我ら、未来伝達課。

小森明日香(26)→未来伝達課の職員。以下、明
橋塚生之助(22)→明日香の同僚。以下、生 
二人の会話一部抜粋。

明「橋塚さんは、死にたいと思ったこととかありましたか?」
生「僕は、タイムスリップしたい、って思ってました。」
明「タイムスリップ?」
生「はい。辛い時は、止まない雨はないってひたすら信じてたので。とりあえず、雨があがって虹が出てる時まで、タイムスリップしたいって思ってました。けど、止まない雨はないって知ってても、その雨の強さとか、止むまでの時間とか、人それぞれだから。そんな漠然とした言葉に励まされない人だって、いて当然だと思うんです。みんな、やまない雨はないってだけ言いに来て、傘も渡さず去っていく。でも、その雨があとどれくらいで止むか知るだけでも、何かが変わると思うんです。僕らは、未来伝達課は、傘を差し出す仕事です。」
(橋塚生之助/我ら、未来伝達課。より)

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