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【エッセイ】書き物のとも  柊月めぐみ

こんにちは。詩誌La Vague(ラ・ヴァーグ)です。
今回から何週間かにわたって、メンバーの詩作にまつわるエッセイをお届けします。第五弾は柊月めぐみさんです。

以前、私のNoteでも初期に書いたのですが、書き物のともは万年筆。

インクがにじみ出て、紙に吸い込まれていくペン先をみていると、これから書こうとしている何か、自分の心の奥底の言葉が導き出されるような。
不思議な感覚と心強さがあります。

まだ小さい時からの万年筆への憧れ。
ブルーブラックのインクの万年筆は、父の仕事道具でもあり、母の書く美しい筆記体を生み出すものでもありました。小説の登場人物が使う憧れの小道具であり、そして物語に登場する小さい人たちが使う大きな羽ペンの生まれかわったような、魅力に満ちていました。

そんなわけで、まだパソコンが「コンピューター」だった時代、詩は「万年筆」「手書き」と決めていたのです。
思いついた言葉を書き留めるために、いつでもどこでも携行していた「詩ノート」(これはクラスメートからプレゼントされたものでした)。日々のやることリスト。そして、「読書リスト」。(今風にいえば「積読リスト」、しかも最初から最後まで読み通した本だけを取り消して→「読書記録ノート」に書誌情報を書きためていくというもの。このリスト、まだ現役だったりします)

当時の万年筆は何かの折にタダで貰ったもので、憧れだけで使い続けていたけれど、あまり書き心地の良いものではなく、今思えばだいぶギシギシとした触感でした。

ここ2年近くは、高級万年筆ではないですが、デイリーに使い込める物を常用しています。万年筆初心者さん向け、という売りなのですが、気兼ねなく使えて満足。

コンバーター式への憧れはありつつ、今のところはカートリッジ式です。
おかげで、ペン先の不調も、少しメンテナンスできるようになりました。

ゲルインクペンなどの新しい文具では、1本の替芯はかなり長く使えますが、万年筆のカートリッジは、それに比べかなり早く減ります。
まだあると思って使っていると、今のペンは突然書けなくなるので、ペンケースには替芯を常備しておかないと!
(と書きつつ、今現在ペンケースに予備がない……しかも万年筆は、ペン先の隙間からインクが出る構造上、使わなくても揮発してそのスリットは固まっていってしまう。プリンター同様、コンスタントに使い続けるのが一番不具合しらずでのようです。)
ちなみにエッセイや論考は手書きではありません。構成は必ず手書きしてから、ポメラとパソコンを行ったり来たりしながら、打ち込み派です。

万年筆や手書きの良いところ、それは思考の速度で書けること。インクの吸い込まれる少しゆっくりの速度がちょうど良く、書きやすいのですね。
ただ、どんどん言葉が出てくるのは善し悪しで、書き込みすぎには要注意。
ちょっと思ってるのと違うかな?と感じた時は、お休みも大事にしたいものですね。

そしてもちろん。いつかモンブランの万年筆を!と家族に言い続けている。


※柊月めぐみさんが詩「縄」を寄稿された詩誌La Vague vol.0はこちらより購入できます。


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