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すずめの戸締まり

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『すずめの戸締まり』は今まで観た映画の中で、トップクラスに良かったです。多くの人が感想や考察を書いていますが、私が読んだ中で共感できるものやハッとさせられたものを集めてみました。…
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#すずめの戸締まり感想

『すずめの戸締まり』に通底する精神は『日月神示』に通じる

『すずめの戸締まり』には日本の根源的精神が流れている 新海誠『すずめの戸締まり』はご覧になったでしょうか。普通に日本で暮らしている人であれば、この映画には神道の発想が根底に流れていることを感じたのではないかと思います。神道の発想の中でも、特に古神道あるいは幕末明治維新期に生じた新興神道(形式化した神道に対する本来の神道復活の動き)に通じるものがあると感じました。 そうした古来の本来の神道のエッセンスは『日月神示』(「ひつきしんじ」と読みます)に凝縮されて示されていると思ってい

劇場版 すずめの戸締まり 封印されたカード

『カードキャプターさくら』は萌え漫画であり、魔法少女ものであるが、一度、2000年に完結し、2016年に新章として『クリアカード編』として再開しているのだが、私は、『クリアカード編』に関しては2巻までしか読んでおらず、そろそろ読むかな~とか思っていたらもう13巻まで発売していて、来年発売の14巻で完結するのだという。 『カードキャプターさくら』は、温かみのある絵柄で、登場人物全員が優しく、平和な世界である。 危機が起きても、主人公の桜ちゃんの「絶対にだいじょうぶだよ」という

『すずめの戸締まり』感想 自己愛と自己犠牲

2022年12月23日、私はすずめの戸締まりを見ました。 とてもとてもいい映画でした。 今回は私がすずめの戸締まりを見て、感じたこと・考えたことを話していきたいと思います。 *ネタバレを含む内容となっているのでご了承ください 小説版も読んでおり、この文章の中で引用する際には小説版を参照しています それぞれの戸締まり 映画すずめの戸締まりは"回復"の物語である。 登場人物それぞれが何かを失っていて、それに伴う問題を抱えている。 この作品はそれを取り返す、もとに戻

環さんのものがたり

映画「すずめの戸締まり」の入場者プレゼント小説「環さんのものがたり」がとてもよかったので、感じたことをメモしておく。 ※ネタバレあり すずめは母と家と故郷を突然失ってしまい、心に大きな傷を負う。環さんは、その「すずめの傷」と向かい合うことで、環さん自身も心に大きな傷を負うことになる。すずめは表面上は明るく快活だが、現実世界から離れて死者の世界に近接してしまっている。その深淵から引き上げるために、環さんは一緒に深淵に落ちてゆき、ときには彼女の方が「より深い闇」に足を踏み入れ、

すずめの戸締まりと「すべての時間」

すずめの戸締まりは、すずめが幼少のすずめに言葉を与えることで、自分自身が救われる話だ。これにはとても腹落ちする感覚と共に「引っ掛かるもの」も感じる。それは、幼少期に救われていたはずのすずめが、12年後に改めて救われるとはどういうことなのか?ということだ。そして私のたどり着いた答えは、「いまの自分の中にある過去の自分」を救うことが「今の自分」に直接作用する構造、つまり、心には「すべての時間」があり、そこにうまく入れた時には、過去の時点から今の自分を救うことができる構造(働き)が

すずめの戸締まりのタイムパラドックスから考察する新海監督が伝えたかったこと

空飛ぶ引きこもりライターの千聖(ちさと)です! すずめの戸締まりのラストは、タイムパラドックスが出てきますよね。 私はこのタイムパラドックスの考え方がめちゃくちゃ好きでして、ありえないけれどありえてしまう。 考えるほどのにわからなくなっていく答えが出ないこの感覚が面白いなと想っていて、答えが出ないこともまた好きなのですが、今回はなぜ新海監督が、タイムパラドックスになりながらもあのラストを描いたのか。 伝えたかったことはなにか、そこから私たちが学び、人生に活かすことは?

新海誠監督作「すずめの戸締まり」超分析!被災地と「生」の美しさの拡張と肯定。

こんにちは!今回は、新海誠監督作品「すずめの戸締まり」 について考えていきたいと思う。「君の名は」「天気の子」そして「すずめの戸締まり」で新海さんは、何を描きたかったのか?311(東日本大震災)とどう向き合ったのか? それでは初めていこう。 ○311を直接的な表現で描く意味と 新海誠の表現の課題! まず、この「すずめの戸締まり」であるが、「君の名は」「天気の子」に連なる災害三部作の完結編にあたる。 これらの3作品は、全て災害を扱っているが、前2作と「すずめの戸締まり

映画の感想/すずめの戸締まり

行った11月11日に公開されたばかりの、新海誠監督のほかほかの新作だよー! 公開直後に日比谷に行ったら映画館前が大変混んでいたから、そういえば公開されたばかりなんだと思い出した。 公開前からちらほら話題を目にしてはいても観る予定はなかったのだけれど、友人から強くおすすめされて、ほんじゃあ行ってみるかと映画館へ。事前に空席状況を調べたら、2時間後の回が既に8割くらい埋まっていた。席選び放題じゃない映画って久し振りかも。すごいや。 ネタバレし過ぎない程度に感想を壁打ちしていきます

「すずめの戸締り」が僕に刺さりすぎた理由を考察する①

導入;「すずめの戸締まり」について2022年11月11日公開の映画「すずめの戸締まり」は皆さんご覧になられただろうか。「君の名は。」、「天気の子」を手掛けた新海誠監督最新作であり、日本はもちろん、多くの国で人気を博した作品であることはニュースなどで取り上げられていたように記憶している。(さすがにファンとしてのバイアス抜きで考えても) 以下大体敬称略 (2022年11月11日、TOHOシネマズ二条にて) そんな「すずめの戸締まり」(以下「すずめ」)は、あまりにも僕に刺さり

すずめの戸締まり(叔母の葛藤にみる、人生の腑に落とす方法)

みなさん、こんにちは^^ フィックスホームの恵理子です! 今日は「新海誠監督「すずめの戸締まり」を見てきました」です。 以下、ネタバレを含みます。映画を見終わった方から是非お読みください! それでは、どうぞ~ 「すずめの戸締まり」をみての感想一言で言うと「鎮魂と希望」を感じた映画でした^^ 映画を見終わった後に、駐車場から見上げた月が普段よりも現実感を伴ってリアルに迫ってきて、美しいと感じました。日常の時間の流れが粒になって見えるような、一瞬一瞬が大切な貴重な時間であ

映画「『すずめの戸締まり』終映記念-最後の戸締まり」感想 すずめの行動×椅子のコミカル×リアリティ

終演らしいので、再度観てきたがやはり良かった。すずめの行動が一貫しているのがいい。草太さんもいい。 東日本大震災を真正面から描いている。すずめの死生観がその体験に起因しているのが印象的だ。 すずめの死生観は、よくアニメにもあるが、現実の話だけに説得力がある。賛否あるが、色々あるからこその議論。 松本白鸚さんのインパクトがすごい。名優なのだが、声の圧力がすごいよね。草太の育ての親というのも納得。 男女が長い旅だと、恋愛が絡んでくるが、椅子だと全然違う。マスコットの印象が

勝手に1日1推し 135日目 「すずめの戸締まり」

「すずめの戸締まり」監督:新海誠     映画 面白かったです!良かったです!!映像と音楽が美しくダイナミックでエンターテイメントとしてとても良く出来てたって思いました。さすが、新海監督ご自身が最高傑作って言ってただけあって、見応えもだけれど、分かり易さがピカ一でした!子どもから大人まで楽しめるファンタジーエンターテイメントでした。 (!注!直接的、間接的な地震に関する描写(3.11含む)があります。) 新海監督作品はとにかく隅々まで絵が綺麗だから絶対劇場で見たい派なんだ

今更ですが、すずめの戸締まり観てきました(ネタバレ控えめ?)

はじめに 原作小説はわりと早くに購入して読もうとしたのですが、24%で積読本化し映画鑑賞もタイミングが合わず今日となりました。24%しか読んでいませんでしたが続きは気になっていましたし、一部メディアの報道で軽いネタバレは食らいつつも最後まで楽しく観ることができました。 君の名は。以降では一番好きな作品となりました。 すずめの戸締まり>天気の子>君の名は。の順です。 新海監督からの強いメッセージ すごく感じました。とある出来事へのメッセージだと存じますが、素晴らしい作品に

それぞれが向き合うべき映画「すずめの戸締まり」考察&個人的な感想(ネタばれ含む)

2022年度一番観た映画が「すずめの戸締まり」で3回も見ました。 観客者に先着順でもらえる限定の新海本が目当てというのもあったけど何回も観に行った作品は久々でした。 「すずめの戸締まり」は新海誠監督作品の「君の名は。」「天気の子」に続くディザスター三部作の完結編にあたる作品です。 前作の2作品と違うのは架空の災害を想定せずに東日本大震災をダイレクトにテーマにしているところです。 他にも新海誠監督作品ぽくない(独特な世界観や描写の癖がない)作品だったということもあって、いろい