12月がやってきた

プリプリ肌を持て余している。

先日いつものように夫が息子を保育園に送り届けると、息子の担任の保育士さんから声をかけられたという。
「福太郎君はいつも可愛いお洋服を着てますね！スヌーピーの柄が多いのに理由はあるんですか？」

確かに息子はいつも可愛い服をオシャレに着こなしている。
それは我が家のオシャレ番長、夫と義母が並々ならぬこだわりで服をセレクトしているためだ。
彼らが選んで買ってくる服に外れなし。
子どもらしくも絶妙にどこかに一捻りがあるセンスのいい洋服をいつもどこかしらか調達してくる。
私なんかが腕をまくって息子のために可愛い服を探そうと三千里歩いても二人が選んでくるような素敵な服は見つけきれない。

オシャレな人はオシャレなものを見つけ出す嗅覚が備わっているに違いない。イオンの子供服売り場からでもセレクトショップで売っているような端正な洋服を見つけ出すのだ。並じゃない。

ちなみにスヌーピー柄はそんなに多く持っていないのだが、キャラクターものの洋服をほとんど持っていない福太郎だから保育士さんの印象に残っていたのだろう。

夫はしばし考えて答えた。
「妻がスヌーピーに似ているからかもしれません」

いやいやいや！！ちょっと待て。

スヌーピーに似ているのは横顔のフォルムであって、正面から見た私は華やかな美人だ。
正面の華やかさと横顔の愛らしいフィルムが私の魅力を形作っているのだ。説明が足りなすぎる！

夫にそう突っ込む前に夫はにこにこして続けた。
「そういったら、保育士さんが「えー！奥様綺麗な方でしたよね？」って言ってくれたよ！」
ならよい。

去年保育園の運動会に顔を出した私を覚えてくださっていたようだ。
折しも翌週は保育園の生活発表会。
息子が歌ったり踊ったりするさまをこの目に焼き付けに行かねばならない。

奥様綺麗な方でしたよね？

保育士さんの期待を裏切るようなことは出来ない。
私はその日からお風呂上りのスキンケアにパックを取り入れ、来たるべき日に備えた。

おかげさまでお肌のプリプリも最高潮になった発表会前日、息子が熱を出した。子供というものはどうしてこう楽しみな行事であればあるほど狙って熱発するのか…

夢に見るほど楽しみにしていた生活発表会に参加することは出来なくなった。
「夢に見るほど」と言ったが、実際に私は夢に見たのだ。
熱にうなされ夜中何度も目を覚まし泣き声を上げる福太郎の看病で意識もうろうとしながら寝落ちした明け方。

夢の中で、私が息子にどんなダンスをするのか聞くと、息子は満面の笑顔で両手をヒラヒラと振って見せてくれ、その天上の愛らしさに悶絶した。
ああ…写真に収めて一生愛でる絶好の機会を私は失ったのだ。

睡眠不足の癖に無駄にプリプリした手入れの行き届いた肌を持て余しつつ子供の看病に明け暮れた12月最初の週末。

みなさま、ホリデーシーズンがやってまいりました。
一年で一番街がキラキラ輝く12月。
クリスマスコフレのアイシャドーやらリップやら下地やらのラメも増量中で街ゆく人々の瞼や唇もおそらく一年で一番煌めている12月。

キラキラしたもの、欲しくなりますよね（悪い癖）

流し見していたTVで上沼恵美子さんの両手に光る、飴玉みたいに大きい指輪にクギズケになった朝。（奇しくも番組名は「クギズケ」）

右手は黄色、左手は水色のカンロ飴大の石が照明の光を浴びてこの世のものとは思えない輝きを放っていて、寝不足の私はそれを見ながらぼーっと、全財産はたいても欲しいな…なんて恐ろしいことを考えてしまったのはきっとホリデーマジックと看病疲れのせい。