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役者×写真家WS「Flash.」vol.1 レポート 2021.1.10

初めまして。
地域密着型演劇ユニット『赤キノコ山と蒸したお酢』代表
createmodel「けい」主宰
オガワジョージです!



この記事は1月10日に行ったWS、「Flash.」のレポートになります。
まず、簡単に内容をご説明します。

奥田さん(カメラマン)と僕(役者)が協同で写真を撮影します。
被写体(参加者)の方へヒヤリングを行い、
そこで出てきた言葉を大切にしながらイメージを作り上げ、
一体となって「良い写真」を目指します。


奥田さんの言葉かけは設定や感情・動きについて様々ありますが、
僕の立ち回りでより演劇的でクリエイティブな時間を目指します。
僕の役割は

・ヒヤリングの質問(2つの視点から人物理解を深めます)
・状況へのイメージを膨らませ、一段深くのめり込ませる言葉かけ。
・より被写体の身体や心が自由になれるようなディレクション。


以下のレポートである程度の詳細が載っています。
ご興味ありましたら引き続きご覧ください。


また、僕の他の活動が気になった方はマガジン
【リアルタイム構築演劇ビジネスモデル「けい」】
というものがありますので、そちらもご覧になってください!


それではレポートです!


1.構成案

今回は事前にこんなことをしますという構成案を作成し、共有しました。
それがこちら。
そこそこ文章が長いです。

(1)題材について
1.どんな人が受けに来るか

映像・写真に慣れ親しみのある、もしくは慣れ親しみたいと考えており、映る・写ることに関心が深いのではないかと考える。

2.どんな気づきがありそうか
いわゆる舞台演劇とは異なる分野ではあるものの、共通する考え方や方法論は多くあると考える。また役者としてカメラマンを「撮る側≒観客」として考えた時、外見の自分を考える機会になりえ、魅力的に映る自分を磨く材料を得られると考える。

3.どんな流れにするか
「撮られる」ことで個人の中で様々なものに学び・気づきが繋がっていくような構成を行う。また、言語コミュニケーションを重視したワークを多く行い、役者⇔写真家双方向の創造的な時間を生むことを目指す。


(2)目標
参加者が一体となって被写体の願いをかなえ、良い作品を撮る。


(3)目標達成のための中心となる言語活動

言葉のやり取りをする中で、相手のことを理解していき、自分のことを考える言語活動。

(4)目標達成規準
①個人写真が自然であり「自分」を感じられる作品であること。
②創作の時間において、自分や相手について深く理解しようと考えている。


(5)毎時の構成・展開 (3時間構成)
1.ヒアリング
・被写体との会話で、どんな風に撮られたいかを探りつつ、人物理解を進める。他の参加者も会話に加われるようにする。
・会話の中で人物を理解していく。
・和やかな雰囲気を作り、緊張をほぐす。

2.撮影(ロケーション、状況を3つに段階分け)
・設定を設けつつ「歩く」動作を入れて数回撮影し、撮られることに慣れる。慣れてきたら自由に動いてもらうようにする。
・やりにくかったら対象物として人や物を使う。
・息を吸ったり吐いたりして心と身体をほぐす。
・ロケーションでの設定をつなげ、被写体の感情の流れを整備することで、より深く没入できるようにする。
・人物理解のために質疑応答を何度も繰り返し、撮影時に意思疎通を図りやすくする。
・見学者は被写体がどのような言葉かけによって変化するかを観察したり、実際に働きかけてみる。ポジティブな言葉がけや、想像を広げるような視点の言葉を投げかける。見学者から被写体へ言葉かけができるような雰囲気を作る。
・思いついたこと、やりたいことに飛び込ませる。
・音楽をかけて、イメージを膨らませる。

3.まとめ
・簡単に感想を聞く。 どんな感想でも尊重し、受け入れる。

(6)その他
〇人数
カメラマン1人、スタッフ1人、被写体参加~2人、見学参加~6人の最大10人

〇料金
被写体参加 1,000円 見学参加  500円

〇写真について
撮影したデータは選抜してもらい、即日お渡し可能。
選抜した写真は後日加工し、データを送る。
成果発表として撮影した写真を確認をいただいた上で使う場合がある。

(7)アンケートについて
〇事前アンケート
・最近、感情が一番動いた時はどんな時でしたか?
・はまっていることは何ですか? また、やらなくなったことはありますか?
・どうしてこのWSに参加しようと思いましたか?

〇事後アンケート
・お名前(芸名など)
・どこでこのWSを知りましたか?
・WS内容について
1.何か気づいたことや感じたことが「あった/なかった」りしましたか?
 また、どうしてそう感じましたか?
2.被写体参加の方は撮られる時、「やりやすさ/やりにくさ」を感じましたか?
 また、それはどういう時に感じましたか?
3.印象に残っている言葉かけはありますか?

2.ヒアリング

今回は屋内での撮影でした。
被写体は高見駿(@Shun2864)さんです。

事前アンケートの項目からヒアリングを進めていきます。
「こんな状況だからこそ、純粋にワクワクすることをやってみたかった」
という参加理由と、
最近で一番感情が動いた時のエピソードを掘り下げていく中で見えてきた駿さんの性格や人間関係を踏まえて、
駿さんの感情が高ぶりやすい状況を作り、その時の表情を撮影する
ことになりました。

3.撮影

状況1『電話中、大きな音がする』

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【動き】
電話をする。大きな音を聞き、注意する。
【感情】
怒り
対象物を置きながら部屋の間取りを再現。
最初は掛け合いをせず、一人芝居のように撮影しました。
大まかな動きが共有されたところで、補助としてオガワが入り、スピーカーから実際に曲を流し、掛け合いをしました。
数回状況を繰り返すうち、2人で取っ組み合う時間が生まれたりしました。


状況2『部屋で2人きりの時間を過ごす』

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【動き】
玄関から入って部屋を見渡す。ベランダで会話をする。
【感情】
楽しい
これも部屋の間取りを決めて撮影しました。
照明を少し落としたり曲を小さくかけたりしながら雰囲気を作ります。
いない相手を想像し、少しずつ空想の世界に浸っていくような感覚がしました。回数を重ね、オガワが掛け合い(言葉だけ)を徐々に増やしていきます。長イスに座って机に伏してみたり、絵を描いてみたり、空想の手に触ったりという穏やかながらも緊張感ある動きが生まれていきました。


状況3『憧れの劇団からある電話がかかってくる』

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【動き】
電話に出る。歩き、後ろを振り向く。
【感情】
嬉しい
屋外のトンネルで撮影しました。
「トンネルの中を長く苦しい道のりとしてイメージして、電話をきっかけにそこから抜け出し、過去の自分を振り返ってみる」という奥田さんからの言葉かけがあり、そのイメージを膨らませていきました。
途中、トンネルに寄りかかる動きが生まれ、見ていてとても惹き込まれる感覚がありました。


4.アンケート結果

事後アンケートにご協力いただきました。
許可を得て共有させていただいています。

・お名前(芸名など)
高見駿

・どこでこの WS を知りましたか?
小川くんから教えてもらいました。

・WS 内容について
1.何か気づいたことや感じたことが「あった/なかった」りしましたか?
また、どうしてそう感じましたか?

あった
被写体になる経験がほとんど無いのですが、切り取られた瞬間を見てみると自分の表情の癖やこの感情の時にこの表情になりやすいなどの傾向が確認できたと感じました。

2.被写体参加の方は撮られる時「やりやすさ/やりにくさ」を感じましたか?
また、それはどういう時に感じましたか?

やりやすい
今回は最初にヒアリング(雑談形式)をして下さった事もあり、カメラマンさんが私をどんな人物か知ると同時に、私もカメラマンさんがどんな人物か知ることが出来たので少し緊張感が和らぎました。あと、友達が一緒にいた事も安心感に繋がったのでは無いかと思います。

3.印象に残っている言葉かけはありますか?
写真のチェックの際に「これいいですね」と褒めてくださる声かけや「こうしてみたらどんな感じになりますか」など自分で想像しなかった視点でサジェスチョンして下さったのが有難かったです。


5.次回の工夫点

ヒアリングをした後のテーマ決め、補助で入る人物について、宣伝について工夫点が挙がりました。
抜粋です。

・ヒアリング内容によって発見、気づきを多くできるテーマを決める。
・アイドリングワークを取り入れる。
・補助は被写体が安心できる人が良いのではないか。
・すぐフィードバックがある。こういう言葉かけや行動があったからこうなったという変化を写真で捉え、気づきを与える。
・屋内撮影では逆に動く範囲を制限してみる。


6.まとめ

前回はプレWSとして屋外で撮影を行いましたが、今回は屋内をメインに行いました。
屋内では機材や対象物が多く、屋外の時と比べて細やかな表現になるのではないかという考えが浮かびました。

撮影についてですが、やはり今回も「人が場所や言葉から影響を受けて、次々と変化していき、自分の中の何かを乗り越える瞬間が見えた」気がしました。
一役者として、やりたいと感じたこと、逆に恥ずかしくてできないと思っていたことに挑戦して得られるものはとても大きいと考えています。
稽古場や日常では思いつかない・思いついても反応が怖くてできない「思いつき」は数多くあり、自分の中にただ埋もれていくだけになります。
このWSを、そんな「思いつき」を受け入れて「瞬間」として記録する時間にできれば、すべてが糧になる密度の濃い時間になるのではと思います。

改めて、
高見駿(@Shun2864)さん
カメラマン奥田さん(okun_maken)ありがとうございました!!


撮影   奥田隼平
企画運営 オガワジョージ
協力   アトリエ5‐25‐6




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