做されて話が進んでいく、訂正がなされずに事実として広まる」を実感している。だからこそ知らない間に怒ってくれたりカバーしてくれているのは、それこそ現地で一緒に戦うに匹敵する働きだと思った。

子育て中、病気の治療中、駐在から期間が経っておらず国外出国できなかった人たち、色んな状況の人たちがいた上で(日本にいながら出来ることをしよう)としてくれていた。大津祐樹選手の「やれることやれ」の精神がまだ生きているな、こうして後世に伝わっていくんだろうな、と思っている。
今回、起きたことを鮮明に伝えるために過酷な場面にフィーチャーしすぎたかもしれない。しかし海外遠征はかなり良い経験になる。
日本以外から見た日本と自分の見られ方、海外で歩ける自信、サッカーに限らず自身のキャリアを見直したり成長できる機会になるだろう。
資産も大事だけれど、経験も代え難い財産だ。
余裕があればぜひ"当事者"になるために飛び込んでみてほしい。

例えばチケット問題や荷物検査について、ここで芯を食った内容のことはなかなか書けない。大多数の人を信頼しているけれど、ネットだから嫌な切り取り方や突っかかってくる人も多い。私が言われるのは無視するけれどその範囲で収まらないから慎重になる。その上で「現場にいる人はわかる」と言った発信をする人も出てくるだろうけれど、現場に来ない人が悪とか選ばれた人にしか教えないといったニュアンスでないことは伝わってほしいと思う、念のために。

山本昌邦じゃないけど最後は人間力

ここであえて書かせてほしいが、マリノスサポーター以外にも救われた。
「マリノスがんばれ!」と純粋に応援してくれる仲良しのJリーグ仲間たち、見知らぬ人の優しさ、「マリノスは応援していないけど外での困り事は許せない」と連帯を示してくれたり、同じクラブのサポーターの目にあまる言動に対して軽く牽制してくれる他サポもかっこよかった。
勝敗の結果と困り事には線引きを示して、困っている人たちに寄り添う姿勢は私の目指すサポーター像そのものだ。
ネット上ではサポーターの分断を煽るような言葉も多いが、馴れ合いとは違う感覚の互助は存在するし、感覚がわかる人だからこそかけてもらえた言葉のありがたみが大きい。
どこのサポーターかでくくるよりもその人個人の姿勢や行動を見ていたい。

私も今回の記事を書くにあたり、マリノス以外のサポーターにノウハウを伝授するってどうだろう…と考えたけれど、健康を守ったり海外での不安を解消する要素はどこサポだろうが、どんな属性だろうが必要だと思って書いた。マリノスだけに伝えたい応援や力強いサポートについては不要に口外しないつもりだと分かってもらえるはずだ。

予選でずっと応援メッセージを送ってくれていた他サポ友人が決勝の結果を受けて"放っておいて"くれたこと、「帰ったらあいつらが食べられない豚肉たくさん食べようぜ!」と食事に誘ってくれる友人、応援クラブの垣根を越えて周りの人たちの優しさが愛おしい。これを実感できる自分の感性も大好きだ。

多分UAE遠征ってまだまだ可愛い、中国では男女含めてアウェイにお手洗いが3部屋しか用意されなかったとか、マニラでスリにあったとか色んな話を聞く。その度に"現場の人の強さ・思いやり・行動力"に驚かされる。
困り事を美談にするつもりはないが、とにかく最後は"人"だ。
現場はお互い支え合い、選手を最後まで鼓舞し、清掃はプラスアルファだとしても「これをやりました!」をせずに静かに全員が当たり前にやっていたこと、煽られても受け流す姿、全ての振る舞いに品性が溢れていた。
「この人から応援されたら嬉しい、スタジアムでもスタジアムの外でもそんな人間性を持った人になれ」とゴール裏で教わってきた言葉を実感する遠征であった。
遠征はイベントではなく試合の積み重ね、人間性の鍛錬は生活の積み重ねだ。ハートを磨くっきゃない。


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