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『グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ』で糸井さんが言ってたこと

グレイトフル・デッドとはアメリカ西海岸で生まれたバンド。なんと40年以上も前からグレイトフル・デッドは、音楽を無料で開放していました。ツアーの音楽は撮影・録音し放題です。知らなかった。

シェア・体験・ファン・熱狂・コミュニティ・共創・フリー・フラット。このようなエッセンスはすべて本書につまっており、グレイトフル・デッドがとっくに実践しています。彼らが結果として先駆けであることは、誰も否定できないでしょう。

というわけでビジネス書であり、たしかなマーケティングの本です。

グレイトフル・デッドに関してはこれで終わりなのですが、ここで糸井さんの言葉を紹介したい。糸井さん?

そう、なぜ糸井さんが登場するかというと、この本の日本語版の出版を後押ししたのが糸井さんだからです。

インターネット黎明期からほぼ日を立ち上げた糸井さんにとって、この本に共感するところがたくさんあった。日本語版では冒頭、糸井さんの解説が入っています。読んでいて、誰が書いているのかすぐにわかった。

なるほどなあ、という箇所がこちらです。

常に人に「見られている」ということが、いかに仕事に効果をもたらすか。このことです。とうてい実現するとは思えない事業計画を立てたとしましょう。99%失敗する。でも誰かに「見られている」ことで、1%の可能性に賭けてみよう、という意欲がわいてくる。

するとそこから「物語」が立ち上がる。人間は物語の上で生きていきます。共感を呼ぶ物語が「見られている」ことで生まれたら、1%の可能性が2%になるかもしれない。それが「見られている」効果です。

この本はマーケティングとして実用的な本です。「もしドラ」にも匹敵します、と糸井さん。ピーター・ドラッカーの重要な言葉の一つである「顧客の創造」。新しい商品やサービスを開発し、市場を開拓します。

ここにグレイトフル・デッドを重ねると、彼らの「仕事」には、ドラッカーの本に書いていない重要なポイントがみえてきます。

それが「常に人に見られているということが、いかに仕事に効果をもたらすか」

この着眼点はおもしろいなあと思いました。

まず、「コンテンツ」とは、ほぼ日的にいえば、「考え」や「思い」「ひらめき」を表現したもの。それは、「イベント」という形式だったり、「読み物」という形式だったり、「モノ=商品」というスタイルだったり。

そうしたコンテンツのつくる過程やコンテンツそのものをフラットに可視化させ、すべて透明化させることで人の共感を呼びやすくする、これがよくいう「共感」をベースとした共創の効用です。

糸井さんはつくり手として、アーティスト側の視点で、つまりつくり手の立場からみて「見られていることで仕事に効果を出した」と言及しているところがおもしろい。

上昇志向を否定し、上から横へ、より楽しく、よりフラットへ。

まさに“インターネット的”であったヒッピー・カルチャーやドラッグ・カルチャーを、いちはやくマーケティングにおとしこんだのがグレイトフル・デッド。

というわけで以上です!

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